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第一幕 ハイランドとローランドの締結
それぞれの強き意思1
しおりを挟むドリュSIDE
「なぜ自分の身を案じない?」
僕は、牢獄の中でぐったりと横たわっているジェイミーに言葉を投げた。
どうしてだろう。
なぜこんなところに自ら来てしまったのか。
僕自身、よくわからない。
こんなヤツ…どうなろうが関係ないのに。むしろ獄中生活になって、せいせいしているはずなんだ。
僕を無理やり抱いて、僕のプライドをズタズタにした男なんだから。
ジェイミーの身体が起き上がり、座ったまま、僕を見上げた。
「こんなところに来るとは……意外だな」
ジェイミーがくすっと笑った。
「カイト様から聞いた。お前、全責任を請け負うからセシルの慈悲を乞うたそうじゃないか」
「騎士なら当たり前ことでしょ。全身全霊で主を守る。それが騎士の務め」
「処刑となっても?」
「なんであろうと、騎士は主のために存在する」
なんかむかつく。
腹立たしい。
命をかけるほどの男か……セシルとは?
女の格好をして、女と偽って、嫁いできたあんなヤツのどこがいい? どこが守りたいと思う?
僕には全くわからないね。
僕は腰に佩いている長剣を引き抜くと、格子の隙間から、刃を半分ほど中に入れた。
「今、ここで僕が殺すと言っても…笑っていられるのか?」
命乞いくらいしてみろ。
死にたくないと、僕に縋り付け。
じゃないと…僕はお前がわからない。
お前という人間が、理解できない。
人は『死』を目前にしたら、他人など関係なくなるんじゃないのか?
主君とか…義とか…そんな形のない不安定な思いなど消えるんじゃないのか?
「セシル様をイザベラ様だと詐称し、イザベラ様が床に伏せていると嘘をついた件に関し、罪を問われ、その剣によって首を落とされるのなら、首を差し出す覚悟はとっくにできている。ハイランドの地を離れる前から、全ての責任の負う覚悟できた」
ジェイミーのはっきりとした揺るぎのない声色に、僕はぎゅっと唇を噛み締めた。
悔しい。
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