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慎吾と友也も手持ちの暖をとる飲み物を飲み干してしまっていた。しかし、貴音の表情の変化に、解決が近いことを予感した。
「その人就活生だったんじゃない?」
貴音が机にひじをついてはなした。
「あ、なるほど」
慎吾も何かに気づいたようだ。
「え、どういうことです?」
友也は首をかしげる。
「警察をそこまで質問責めにしておきながら、抜けが手痛いよ」
貴音がため息をこぼした。
「就活生と企業の採用担当なら、鞄一つで隠せる関係性かもしれない」
慎吾が思案顔で話す。
「え、あ、それなら被害者に会社っていう関係者が居ないから、分からなくなるかもしれないってことですか?」
「そうそう、就活生って合同説明会とかでもスーツを着るわけだ。その時に持ち帰る物って、基本企業パンフレットくらいなんだよ」
慎吾は頷きながら話す。話ながら確信していっているようだ。
「でも、動機が分からないですね。採用担当者から恨まれるって一体…」
「そもそも、殺意があったのが被害者の方だったのかもね。争った形跡があったのでしょう?」
友也も慎吾も貴音の話した言葉に反論の余地を見いだせなかった。その日のサークルはそこで終了した。
後日、事件の犯人が逮捕された。犯人の男は被害者から襲われたと自供している。その際に揉み合いになり、殺害してしまったとのことだ。被害者は前年度に二次面接で犯人の企業を落とされており、犯行当日の合同説明会で就職浪人した被害者と再会したという。被害者はもう一度犯人の企業説明を聞きに回ったそうで、犯人の名刺とパンフレットをそこで受け取っていた。事件後、動転した犯人は企業パンフがなければ関係性を隠せるのではと考え、被害者の荷物を持ち去った。鞄は犯人宅にて発見された。概ね推理通りの展開だと友也は誇らしく記事を読んだ。被害者が凶器を購入していたことが裏付けとなり解決した。しかし、友也は貴音に、被害者のことが印象に残っていた理由を、美人だったからでしょう、と見抜かれて、言葉に窮してしまうこととなった。
「その人就活生だったんじゃない?」
貴音が机にひじをついてはなした。
「あ、なるほど」
慎吾も何かに気づいたようだ。
「え、どういうことです?」
友也は首をかしげる。
「警察をそこまで質問責めにしておきながら、抜けが手痛いよ」
貴音がため息をこぼした。
「就活生と企業の採用担当なら、鞄一つで隠せる関係性かもしれない」
慎吾が思案顔で話す。
「え、あ、それなら被害者に会社っていう関係者が居ないから、分からなくなるかもしれないってことですか?」
「そうそう、就活生って合同説明会とかでもスーツを着るわけだ。その時に持ち帰る物って、基本企業パンフレットくらいなんだよ」
慎吾は頷きながら話す。話ながら確信していっているようだ。
「でも、動機が分からないですね。採用担当者から恨まれるって一体…」
「そもそも、殺意があったのが被害者の方だったのかもね。争った形跡があったのでしょう?」
友也も慎吾も貴音の話した言葉に反論の余地を見いだせなかった。その日のサークルはそこで終了した。
後日、事件の犯人が逮捕された。犯人の男は被害者から襲われたと自供している。その際に揉み合いになり、殺害してしまったとのことだ。被害者は前年度に二次面接で犯人の企業を落とされており、犯行当日の合同説明会で就職浪人した被害者と再会したという。被害者はもう一度犯人の企業説明を聞きに回ったそうで、犯人の名刺とパンフレットをそこで受け取っていた。事件後、動転した犯人は企業パンフがなければ関係性を隠せるのではと考え、被害者の荷物を持ち去った。鞄は犯人宅にて発見された。概ね推理通りの展開だと友也は誇らしく記事を読んだ。被害者が凶器を購入していたことが裏付けとなり解決した。しかし、友也は貴音に、被害者のことが印象に残っていた理由を、美人だったからでしょう、と見抜かれて、言葉に窮してしまうこととなった。
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