甘い恋をカラメリゼ

うめこ

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Speculoos~スパイスをきかせて~

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 大勢での飲み会は久しぶりだった。大勢の飲み会に参加したといえば大学にはいってすぐにサークルの新歓を渡り歩いて、それから名前だけ在籍しているサークルに時々顔をだして……そのときくらい。少人数でのんびりと過ごしている方が俺の性にはあっているからではあるけれど、こうして時々参加してみると楽しい気分になってくる。

 待ち合わせ場所で集合して、そこから飲み屋までみんなで歩く。そのあいだは俺を誘ってきた彰人と一緒にいたけれど、ちょいちょい周りにいたはじめましての人とも話をした。そうやってなんとなく周りと馴染んだ辺りで店に到着して、ばらばらと席についていく。



「何年~? 私3年」

「あ、俺二年です」

「あっ、そうなんだ~! これからサークルはいったりしないの?」

「うーん、わからないです」



 近くに座った年上らしい女子が話しかけてくれる。このサークルの人たちはみんな気さくで、よそ者も受け入れてくれる雰囲気だった。飛び込み参加みたいなものだから少し不安もあったけれど、これなら今日は楽しく過ごせそうだな、って思ったときだ。俺の前に、一人の男子が座ってくる。



「……どうもです~!」



 その男子はどうやらサークル内でも人気があるのか、彼が席につくなり周りの人たちが湧いた。「こないと思ってた[D:12316]!」なんて言われているから、飲み会にはあまり姿を表さないタイプなのかもしれない。

 ……ということはどうでもよくて。俺はその男子に妙な既視感を覚えた。絶対にどこかで会ったことがある。結構なイケメンでチャラついた見た目をしたこいつ……



「あれ、はじめまして、俺、結城っていいま……」

「……」

「……あれ、なんか見たことある」



 結城と名乗った彼もどうやら俺に見覚えがあるようで、自己紹介の途中で黙り込んでしまった。そして、俺たちはしばらく見つめあって……



「あー!」



 ほぼ同時に、お互いが気付く。彼は……アダルトショップの店員だ。

 なんでこんなところに。っていうか大学生だったのか。俺はあんまりにも驚いてしまって言葉すらでてこなかったけれど、それは彼も同じらしい。はじめましてのテンションはどこにいったのか固まってしまって、そして唇に人差し指を当てている。あの店で働いていることは言うな、という意味だろう。



「ちょっ、ちょっと、こっちきて」

「えっ、うわっ」



 彼は立ち上がると俺の席までまわってきて、そして俺の手を掴む。そして、そのまま俺は部屋から連れ出されてしまった。

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