落下

えりちゃん

私は精神科の病院に入院している。
空と海が繋がりそうなだだっ広い田舎の精神病院。
ODをした。
もがき苦しんだ末のOD。
私には身寄りがない。
居場所がない。
その事がただ辛かった。
いつも祈る。
どうか、世界が平和でありますように。
でも、今は神様もお年を召したのか、なかなか聞きとどけてくださらない。
何を信じたらいいのか、分からなくなった。
幸い友人には恵まれているので、様々な人の生きかたをまねた。
なんとかハッピーに生きねばと思っている。
ハッピーにゆるいテンポで、楽ちんに。
そこには愛が必要だ。
自分にも人にも愛を。
出来るだけそうありたい。
精神病院の同室のえりちゃんは人生諦めたような人だった。
私も、人生諦めていた時期があった。
高校の時、完全に諦めていた。
高知時代、私は狂ったようにデスメタルを聞き、今でいう地雷系のファッションをしていた。
学校ではいじめ、家では虐待。
苦しかった。
早く楽になりたいとその頃から思うようになる。
余りに悲しみがおおいと、人は死を選ぶ。
私はなんとか寿命まで生ききる、生きねばと思っている。
どんなに無様な最後でも、しっかり生きると思っている。
ところが、えりちゃんは来年死ぬという。
私は縁があった人はみな健やかであってほしいと願う。
彼女は人を信じられないと言っていた。
悲しすぎる。
私も高校の時同じく、人を信じられなかった。
信じたい。
本当はきっとそうだよ。
君はただ、少し疲れてしまったんだよ。
明日はきっといい日。
そうしっかり目を見て言えるほど、確かな人生を私は歩んできていなかった。