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第一幕 ハイランドとローランドの締結

契りの紅き徴4

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「もうわかった。この結婚は無効としたほうが良さそうだ」
「ちょいちょい、勝手に誤解して勝手に決めるな!」

『ふっ』と哀れな笑みを見せたカイトが、俺に背を向けて歩き出す。

 だから、待てって言ってんだろうがよ!
 俺はベッドから降りると、ドレスのスカートを持ち上げて、カイトの膝裏に蹴りを入れた。

「待てって言ってんだろ! 勝手に部屋を出て行くな!」
 カイトが膝からがくっと落ちると、絨毯の上に両手をついた。

「もう…わかったと言っただろ。お前の弁解を聞く気にもならん」
「なれ! 馬鹿野郎」

「もういいっと言ってるのがわからないのか!」
「良くねえって言ってんのがわからねえのかよ!」

 俺は床に四つん這いになっているカイトの尻を蹴った。

「お前は俺の性格をわかってねえんだから、俺の言葉で勝手に答えを導くな」
「はあ?」とカイトが、眉間に皺を寄せると床に座って、俺を見上げた。

「俺は、少し物事をおおげさに言う癖がある」
『何を言っているんだ?』と言わんばかりの表情で、カイトが立ち上がりながら俺を睨む

「感情が高ぶるとついつい余計なことまで、言葉が出ちまうんだよ。どうでも良い内容とか……全然、関係ない俺の気持ちとか……なんつうか、その……ああ、面倒くせぇ! 察しろ」

 俺はカイトの顔に向けて、びしっと指をさした。

「ああ? お前の性格を知らないのだから、勝手に答えを出すなと言ったばかりなのに、『察しろ』とは矛盾していると思わないのか?」

「うるせえよ。わかってるよ。わかってるけど……どう説明したらいいのかわからねえんだよ。何だよ、お前は!」
「それは私の台詞だ。お前こそ一体、何をしたい?」

 カイトがすっかり俺に呆れているようだ。

 俺は綺麗にセットしてある髪をぐちゃぐちゃに掻き毟ると、「うー」とか「あー」とかの唸り声をあげた。

「だからさぁ、何っつうの? あんたと妹の結婚には納得してる……一応、たぶん……まあ、それなりに。仕方ねえかな? って思う部分がある。あんたらの血族と手を結ばなければ、他の国のヤツらにこのアルバを奪われるっていう危機感がある……から、まあ、あんたとの協力は必要不可欠なんだろうなあ……って。だ、け、ど!」

 俺は言葉を強めると、ぱっと立ち上がったカイトの胸を人指し指でツンと押した。
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