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第7章 混乱へようこそ(新4日目)
7ー3 天井裏の秘密2(上) (新4日目午後)
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ファルハは天井裏を進んだ。
這いつくばる衛生上カーディガンを羽織ったのは間違ったか、と思ったのはかなり進んでからだ。下から冷やされているとはいえ空調は効いていない。白手袋を嵌め狭い場所を這い歩めば汗は垂れ出して止まらない。
『今度は鉄筋コンクリート造だから建物の支え部分はそう簡単には壊れない』
『高くても七階くらい。ううん、上に「奴ら」はいないと思う。コンクリートの躯体を伝って音が響く』
『シャッターが弱いのは街で見る通り。窓も木の板を叩き付けただけで出るだけなら難しくない』
『換気扇から緑が見える。アンビカと話してたんだけど今度は塀で囲まれてないんじゃないかな。だから一切外に出さず、窓も完全に塞いだ』
『ラクシュミ忘れてないよね。きっと銃を持った連中が控えている』
『こっちの方が人里には近いのかもしれない。だけどちょっとした町ならモスクやお寺の放送が流れてくるはず。歩いて助けを求めるのは望み薄』
問われるままラクシュミに話して気になった。
自室のバスユニットの天井点検口から梁をくぐって廊下の天井上に出て白い天井化粧板の裏の上を進む。タブレット手持ちは面倒過ぎる。少々乱暴だがドゥパタで縦横に縛った端をウエストに回して結んで引きずった。
暗い。タブレットの周辺以外は闇だ。
天井コンクリートとの間は七十センチほど、まともな四つん這いも難しい。圧迫感に叫び出したくもなったが、
(トンネル探検だと思えばいい)
それよりは安全! と思うと楽しくなってきた。鼻歌すら出そうだったが狭い所で無駄に酸素は消費しないと考え直す。
柱ごとに蛍光文字の記号を見て、全てに位置が書き込まれていることを確認する。
やはり手間がかかり過ぎている。
居住空間ではなく本来使わないはずの天井裏に、位置描写に加え隠しカメラかもしれないという各柱の金具。
防音パネルの申し訳程度の壁、実用一点張りの突貫工事ぶりとは似つかわしくない。
(ダルシカの言う通り『人狼』がここを通ったとしたら)
彼または彼女は天井裏が使えることを知っていた、または使うために整備した「連中」側の人間ということにならないか?
『建物を移ってから「ゲーム」のレベルが変わったとはアビマニュもクリスティーナも言っていた。指摘したのがウルヴァシなら「スパイ」はトーシタ?』
『まさか』
見た目は大人びているが話せば年相応だ。即座にラクシュミへ反駁した。
『「スパイ」だからって「敵」だとは限らない。私たちと同じように誘拐されてきて「役」を強いられているのかもしれない」
(よくそんなこと思い付くなラクシュミ)
今は突拍子もないところまで話を広げる段階ではない。
昼間は忘れそうになる、いや忘れたくてわざとおしゃべりや雑事で気を紛らわせるがーやたら丹念に家具やドアレバーを拭くダルシカの姿を思い出す。あの子もきっとそうだろうーここでは簡単に命が簡単に奪われる。判断を誤ったらー
昨日の夜はクリスティーナが絶対に「人狼」だと思った。
今日は違ったんじゃないか、という気持ちの方が強い。
彼女に投票して死ねと突きつけた。
(私と同じように前に進みたかっただろうクリスティーナを死に追いやった)
投票後の凜とした後ろ姿を思いタブレットの重みを感じながら腕で探りつつ這い進む。
前へ、前へ。
考えよう。頭を使わなくては殺される。
そのためにもう一度現場を観察する。
目的地に着いた時はかなり息が上がっていた。
ディヴィアの部屋のバスルームは今いる柱のすぐ奥だ。
床に顔をつけ梁向こうをタブレットで照らして覗くが何もない。黄色いユニットバスの天井がぼんやり見えるだけだ。
(?)
柱から少し廊下側に線が三本並ぶシミがあった。
(施工中の汚れかな)
天井板は新品特有のケミカルな匂いが残り顔を近づけるのはあまり気分が良くない。ここからも工事が自分たちが来る直前だったと推測出来る。
タブレットをぐるぐる回し辺りを見ると、右手側にまたひとつシミ、これは木の葉のように見える。そこから右へ、右へと廊下を横断するルートにぽつぽつとシミは続いた。方向がわかれば見つけるのはたやすい。
見るうちにファルハはそれが人の手形だと理解した。
ふとクリスティーナを思い出したのは学生時代講義で聞いたのが日本の例だったからだろう。城だったか仏教寺院だったかの天井に手の跡がたくさん浮き出て「血天井」と呼ばれるが事実は施工時の大工の手の油分や水分が後から木目に浮き出てきたものだ。施工管理はしっかりと、という話だったがー
(ここだけに線のように通っているなら職人さんの手形じゃない?)
他の場所にはシミは見つからない。
細い方、つまり手の先は廊下を挟んだ反対側の部屋に向かい、その梁下にもまた三本線様のシミがあった。
「繊維?」
ごく短い糸くずのようなものがいくつか落ちている。
自分もそうだが梁下を通る時はどうしても服が擦れる。それで落ちたとしたら?
舌が口内に貼り付いた。喉も詰まり息が苦しい。
闇の中、動悸が血の上った耳の後ろに響く。
ディヴィアを殺した「人狼」は向かいの部屋の住人、
(ウルヴァシ?!)
とにかく記録が必要とタブレットで撮影を始めた。
使い慣れたスマホでなく苦労したがフラッシュ機能を探しだして撮影する。写真では実物の「シミ程度」より尚更薄く「手」とわかるかは微妙なところだ。どう説明しようか。
「1、17E記載柱より西約三十センチ、北約十センチ。2、そこより西ー」
音声アプリにおよその位置も録音する。追える中で一番ウルヴァシの部屋に近いシミは梁の下だ。と、
(!)
ディヴィアの部屋側の天井裏がぱっと明るくなった。
三呼吸ほどの後に消えて闇に戻る。と思うとまた点滅。また点いて少しして暗くなる。
ぞっとした。
「誰」
掠れ声で尋ねたが反応はない。
幽霊や悪霊の類いが思い浮かんだが次に人間、侵入者を想像して別の意味で恐くなった。誘拐犯「連中」だろうと金やその他目当ての泥棒強盗の類いでもぶつかっていいことはない。いや洒落にならない。
戻ろうとした右腕が強く引っ張られた。
「ガッ!」
一瞬意識を飛ばし、次の瞬間頭が勢い良く梁にぶつかったのだとわかる。酷く痛む腕は後方にねじ曲げられて引っ張られ身動きが取れない。
「人の部屋に入ったらいけないんですよぉ~」
波のように抑揚を付け嘲りをふんだんに乗せたセリフが腕の後ろから聞こえる。
その言葉が終わる前に、
『警告! 警告! ルール違反です! 警告! 警告ー』
いつものヒンディーと英語のアナウンスが下からがなり立て始める。スピーカーが廊下天井にあるため天井板を通し腹や腕に音の震えが響くようだ。
腕を後方に引く声はウルヴァシだ。人殺し、と思えば身が縮む。
『警告! 警告! ルール違反です! 他人の部屋に入ってはなりません!』
彼女の部屋上に引きずり込んで「他人の部屋に入る」違反をさせようというのか。
(でもこんな痛いほど腕を掴むのも暴力では?)
「はっ……っっっ!」
離して! と言う前に髪が引っ張られ頭は天井板に叩き付けられる。顔を板に擦り付けられ口が開けない。
(も、もっと叩けばいい)
天井化粧板に大した強度はない。叩き付ける力が数回かかればすぐに割れる。そうすればー
頭を押さえているためか腕を掴む力が弱くなった。
「ぐっっ!」
勢いよく引き抜くものの手首を掴み直されてしまう。
目の前に転がるタブレットがぼんやり辺りを照らすのが場違いに穏やかだ。もう一度、と右腕を掴む手を左手で思いっきりぶっ叩く。ざっと引くと手が外れた。
(やった!)
転がってその場を離れようとした時、
「ラール・ティーン」
低い声が背後から聞こえ、
プスリ。
(この人犯人側のー)
首に刺さった痛みが意識を消すまでの短い間にファルハは理解した。
這いつくばる衛生上カーディガンを羽織ったのは間違ったか、と思ったのはかなり進んでからだ。下から冷やされているとはいえ空調は効いていない。白手袋を嵌め狭い場所を這い歩めば汗は垂れ出して止まらない。
『今度は鉄筋コンクリート造だから建物の支え部分はそう簡単には壊れない』
『高くても七階くらい。ううん、上に「奴ら」はいないと思う。コンクリートの躯体を伝って音が響く』
『シャッターが弱いのは街で見る通り。窓も木の板を叩き付けただけで出るだけなら難しくない』
『換気扇から緑が見える。アンビカと話してたんだけど今度は塀で囲まれてないんじゃないかな。だから一切外に出さず、窓も完全に塞いだ』
『ラクシュミ忘れてないよね。きっと銃を持った連中が控えている』
『こっちの方が人里には近いのかもしれない。だけどちょっとした町ならモスクやお寺の放送が流れてくるはず。歩いて助けを求めるのは望み薄』
問われるままラクシュミに話して気になった。
自室のバスユニットの天井点検口から梁をくぐって廊下の天井上に出て白い天井化粧板の裏の上を進む。タブレット手持ちは面倒過ぎる。少々乱暴だがドゥパタで縦横に縛った端をウエストに回して結んで引きずった。
暗い。タブレットの周辺以外は闇だ。
天井コンクリートとの間は七十センチほど、まともな四つん這いも難しい。圧迫感に叫び出したくもなったが、
(トンネル探検だと思えばいい)
それよりは安全! と思うと楽しくなってきた。鼻歌すら出そうだったが狭い所で無駄に酸素は消費しないと考え直す。
柱ごとに蛍光文字の記号を見て、全てに位置が書き込まれていることを確認する。
やはり手間がかかり過ぎている。
居住空間ではなく本来使わないはずの天井裏に、位置描写に加え隠しカメラかもしれないという各柱の金具。
防音パネルの申し訳程度の壁、実用一点張りの突貫工事ぶりとは似つかわしくない。
(ダルシカの言う通り『人狼』がここを通ったとしたら)
彼または彼女は天井裏が使えることを知っていた、または使うために整備した「連中」側の人間ということにならないか?
『建物を移ってから「ゲーム」のレベルが変わったとはアビマニュもクリスティーナも言っていた。指摘したのがウルヴァシなら「スパイ」はトーシタ?』
『まさか』
見た目は大人びているが話せば年相応だ。即座にラクシュミへ反駁した。
『「スパイ」だからって「敵」だとは限らない。私たちと同じように誘拐されてきて「役」を強いられているのかもしれない」
(よくそんなこと思い付くなラクシュミ)
今は突拍子もないところまで話を広げる段階ではない。
昼間は忘れそうになる、いや忘れたくてわざとおしゃべりや雑事で気を紛らわせるがーやたら丹念に家具やドアレバーを拭くダルシカの姿を思い出す。あの子もきっとそうだろうーここでは簡単に命が簡単に奪われる。判断を誤ったらー
昨日の夜はクリスティーナが絶対に「人狼」だと思った。
今日は違ったんじゃないか、という気持ちの方が強い。
彼女に投票して死ねと突きつけた。
(私と同じように前に進みたかっただろうクリスティーナを死に追いやった)
投票後の凜とした後ろ姿を思いタブレットの重みを感じながら腕で探りつつ這い進む。
前へ、前へ。
考えよう。頭を使わなくては殺される。
そのためにもう一度現場を観察する。
目的地に着いた時はかなり息が上がっていた。
ディヴィアの部屋のバスルームは今いる柱のすぐ奥だ。
床に顔をつけ梁向こうをタブレットで照らして覗くが何もない。黄色いユニットバスの天井がぼんやり見えるだけだ。
(?)
柱から少し廊下側に線が三本並ぶシミがあった。
(施工中の汚れかな)
天井板は新品特有のケミカルな匂いが残り顔を近づけるのはあまり気分が良くない。ここからも工事が自分たちが来る直前だったと推測出来る。
タブレットをぐるぐる回し辺りを見ると、右手側にまたひとつシミ、これは木の葉のように見える。そこから右へ、右へと廊下を横断するルートにぽつぽつとシミは続いた。方向がわかれば見つけるのはたやすい。
見るうちにファルハはそれが人の手形だと理解した。
ふとクリスティーナを思い出したのは学生時代講義で聞いたのが日本の例だったからだろう。城だったか仏教寺院だったかの天井に手の跡がたくさん浮き出て「血天井」と呼ばれるが事実は施工時の大工の手の油分や水分が後から木目に浮き出てきたものだ。施工管理はしっかりと、という話だったがー
(ここだけに線のように通っているなら職人さんの手形じゃない?)
他の場所にはシミは見つからない。
細い方、つまり手の先は廊下を挟んだ反対側の部屋に向かい、その梁下にもまた三本線様のシミがあった。
「繊維?」
ごく短い糸くずのようなものがいくつか落ちている。
自分もそうだが梁下を通る時はどうしても服が擦れる。それで落ちたとしたら?
舌が口内に貼り付いた。喉も詰まり息が苦しい。
闇の中、動悸が血の上った耳の後ろに響く。
ディヴィアを殺した「人狼」は向かいの部屋の住人、
(ウルヴァシ?!)
とにかく記録が必要とタブレットで撮影を始めた。
使い慣れたスマホでなく苦労したがフラッシュ機能を探しだして撮影する。写真では実物の「シミ程度」より尚更薄く「手」とわかるかは微妙なところだ。どう説明しようか。
「1、17E記載柱より西約三十センチ、北約十センチ。2、そこより西ー」
音声アプリにおよその位置も録音する。追える中で一番ウルヴァシの部屋に近いシミは梁の下だ。と、
(!)
ディヴィアの部屋側の天井裏がぱっと明るくなった。
三呼吸ほどの後に消えて闇に戻る。と思うとまた点滅。また点いて少しして暗くなる。
ぞっとした。
「誰」
掠れ声で尋ねたが反応はない。
幽霊や悪霊の類いが思い浮かんだが次に人間、侵入者を想像して別の意味で恐くなった。誘拐犯「連中」だろうと金やその他目当ての泥棒強盗の類いでもぶつかっていいことはない。いや洒落にならない。
戻ろうとした右腕が強く引っ張られた。
「ガッ!」
一瞬意識を飛ばし、次の瞬間頭が勢い良く梁にぶつかったのだとわかる。酷く痛む腕は後方にねじ曲げられて引っ張られ身動きが取れない。
「人の部屋に入ったらいけないんですよぉ~」
波のように抑揚を付け嘲りをふんだんに乗せたセリフが腕の後ろから聞こえる。
その言葉が終わる前に、
『警告! 警告! ルール違反です! 警告! 警告ー』
いつものヒンディーと英語のアナウンスが下からがなり立て始める。スピーカーが廊下天井にあるため天井板を通し腹や腕に音の震えが響くようだ。
腕を後方に引く声はウルヴァシだ。人殺し、と思えば身が縮む。
『警告! 警告! ルール違反です! 他人の部屋に入ってはなりません!』
彼女の部屋上に引きずり込んで「他人の部屋に入る」違反をさせようというのか。
(でもこんな痛いほど腕を掴むのも暴力では?)
「はっ……っっっ!」
離して! と言う前に髪が引っ張られ頭は天井板に叩き付けられる。顔を板に擦り付けられ口が開けない。
(も、もっと叩けばいい)
天井化粧板に大した強度はない。叩き付ける力が数回かかればすぐに割れる。そうすればー
頭を押さえているためか腕を掴む力が弱くなった。
「ぐっっ!」
勢いよく引き抜くものの手首を掴み直されてしまう。
目の前に転がるタブレットがぼんやり辺りを照らすのが場違いに穏やかだ。もう一度、と右腕を掴む手を左手で思いっきりぶっ叩く。ざっと引くと手が外れた。
(やった!)
転がってその場を離れようとした時、
「ラール・ティーン」
低い声が背後から聞こえ、
プスリ。
(この人犯人側のー)
首に刺さった痛みが意識を消すまでの短い間にファルハは理解した。
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