キミの足が魅惑的だから

ひなた翠

文字の大きさ
上 下
25 / 26
第三章 似た者同士

10

しおりを挟む
 私が朝、出勤すると社内がざわついていた。社内メールにて、専務からの辞令内容が発表されていた。

 営業課の佐久間係長が本日付けで総務課へと異動、と。

 朝一で、佐久間係長は朝比奈係長に呼び出されて、辞令交付を受けたらしい。部屋から出てきた彼が、私の前で立ち止まると「ちょっといい?」と声をかけられた。

 廊下に出ると、佐久間係長がムスッとした顔で私を見てきた。

「あいつ、兄貴に告げ口したの?」
「……え?」

「ミスに気付かないでゴーサインしたのはあいつだろ? それを俺のせいにしやがって」
「なんのこと?」

「だから! 今回の異動の件だよ! 自分が悪いくせに、損失が出たからって俺のせいにして兄貴である朝比奈専務に告げ口したんだろ?って聞いてんだよ。秘書なんだから、わかるだろ」
 わかってても、秘書なんだからペラペラ言うわけないじゃない。

 それに……朝比奈課長は、報告してもらえなかったって話してた。

「わからない」
「嘘をつくな!」

 ガンっと壁を叩かれて、私はびっくりして身を縮めた。

「知りません」
「へえ? あいつら兄弟の肩をもつと?」

「そういうわけじゃない。秘書だからって何でも知ってると思わないで。それに辞令の件で納得できないなら、私にじゃなくて直接、朝比奈専務なり、課長にかけあうべきかと……」

「あいつらが、かけあうと? 失敗の責任を俺に擦り付けるようなヤツらに」
「だから……」

「おいっ、何してんだよ」

 横から低い声がして、壁に手をついている佐久間の腕がぐにゃりと曲がっていった。彼の背中に腕がまわり、痛みからか唸り声をあげた。

「何、してんだって聞いてんだよ!」
 佐久間の腕を捻り上げた朝比奈課長が、鋭い瞳で睨んでいる。

「いたっ……ただ、話を、して……」
「ただの話をしている奴が、壁を力任せに殴って威嚇しねえだろうが。ああ?」

「朝比奈課長、やめてください」
 私は朝比奈課長の腕にそっと触れた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

車の中で会社の後輩を喘がせている

ヘロディア
恋愛
会社の後輩と”そういう”関係にある主人公。 彼らはどこでも交わっていく…

これ以上ヤったら●っちゃう!

ヘロディア
恋愛
彼氏が変態である主人公。 いつも自分の部屋に呼んで戯れていたが、とうとう彼の部屋に呼ばれてしまい…

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました

ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら…… という、とんでもないお話を書きました。 ぜひ読んでください。

ねえ、私の本性を暴いてよ♡ オナニークラブで働く女子大生

花野りら
恋愛
オナニークラブとは、個室で男性客のオナニーを見てあげたり手コキする風俗店のひとつ。 女子大生がエッチなアルバイトをしているという背徳感! イケナイことをしている羞恥プレイからの過激なセックスシーンは必読♡

処理中です...