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第十章:その弱さを知ったとき
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「……う、」
全身に鈍痛が走る。波折がゆっくりと瞼をあければ、そこは見知らぬ部屋だった。少し古びた部屋は薄暗いオレンジライトで照らされて不気味な雰囲気がある。妙に派手な家具があったり、ダブルベッドだったりとしているから……ラブホテルかなにかだろうか。
「……!」
動こうとすれば、鎖の音がなる。自分の身体の状態をみて、波折は顔をしかめた。手は頭上で拘束され、脚は開脚された状態で固定。服は全て剥がれている。
「目、覚めた?」
「……」
錫がふらりと現れた。いやらしい格好をしている波折をじろじろとみては恍惚とした表情を浮かべている。いくら波折でも、見ず知らずの男にこういったことをされるのは抵抗がある。気味が悪い、そう思って錫のことをみていた。
「ほんと、可愛いね。波折くん。別に俺、男は趣味じゃなかったんだけど、波折くんほんと可愛いんだもん。みてよ、これ」
「……」
錫が自分の股間を指差す。服は着ているものの、そこは盛り上がっていて、なかでペニスがどうなっているのかが一目でわかった。見たくもないものを見せつけられて、波折は舌打ちをうちそうになる。
「身体もね、男の子なのにしなやかで。肌もつるつる。乳首もぴんくで綺麗。慧太とヤったこと、あるんでしょ? いいなぁ、抱き心地よさそうだよね、波折くん」
「ひっ……」
錫はつうっと近づいてきて、波折の身体を撫で回した。手のひらが分厚くて、指が太い、そんな手でべたべたと身体を触られる。乳首をべろべろと舐められて、気持ち悪くて思わず波折は顔を逸らした。
「波折くんさ、生徒会長なんだって? 鞄の中勝手に漁ったけど」
「……」
「JSの生徒会長ってさー、すごいんでしょ? なんで慧太なんて選ぶの? なんで? なんで?」
錫はじろりと波折を睨み上げる。ぼさぼさの髪の隙間から、どろりとした瞳が覗いている。一生を弟への嫉妬にかけた男の目は、酷く醜かった。波折が黙り込んでいれば、錫ははっと吐き出すように嗤う。
「まあいいや。波折くん、俺のものにするからさ」
「……」
「俺のテクでメロメロにしてあげる。慧太とのエッチなんかじゃ満足できないようになるよ!」
「……!」
錫がポケットから何かを取り出す。それをみて、波折は思わず息を呑んだ。錫が手に持っていたのは、注射器。ドラッグを使われる、そう悟った波折は途端に恐怖に見舞われる。
「まっ……待て、」
波折は抵抗しようとしたが、鎖で拘束されていてはどうしようもない。あっさりと針を腕に刺されてしまう。針を刺されてはもう動けない。液体が徐々に注入されていくのを凝視しながら、波折は恐怖に身体を震わせた。
「そんなの、使ったら……」
「運が悪ければ廃人かな?」
「……ッ」
怖い。本気で、そう思った。まだ意識がはっきりしているうちに魔術を使ってドラッグを打ち消すことは、できなくもない。――しかし、波折は絶対にそれができない。JSの校則を守ること、それが「ご主人様」の命令だった。学外で魔術を使ってはいけないと、頭に刻み込まれていた。
「あっ……」
錫が波折の身体に触れる。ゾゾゾっと悪寒と快楽の混ざった、嫌な感覚が走る。ドラッグによって、異常に敏感になった身体。おそらく感度は、チョコレートを食べたときよりもずっと上。相手が錫であるという嫌悪感をはるかに凌ぐ快楽が波折の身体を蝕み始める。
「あっ……あぁっ……、やっ……」
「声、可愛いね!」
「いやっ……あっ! あぁっ!」
ビクッ、ビクッ、と震えて良い反応を見せる波折に錫はご満悦といった表情を浮かべた。乳首をぎゅーっと引っ張ると、波折がのけぞり天井を見上げながら、甲高い嬌声をあげる。
「あーっ…… アッ、あぁあっ、あ! あぁっ……! あっ! あーっ、あーッ! あぁっ……」
「感じすぎー、波折くん、可愛いねぇ」
「いくっ……! いく、いくっ……! あぁっ……!あーッ、あっ、いやッ……! あーっ……! イクッ……!」
ガクガクッ、と波折は小刻みに身体を震わせて、あっさりとペニスから白濁を吐き出した。錫は苦しそうに息をはーはーと吐いている波折の瞳をべろりと舐めて、涙の味をじっくりと味わうように目をつむる。にこにこと笑いながら、また波折の乳首をぎゅうぎゅうと引っ張って、叫び声のような嬌声をあげる波折を愛でるように見つめた。
視界がゆがむ。頭がくらくらとして何も考えられない。強すぎる快楽はもはや苦痛となって、今この時間が波折にとっては地獄にしか思えなかった。「ご主人様」や鑓水とは違う、なんの想いも伴わない陵辱行為。投げかけられる視線は爬虫類が身体を這いずりまわるように気味悪くて、不快でしかない。
死んでしまうのではないかと思うくらいに波折が連続で達したあと、錫はいそいそとどこかへいって機械のようなものを取り出してくる。それは超高速でピストンを可能にする、所謂ドリルバイブといった器具だった。機械の先端についたディルドが、すさまじいスピードで動くというものである。そんなものを今の状態で突っ込まれたらひとたまりもない、そう思うが波折にはもはや抵抗する意思もない。錫が乱暴に波折の下腹部にローションをびちゃびちゃとぶっかけて、ディルドの先端を波折のアナルにあてがう。
「この機械、知ってる? 波折くんのお尻壊れちゃうかも」
「い、や……」
「やめてあげてもいいよ? 俺のものになるなら。一生俺の側にいて、慧太には近づかないって約束してくれるなら」
――慧太には近づかない。
その言葉が波折の頭のなかに反響する。一度大切な人を奪われ、それがトラウマとなっている鑓水の元から、また同じように自分が錫のものになるところを見せつけたらどうなるだろう。彼が一番であり続けることを否定できるための存在である自分が、目の前から消えたなら。今度こそ、鑓水はこわれてしまうかもしれない。そんなの、だめだ。……波折はゆっくりと、首を振る。
「……でき、ない……けいたからは、はなれない……」
「……死ぬかもよ?」
「……っ、はなれない……!」
すうっと錫の目が細められる。錫は呆れたようにため息をつき、ディルドを容赦なく波折のなかに突っ込んだ。がく、がく、と波折が痙攣しても、そんなことには目もくれず奥まで押し込んでしまう。
「ゆるして、って言ったら止めてあげるからね」
「……あっ、……」
錫は無慈悲に、ためらいなくドリルバイブのスイッチをいれてしまった。
「あっ……あぁあぁあー!!」
目にも留まらぬ早さで、ディルドがピストンされる。波折が断末魔の叫びをあげても錫は傍観するだけで止めるつもりはないらしい。電気ショックでも与えているかのように波折の身体が痙攣する。本当に死にそうだな、と錫はドリルバイブのスピードを一旦緩め、にたりと笑った。
「あっ……あっ……」
「ほら、言えよ。ゆるしてって。俺のものになるって」
「や……」
「……ふうん」
波折が虚ろな目をして錫の要求を拒否すれば、錫は再びドリルバイブのスピードをマックスまであげる。
「あぁッあぁああー!! あぁあっ!! アッ、アッ、ぁあぁあああアァッ!!」
「死んだらそれはそれで慧太はショック受けるだろうねー、おもしろっ」
スピードをゆるめては強請り、波折が拒否すればまたスピードをあげる。意識を飛ばしてしまえばバケツに汲んだ水を顔にかけて叩き起こし、再び拷問を始める。終わらない地獄に堕とされたような。いっそ死んだほうが楽だと思ってしまうような。それほどの苦痛に苛まれ、波折はただ枯れた嬌声を上げ続けることしかできなかった。
全身に鈍痛が走る。波折がゆっくりと瞼をあければ、そこは見知らぬ部屋だった。少し古びた部屋は薄暗いオレンジライトで照らされて不気味な雰囲気がある。妙に派手な家具があったり、ダブルベッドだったりとしているから……ラブホテルかなにかだろうか。
「……!」
動こうとすれば、鎖の音がなる。自分の身体の状態をみて、波折は顔をしかめた。手は頭上で拘束され、脚は開脚された状態で固定。服は全て剥がれている。
「目、覚めた?」
「……」
錫がふらりと現れた。いやらしい格好をしている波折をじろじろとみては恍惚とした表情を浮かべている。いくら波折でも、見ず知らずの男にこういったことをされるのは抵抗がある。気味が悪い、そう思って錫のことをみていた。
「ほんと、可愛いね。波折くん。別に俺、男は趣味じゃなかったんだけど、波折くんほんと可愛いんだもん。みてよ、これ」
「……」
錫が自分の股間を指差す。服は着ているものの、そこは盛り上がっていて、なかでペニスがどうなっているのかが一目でわかった。見たくもないものを見せつけられて、波折は舌打ちをうちそうになる。
「身体もね、男の子なのにしなやかで。肌もつるつる。乳首もぴんくで綺麗。慧太とヤったこと、あるんでしょ? いいなぁ、抱き心地よさそうだよね、波折くん」
「ひっ……」
錫はつうっと近づいてきて、波折の身体を撫で回した。手のひらが分厚くて、指が太い、そんな手でべたべたと身体を触られる。乳首をべろべろと舐められて、気持ち悪くて思わず波折は顔を逸らした。
「波折くんさ、生徒会長なんだって? 鞄の中勝手に漁ったけど」
「……」
「JSの生徒会長ってさー、すごいんでしょ? なんで慧太なんて選ぶの? なんで? なんで?」
錫はじろりと波折を睨み上げる。ぼさぼさの髪の隙間から、どろりとした瞳が覗いている。一生を弟への嫉妬にかけた男の目は、酷く醜かった。波折が黙り込んでいれば、錫ははっと吐き出すように嗤う。
「まあいいや。波折くん、俺のものにするからさ」
「……」
「俺のテクでメロメロにしてあげる。慧太とのエッチなんかじゃ満足できないようになるよ!」
「……!」
錫がポケットから何かを取り出す。それをみて、波折は思わず息を呑んだ。錫が手に持っていたのは、注射器。ドラッグを使われる、そう悟った波折は途端に恐怖に見舞われる。
「まっ……待て、」
波折は抵抗しようとしたが、鎖で拘束されていてはどうしようもない。あっさりと針を腕に刺されてしまう。針を刺されてはもう動けない。液体が徐々に注入されていくのを凝視しながら、波折は恐怖に身体を震わせた。
「そんなの、使ったら……」
「運が悪ければ廃人かな?」
「……ッ」
怖い。本気で、そう思った。まだ意識がはっきりしているうちに魔術を使ってドラッグを打ち消すことは、できなくもない。――しかし、波折は絶対にそれができない。JSの校則を守ること、それが「ご主人様」の命令だった。学外で魔術を使ってはいけないと、頭に刻み込まれていた。
「あっ……」
錫が波折の身体に触れる。ゾゾゾっと悪寒と快楽の混ざった、嫌な感覚が走る。ドラッグによって、異常に敏感になった身体。おそらく感度は、チョコレートを食べたときよりもずっと上。相手が錫であるという嫌悪感をはるかに凌ぐ快楽が波折の身体を蝕み始める。
「あっ……あぁっ……、やっ……」
「声、可愛いね!」
「いやっ……あっ! あぁっ!」
ビクッ、ビクッ、と震えて良い反応を見せる波折に錫はご満悦といった表情を浮かべた。乳首をぎゅーっと引っ張ると、波折がのけぞり天井を見上げながら、甲高い嬌声をあげる。
「あーっ…… アッ、あぁあっ、あ! あぁっ……! あっ! あーっ、あーッ! あぁっ……」
「感じすぎー、波折くん、可愛いねぇ」
「いくっ……! いく、いくっ……! あぁっ……!あーッ、あっ、いやッ……! あーっ……! イクッ……!」
ガクガクッ、と波折は小刻みに身体を震わせて、あっさりとペニスから白濁を吐き出した。錫は苦しそうに息をはーはーと吐いている波折の瞳をべろりと舐めて、涙の味をじっくりと味わうように目をつむる。にこにこと笑いながら、また波折の乳首をぎゅうぎゅうと引っ張って、叫び声のような嬌声をあげる波折を愛でるように見つめた。
視界がゆがむ。頭がくらくらとして何も考えられない。強すぎる快楽はもはや苦痛となって、今この時間が波折にとっては地獄にしか思えなかった。「ご主人様」や鑓水とは違う、なんの想いも伴わない陵辱行為。投げかけられる視線は爬虫類が身体を這いずりまわるように気味悪くて、不快でしかない。
死んでしまうのではないかと思うくらいに波折が連続で達したあと、錫はいそいそとどこかへいって機械のようなものを取り出してくる。それは超高速でピストンを可能にする、所謂ドリルバイブといった器具だった。機械の先端についたディルドが、すさまじいスピードで動くというものである。そんなものを今の状態で突っ込まれたらひとたまりもない、そう思うが波折にはもはや抵抗する意思もない。錫が乱暴に波折の下腹部にローションをびちゃびちゃとぶっかけて、ディルドの先端を波折のアナルにあてがう。
「この機械、知ってる? 波折くんのお尻壊れちゃうかも」
「い、や……」
「やめてあげてもいいよ? 俺のものになるなら。一生俺の側にいて、慧太には近づかないって約束してくれるなら」
――慧太には近づかない。
その言葉が波折の頭のなかに反響する。一度大切な人を奪われ、それがトラウマとなっている鑓水の元から、また同じように自分が錫のものになるところを見せつけたらどうなるだろう。彼が一番であり続けることを否定できるための存在である自分が、目の前から消えたなら。今度こそ、鑓水はこわれてしまうかもしれない。そんなの、だめだ。……波折はゆっくりと、首を振る。
「……でき、ない……けいたからは、はなれない……」
「……死ぬかもよ?」
「……っ、はなれない……!」
すうっと錫の目が細められる。錫は呆れたようにため息をつき、ディルドを容赦なく波折のなかに突っ込んだ。がく、がく、と波折が痙攣しても、そんなことには目もくれず奥まで押し込んでしまう。
「ゆるして、って言ったら止めてあげるからね」
「……あっ、……」
錫は無慈悲に、ためらいなくドリルバイブのスイッチをいれてしまった。
「あっ……あぁあぁあー!!」
目にも留まらぬ早さで、ディルドがピストンされる。波折が断末魔の叫びをあげても錫は傍観するだけで止めるつもりはないらしい。電気ショックでも与えているかのように波折の身体が痙攣する。本当に死にそうだな、と錫はドリルバイブのスピードを一旦緩め、にたりと笑った。
「あっ……あっ……」
「ほら、言えよ。ゆるしてって。俺のものになるって」
「や……」
「……ふうん」
波折が虚ろな目をして錫の要求を拒否すれば、錫は再びドリルバイブのスピードをマックスまであげる。
「あぁッあぁああー!! あぁあっ!! アッ、アッ、ぁあぁあああアァッ!!」
「死んだらそれはそれで慧太はショック受けるだろうねー、おもしろっ」
スピードをゆるめては強請り、波折が拒否すればまたスピードをあげる。意識を飛ばしてしまえばバケツに汲んだ水を顔にかけて叩き起こし、再び拷問を始める。終わらない地獄に堕とされたような。いっそ死んだほうが楽だと思ってしまうような。それほどの苦痛に苛まれ、波折はただ枯れた嬌声を上げ続けることしかできなかった。
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