村八分

ヨージー

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 香椎柚子の考えにしろ想像を働かせるしかない。香椎柚子はその後どうしたのだろう。
「あれ、田口誠司の奥さんって」
「ああ、香椎柚子ではないよ」
 友也の憶測は幸也にこともなく否定された。
「そうなると、田口誠司は香椎柚子と結ばれるために黙っていたわけではなくなるんだな」
「武井さん、でも、途中で計画が崩れたとかはないでしょうか。村八分されるつもりはなかったとか」
「友也の考えは田口誠司に考えが無さすぎないか。村の有力者の息子を見殺しにするなら、村八分なりなんなり何かなるのは分かるだろう」
「え、駆け落ち前提ですか?」
「そうなるね。あ、でも香椎柚子と結ばれなかったんだから、前提ではなかったのか」
「ちょっと自販機行ってきます。寒くて。皆さん何か飲みますか?」
 友也は幸也の言葉に我に帰る。
「あ、ごめん。幸也の家族のことなのに」
「いやいや、だから気にしてたらここに来てないから。むしろミス研らしい感じで感心してる」
「ブラックコーヒーで」
 貴音が久しぶりに発言した。
「あ、俺が買ってくるよ」
 慎吾がサークル室の扉に手をかけた。
「ついていきますよ」
 友也が立ち上がる。
「友也は推理の続きしててよ。お前もコーヒーでいいだろ?」
 幸也が慎吾のあとに続いた。友也が頷くと幸也たちは部屋をでていった。
「佐切くん、結構無遠慮だね」
 貴音が含み笑いをする。
「え、あ、いや夢中になってしまって」
「さすが、ミス研部員」
「茶化さないでくださいよ。それより本庄さんも何か考えがありますか?」
「そうね、田口誠司が事件について話さないメリットかな」
「メリットですか…」
 友也は見ず知らずの田口誠司に思いを馳せた。
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