122 / 236
第十章:その弱さを知ったとき
27
しおりを挟む「……あっ」
チカ、と瞼の裏が明らんで波折は目を覚ます。昨夜気後れして鑓水の隣になかなか戻れず、やっとベッドに入ったのは1時ころ。寝る時間が遅くなったためか、いつもよりも起床時間が遅れてしまった。急いで朝食をつくらないと、そう思って波折が体を起こそうとしたとき。
「わ、」
ぐ、と後ろから手を引かれた。そして、また布団のなかに引きずり込まれる。
「け、慧太……ごはんつくらないと」
「いいよ、適当に飯買って行って学校で食う」
「えっ?」
「いいから」
鑓水はバサリと波折に布団をかけると、そのなかで後ろから抱きしめた。首筋にキスをされ、乳首を摘まれて、波折はぴくんと腰を跳ねさせ身を縮こませる。
「触らせて」
「んっ……あっ……けいた……」
鑓水は波折の肌の感触を楽しむように、あちこちを触ってきた。もだもだとしたそんな彼の愛撫が気持よくて、波折は目を閉じて彼に身を委ねる。
――「ご主人様」はいったい彼になにをするつもりだろう。そう思うと波折は頭が痛くなった。波折にとって、鑓水は大切な人のうちの一人だ。彼が傷つくところはあまりみたくない。鑓水がこうして優しくしてくれていると、切なくなる。「ご主人様」のことを黙っている時点で鑓水のことを裏切っているようなものだから。……でも、言えない。
「んっ……んーっ……、けいたっ……もう、やだ……」
「なんで?」
「身体、あつい……したくなる、から……もう、だめ……」
「……時間ないもんな。じゃあ、学校でしよ」
「……っ、う、」
鑓水が波折の頭を撫でる。そろそろと波折が振り向いて、目が合えば……彼は笑っていた。
「波折」
「……っ」
キスをされる。……ああ、まただ。また、頭がびりびりするキス。胸が苦しくなるキス。
最近の鑓水の態度の変化に、いやな予感を覚える。もしも彼が自分へ好意を抱いているのなら……彼から、離れなければいけないから。
1
お気に入りに追加
68
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
双葉病院小児病棟
moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。
病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。
この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。
すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。
メンタル面のケアも大事になってくる。
当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。
親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。
【集中して治療をして早く治す】
それがこの病院のモットーです。
※この物語はフィクションです。
実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる