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10 よく分からない二次被害のようなこと。
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部屋にたどり着いて、またホッと一息ついた。
そのままお風呂に入る。
酷い一週間だった。
噂をささやかれて始まり、酷い夢を見てストレスが加わる日になり、何だか分からない事になって週末に突入。静かな週末が嬉しい。
ゆっくり休みたい。
一つだけ救いがあるとしたら、決して挨拶もなく勝手に帰られていたわけじゃなかった。
そこは嫌がらせじゃなかった。
むしろ私が勝手に電気を消して部屋を真っ暗にして先に帰ったことになっていた。
それは申し訳ないと思った。
ファイルを両手に持って、真っ暗な部屋を進む佐々木さんの姿が思い浮かぶ。
確かに危ないかも。
気がつかなかったから、しょうがない。
逆に嫌がらせと思われてたらしい。
普通思う?
次の日に一言言ってくれれば済むことを。
今回の事がなかったとしたら一体いつ言い出すつもりだったのか。
それこそ最後の最後に嫌がらせの報復のように言われたり・・・・、
そんな人じゃないかもと、少しは思ったが。
私だって不要な敵は作りたくないし、身に覚えのない恨みはこれ以上増やしたくはない。
いろいろと気になることが無い事もないが、心配はしてくれたんだろう、・・・と思いたい。
それは一応会社の『仲間』だし、『同期』だし、『友達の友達』だし。
林と佐々木さんが部屋に泊まるほど仲がいいのも想像できない。
普通?
今頃ビールを買い込んで部屋に上がってるかもしれない。
余計なお金を使わせた、タクシー代も、アイリッシュバーでも。
そして、疲れた。
睡眠薬を飲ませて、ふらつく女性を、部屋か、ホテルへ?
あり得ない。
何が楽しいんだろう?
あんなところで沈み込んでいた私は、確かに『いい鴨』だっただろう。
その日に犯罪へ落とし込むとは、鴨の中でも簡単に寄ってきた方かもしれない。
悔やまれるやり取りの数々。
やっぱり私もマダマダだ。
週末、寝てたら危機感も薄れた。
あれから連絡はない。
もう無いのでは?
確かに電話番号しか知らないだろう。
こっちは名刺も渡してない。
メールなら簡単に残念だったとか、また行こうとか誘えるけど。
電話ではそうも行かないのかもしれない。
じゃあ、佐々木さんが心配したような連絡はもうないだろう。
少し、安心した。
近場のカフェに行き、久しぶりにまともな食事をした。
林からも何の連絡もない。
気になる。
何を話したのか、気になる。
佐々木さんは協力させると言っていた。
一体いつまで?
しばらくって、いつまで?
月曜日、そんな事はちらりとも感じさせずに、どっさりと資料を渡された。
ちょっと窺うような目で見てしまった自分を、悔しく思った。
確かに一言も話をしてなかったから。
今更人前ではあの話は出ないだろう。
お昼も同じように買って来た。
今日も終わらないだろうから、昼もつぶして仕事をするつもりで。
お昼にはもう誘われなかった。
ただ行ってらっしゃいと笑顔で見送った。
課長もいなくなり部屋に二人。
打ち込む手を止めて、話しかけてみた。
お礼と、あと必要な?報告もしたいから・・・・。
「佐々木さん、先週はありがとうございました。あれから特に連絡はありません。名刺も渡してないですし、連絡先も交換してません。着信で電話番号が分かるくらいだと思います。」
「そう、幸いだったよね。」
相変わらず視線はパソコンに、手も動いてる。
邪魔だと言わんばかりの態度。
しつこいと言わんばかりに無視して動く指。
やっぱり大掛かりな嫌がらせかという思いがムクッと出てきそうになる。
ため息を細くつき、仕事を再開しようとしたら声がした。
「今日は林君が迎えに来てくれるから。途中まででも一緒に帰るといいよ。」
ほぼ命令だろう。
しかも一方的にそう言われて、あいつの迷惑そうな、でもかなり面白がりそうな顔が浮かぶ。
帰り道、何と言って揶揄われるか想像できる。
「油断しないで。今日も普通に出勤してるらしいから。」
私はそれを確かめようがないが、例のメールの友達に確認してくれたんだろうか?
それ以降言葉もなかった。
また静かな空間で仕事をする二人。
キリのいい所でお昼にした。
そのままお風呂に入る。
酷い一週間だった。
噂をささやかれて始まり、酷い夢を見てストレスが加わる日になり、何だか分からない事になって週末に突入。静かな週末が嬉しい。
ゆっくり休みたい。
一つだけ救いがあるとしたら、決して挨拶もなく勝手に帰られていたわけじゃなかった。
そこは嫌がらせじゃなかった。
むしろ私が勝手に電気を消して部屋を真っ暗にして先に帰ったことになっていた。
それは申し訳ないと思った。
ファイルを両手に持って、真っ暗な部屋を進む佐々木さんの姿が思い浮かぶ。
確かに危ないかも。
気がつかなかったから、しょうがない。
逆に嫌がらせと思われてたらしい。
普通思う?
次の日に一言言ってくれれば済むことを。
今回の事がなかったとしたら一体いつ言い出すつもりだったのか。
それこそ最後の最後に嫌がらせの報復のように言われたり・・・・、
そんな人じゃないかもと、少しは思ったが。
私だって不要な敵は作りたくないし、身に覚えのない恨みはこれ以上増やしたくはない。
いろいろと気になることが無い事もないが、心配はしてくれたんだろう、・・・と思いたい。
それは一応会社の『仲間』だし、『同期』だし、『友達の友達』だし。
林と佐々木さんが部屋に泊まるほど仲がいいのも想像できない。
普通?
今頃ビールを買い込んで部屋に上がってるかもしれない。
余計なお金を使わせた、タクシー代も、アイリッシュバーでも。
そして、疲れた。
睡眠薬を飲ませて、ふらつく女性を、部屋か、ホテルへ?
あり得ない。
何が楽しいんだろう?
あんなところで沈み込んでいた私は、確かに『いい鴨』だっただろう。
その日に犯罪へ落とし込むとは、鴨の中でも簡単に寄ってきた方かもしれない。
悔やまれるやり取りの数々。
やっぱり私もマダマダだ。
週末、寝てたら危機感も薄れた。
あれから連絡はない。
もう無いのでは?
確かに電話番号しか知らないだろう。
こっちは名刺も渡してない。
メールなら簡単に残念だったとか、また行こうとか誘えるけど。
電話ではそうも行かないのかもしれない。
じゃあ、佐々木さんが心配したような連絡はもうないだろう。
少し、安心した。
近場のカフェに行き、久しぶりにまともな食事をした。
林からも何の連絡もない。
気になる。
何を話したのか、気になる。
佐々木さんは協力させると言っていた。
一体いつまで?
しばらくって、いつまで?
月曜日、そんな事はちらりとも感じさせずに、どっさりと資料を渡された。
ちょっと窺うような目で見てしまった自分を、悔しく思った。
確かに一言も話をしてなかったから。
今更人前ではあの話は出ないだろう。
お昼も同じように買って来た。
今日も終わらないだろうから、昼もつぶして仕事をするつもりで。
お昼にはもう誘われなかった。
ただ行ってらっしゃいと笑顔で見送った。
課長もいなくなり部屋に二人。
打ち込む手を止めて、話しかけてみた。
お礼と、あと必要な?報告もしたいから・・・・。
「佐々木さん、先週はありがとうございました。あれから特に連絡はありません。名刺も渡してないですし、連絡先も交換してません。着信で電話番号が分かるくらいだと思います。」
「そう、幸いだったよね。」
相変わらず視線はパソコンに、手も動いてる。
邪魔だと言わんばかりの態度。
しつこいと言わんばかりに無視して動く指。
やっぱり大掛かりな嫌がらせかという思いがムクッと出てきそうになる。
ため息を細くつき、仕事を再開しようとしたら声がした。
「今日は林君が迎えに来てくれるから。途中まででも一緒に帰るといいよ。」
ほぼ命令だろう。
しかも一方的にそう言われて、あいつの迷惑そうな、でもかなり面白がりそうな顔が浮かぶ。
帰り道、何と言って揶揄われるか想像できる。
「油断しないで。今日も普通に出勤してるらしいから。」
私はそれを確かめようがないが、例のメールの友達に確認してくれたんだろうか?
それ以降言葉もなかった。
また静かな空間で仕事をする二人。
キリのいい所でお昼にした。
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