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第十二章:スイートアンドビター

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 波折が洗い物をしている間、鑓水はのろのろと着替えをしていた。普段は制服で過ごしているから私服はいらない、ということでほとんど私服は持ってきていない。上着となるものを数枚波折の家に置いておき、インナーは波折のものを借りていた。「借りるよ」とひとこと言って波折のクローゼットをあける。適当にシンプルなデザインのカットソーをひっぱりだすと……その拍子に何かが転がり落ちる。


「……波折ー」

「なにー?」

「……なんかすげーもんでてきたんだけど」

「すげーもん?」


 鑓水はでてきたものを摘んで、波折のもとへ持っていく。それをぴらんと波折に見せつけると、波折は「あ」と苦笑いをした。


「……これなに?」

「……女装プレイ用、かな?」


 それは、女物の下着だった。しかも、所謂セクシーランジェリーといった、すけすけで布の面積の小さなピンクの下着。波折曰く「女装プレイ用」。


「……これ、付けてよ」

「え? デートは?」

「だから、つけてデートして」

「えっ?」

「服は普通でいいから、なかにこれ着て」


 洗い物を終えて手を拭いている波折に、鑓水は下着を押し付ける。

 波折は戸惑いながらも下着を受け取って、のろのろとベッドまでやってくる。トップスを脱いで、ブラジャーを手に取ると、ちら、と鑓水の方を見た。


「あ、あの……着替えているところみないでくれる?」

「いや見るだろ」

「う……あの……に、似合わないからな」

「そりゃ女装が似合う男なんてそうそういないから」

「じゃあ、やめよ?」

「だめ。つけて」

「……はい」


 波折がかあっと顔を赤らめる。「ご主人様」とはこれくらいヒョイヒョイとやってのけるんだろ、と思って鑓水は唇を尖らせる。最近の波折はアブノーマルなことをするときにやたらと恥ずかしがっているがなんだろう、と唸りながら、鑓水はじっと波折の着替える様子をみつめていた。波折がブラジャーの肩紐をかけて、腕を背に回してホックをとめる。女と同じ動作をしている波折になんだか興奮してしまう。レースがすけすけで乳首だけが隠せるようなそのブラジャーをつけた波折はやたらといやらしかった。一番小さいサイズのブラジャーだからかそこまでゆるくはなく、波折の胸にふわりとそのレースがのっている。白い肌にピンクのレースが映えて、案外似合っていた。……ただ、やはり男の顔と身体には不格好だが、それがまたいやらしい。


「……やっぱり変でしょ、やめよう?」

「パンツもはいて」

「ええ……」


 波折がしぶしぶと下も脱いで、履いていた下着も脱いだ。そして、もはや全く隠す気のなさそうな布全てがすけているそのパンティーを、鑓水の視線から必死に逃げるようにして履く。当たり前のように波折のペニスは下着からはみでていて、波折はふるふると震えながら鑓水に背をむけてそれを隠していた。そうして恥ずかしがっている様子が可愛くて、鑓水は波折に近づいていく。そして、パンティーを掴むとぐっと上にもちあげて食い込ませた。


「あうぅっ……」

「似合ってるじゃん、波折。やーらし」

「似合って、ない……」

「いや、すっごく卑猥でいいよ。こっちも」

「ひゃあ……」


 薄い布の上から、波折の乳首を円を描くようにして撫でてやる。ぴくぴくと震えて、波折は身をよじる。


「よし、波折。これでデートな」

「……普通に服着ていいんだよね」

「ああ、いいよ。あ、でもこれもつけて」

「え?」


 鑓水はひょいと波折のお尻に手をのばす。そして、布をずらして手に隠し持っていたローターをつぷりと挿入した。波折がびくっ、と震えたがそれはそのまま奥までつるんとはいってゆく。


「け、慧太……」

「遠隔操作できるローター。前も使ったよな?」

「う、……イッたらおしおき?」

「いいや。大丈夫、イきたかったらイッていいよ」

「イけないだろ、人前で!」

「じゃあおまえが我慢しろ」

「慧太~……」


 ひーん、と泣きついてきた波折を抱いて、にやにやと鑓水は笑う。そんなに意地悪をするつもりはない。ちょっとしたスパイスだ。デート自体は普通に楽しむつもりだったから、鑓水はそんなに不安がらなくていいよ、と波折を撫でてやった。
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