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「ハインメル伯爵。すこしいいでしょうか」
「っ国主様。この度は申し訳ありません。エルメダには厳しく罰を下しますので命だけはどうかお許し下さいませんでしょうか」
な、なんかわたしが悪役みたいになってる。エルメダも睨んできてるし。
「別に罰を与えようというわけではないのですが·····。ひとまずエルメダ嬢と話をさせてもらえませんか?できれば二人っきりで」
「····わかり、ました。どうか寛大なご処置を·····」
いや、罰を与えるとは一言も言ってないんだけどなぁ。
他国の最高権力者相手にやらかしたんだからそうなるのは分かってるんだけどさ。こう、なんか自分が悪役の女王みたいな扱いでダメージが入る。
「少々お待ち下さい。エフィー、ちょっと」
「なに?」
「実はーーーー」
わたしがエルメダをヴィルフリートの婚約者に仕立てるのはどうかという計画を話した。
「なるほど、たしかにいいかもしれないわ。尽く相手を公務を理由に振り続けるようなちょっとおかしいお兄様をもらってくれると言うなら大歓迎よ」
お兄様のせいで毎年お父様とお母様が頭を抱えているんだし、いい加減年貢の納め時ね。といい笑みを浮かべている。
「それに、彼女は幼馴染のなかでね、そうなれば嬉しいわ。結構頭も切れるし」
「幼馴染みという割にはガチギレしてましたよね」
「あなたなら厳しい罰は下さないでしょう?」
分かってますよ的な顔をしている。なんか見透かされてるみたいで釈然としない。
取り敢えずエフィーも参加したいというので3人で話し合うことになった。
「二人とも、何の話をしてるんだい?」
「内緒です。早くいくわよ。お兄様は来ないでくださいね」
「え!?」
ガーンといった感じでいきなり仲間はずれにされたヴィルフリートがピシッと固まる。
そんなヴィルフリートをまるっと無視して、エフィーはわたしとエルメダ嬢を引きずっていった。
「え?あれ?」
パタン、と閉じられた扉の前で置いてきぼりにされたヴィルフリートは手を中途半端に伸ばしたまましばらく固まっていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「それでエルメダ嬢」
「は、はい!?」
突然この部屋に連れてこられた事に未だ理解が追いついていないらしく、声を裏返している。
いきなり王女と国主に引きずってこられたのだから戸惑うのは無理もない。
「ヴィルフリートのことをどう思ってるの!?」
「???······うええええええええ!?」
勢い込んで尋ねたけど一瞬理解が追いついて来なかったらしく、一拍遅れて顔を真っ赤にした。
「わ、わたくしがヴィルフリート様を!?」
うん。実にわかりやすい。癖になるような可愛さだ。
「わ、わたくしが、そ,そんなこと·····」
プシューと頭から煙を出しながら悶ている。そろそろショート寸前かな?
「ねえ、本当にエルメダって頭切れるの?むっちゃ可愛いんですけど」
「ええ、そのはずです。お兄様以外の事という注釈が入りますが」
「ああ」
普段は強いけど、恋愛方面ではポンコツといった感じかな。
何そのギャップ。ヤバい、あざとすぎでしょ!
っとなるほど。わたし相手にあんなポカをやらかしたのはそういう理由か。これは一人だったら確実に自滅していたのでは?
「まあ、それはともかく。エルメダ嬢はヴィルフリートが好きだということでいいですね?」
「あ、う·····はい·····」
気の強そうな容姿と裏腹の表情でぷるぷると震えながら首肯する。
かわいいーーーーーー!!!!!!
だめだ。これは人を駄目にする。ああ!!でももっとイジメたい!!!
「シ、オ、リ?」
「あ、はい。ごめんなさい」
笑顔の威圧をかけてくるエフィーに、はっ、と我に返り、コホン、と慌ててひとつ咳払いをした。
「エルメダ嬢」
「な、なんですか!?」
「あなたの恋、全力でわたしたちがサポートします!」
「え?今なんと·····?」
「あなたをヴィルフリートの婚約者にしてみせると言ったのです!」
「え、ええ?」
困惑したようにエルメダ嬢がわたしを見てきた。どこか真意を探るような目をしている。
「どうかしましたか?」
「えっと·····国主様はヴィルフリート様のことが好きではないの?」
·····ああああ!!疑われてたのはそれでか!
確かにヴィルフリートと親しげでなおかつ、他のものに比べて明らかに距離の近い女なんて、婚約者狙いのエルメダ嬢からすれば最大のライバルだ。そりゃあ警戒するし、敵視するだろう。
「安心してください。ヴィルフリートのことは好きですが、あくまで友達としてであって、異性としての好きではないです」
「ほ、本当ですの?」
「はい、本当です。というわけでエルメダ嬢。わたしたちと手を組みませんか?」
「手を組む·····ですの?」
「はい。利害は一致するはずです」
イマイチ理解できていない様子のエルメダ嬢に取引を持ちかけた。
「あなた、ヴィルフリートの婚約者になりませんか?」
そう言ってわたしはエルメダ嬢に笑いかけた。
「っ国主様。この度は申し訳ありません。エルメダには厳しく罰を下しますので命だけはどうかお許し下さいませんでしょうか」
な、なんかわたしが悪役みたいになってる。エルメダも睨んできてるし。
「別に罰を与えようというわけではないのですが·····。ひとまずエルメダ嬢と話をさせてもらえませんか?できれば二人っきりで」
「····わかり、ました。どうか寛大なご処置を·····」
いや、罰を与えるとは一言も言ってないんだけどなぁ。
他国の最高権力者相手にやらかしたんだからそうなるのは分かってるんだけどさ。こう、なんか自分が悪役の女王みたいな扱いでダメージが入る。
「少々お待ち下さい。エフィー、ちょっと」
「なに?」
「実はーーーー」
わたしがエルメダをヴィルフリートの婚約者に仕立てるのはどうかという計画を話した。
「なるほど、たしかにいいかもしれないわ。尽く相手を公務を理由に振り続けるようなちょっとおかしいお兄様をもらってくれると言うなら大歓迎よ」
お兄様のせいで毎年お父様とお母様が頭を抱えているんだし、いい加減年貢の納め時ね。といい笑みを浮かべている。
「それに、彼女は幼馴染のなかでね、そうなれば嬉しいわ。結構頭も切れるし」
「幼馴染みという割にはガチギレしてましたよね」
「あなたなら厳しい罰は下さないでしょう?」
分かってますよ的な顔をしている。なんか見透かされてるみたいで釈然としない。
取り敢えずエフィーも参加したいというので3人で話し合うことになった。
「二人とも、何の話をしてるんだい?」
「内緒です。早くいくわよ。お兄様は来ないでくださいね」
「え!?」
ガーンといった感じでいきなり仲間はずれにされたヴィルフリートがピシッと固まる。
そんなヴィルフリートをまるっと無視して、エフィーはわたしとエルメダ嬢を引きずっていった。
「え?あれ?」
パタン、と閉じられた扉の前で置いてきぼりにされたヴィルフリートは手を中途半端に伸ばしたまましばらく固まっていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「それでエルメダ嬢」
「は、はい!?」
突然この部屋に連れてこられた事に未だ理解が追いついていないらしく、声を裏返している。
いきなり王女と国主に引きずってこられたのだから戸惑うのは無理もない。
「ヴィルフリートのことをどう思ってるの!?」
「???······うええええええええ!?」
勢い込んで尋ねたけど一瞬理解が追いついて来なかったらしく、一拍遅れて顔を真っ赤にした。
「わ、わたくしがヴィルフリート様を!?」
うん。実にわかりやすい。癖になるような可愛さだ。
「わ、わたくしが、そ,そんなこと·····」
プシューと頭から煙を出しながら悶ている。そろそろショート寸前かな?
「ねえ、本当にエルメダって頭切れるの?むっちゃ可愛いんですけど」
「ええ、そのはずです。お兄様以外の事という注釈が入りますが」
「ああ」
普段は強いけど、恋愛方面ではポンコツといった感じかな。
何そのギャップ。ヤバい、あざとすぎでしょ!
っとなるほど。わたし相手にあんなポカをやらかしたのはそういう理由か。これは一人だったら確実に自滅していたのでは?
「まあ、それはともかく。エルメダ嬢はヴィルフリートが好きだということでいいですね?」
「あ、う·····はい·····」
気の強そうな容姿と裏腹の表情でぷるぷると震えながら首肯する。
かわいいーーーーーー!!!!!!
だめだ。これは人を駄目にする。ああ!!でももっとイジメたい!!!
「シ、オ、リ?」
「あ、はい。ごめんなさい」
笑顔の威圧をかけてくるエフィーに、はっ、と我に返り、コホン、と慌ててひとつ咳払いをした。
「エルメダ嬢」
「な、なんですか!?」
「あなたの恋、全力でわたしたちがサポートします!」
「え?今なんと·····?」
「あなたをヴィルフリートの婚約者にしてみせると言ったのです!」
「え、ええ?」
困惑したようにエルメダ嬢がわたしを見てきた。どこか真意を探るような目をしている。
「どうかしましたか?」
「えっと·····国主様はヴィルフリート様のことが好きではないの?」
·····ああああ!!疑われてたのはそれでか!
確かにヴィルフリートと親しげでなおかつ、他のものに比べて明らかに距離の近い女なんて、婚約者狙いのエルメダ嬢からすれば最大のライバルだ。そりゃあ警戒するし、敵視するだろう。
「安心してください。ヴィルフリートのことは好きですが、あくまで友達としてであって、異性としての好きではないです」
「ほ、本当ですの?」
「はい、本当です。というわけでエルメダ嬢。わたしたちと手を組みませんか?」
「手を組む·····ですの?」
「はい。利害は一致するはずです」
イマイチ理解できていない様子のエルメダ嬢に取引を持ちかけた。
「あなた、ヴィルフリートの婚約者になりませんか?」
そう言ってわたしはエルメダ嬢に笑いかけた。
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