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第十二章:スイートアンドビター
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しおりを挟むとりあえずどこかで食事をしようと二人は駅周辺をふらふらとしていた。時折となりをちらりとみれば視線がぶつかって、やっぱりもっとくっつきたいなんて相手の想いを感じ取ってはドキリとしながら人ごみの中を進んでゆく。
「どこいく? 波折は何が食べたい?」
「んー……俺はなんでもいいんだけど……っていうと困るよね」
「いや~女子と一緒ならカフェでもいこうって言えるんだけど、男同士でカフェは寒いよな~」
「カフェ行ってみる? デートっぽくて楽しいじゃん」
「……そう?」
そういえば波折ってデートとかしたことないのかな、と鑓水は思う。すべての人と距離をとっているのだから、今まで恋人がいたとは考えづらい。だからデートらしいこと、というのに憧れているのかもしれない。かわいいやつ。そう思って鑓水は笑う。それに気づいた波折が「なに?」と行ってきたから、「なんでもない」と言ってくしゃくしゃと頭を撫でてやった。
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