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31 小さな内緒事
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それから沙良ちゃんを見るたびに、妹の鈴ちゃんを想像していた。
晴れた日曜日、その鈴ちゃんと、七尾さん兄妹を待っている。
食事に連れて行くと言う。
一緒に来てほしいと言われた。
数秒の戸惑いの後、返事した私。
それから小姑に気に入られる服・・・・なんてサイトを見ながら服を決めたりした。
派手ミニ露出過度はダメと書かれていた。
まさかこのサイトも小姑を小学生に設定はしてないだろう。
それでも参考までに一通り目を通す。
ニックネームについて・・・・七尾さんと呼んでるから問題ない。
鈴ちゃんの呼び方は『鈴ちゃん』としか呼べない。
まさか『妹さん』なんてはね。
ある程度の節度を持って、馴れ馴れしく家族面しないこと。
他の家族、ご両親などに媚びを売り過ぎない事。
勝手に話を進めない事。
もし妹さんにも家族がいた場合、特に男性には要注意。ご主人子供など。
とりあえずいろいろあった。
誰もが苦労してるのだと思った。
妹の旦那さん・・・・・そこは笑ったけど。
結局もう一度、着ている服を見て自分に合格点をあげた。
普通の普通。
あんまり大人っぽくもしてない。
きっと七尾さんもラフな格好だと思うし。
そして万全の体制と心得を持って、ここにいる。
落ち着かない。
いつもはワクワク落ち着かない七尾さんとの待ち合わせ。
そうじゃなくて、今日は緊張で落ち着かない。
相手は小学生・・・・・・。
「リンさん。」
いきなり聞き慣れない声で呼ばれてびっくりした。
『リン』は七尾さんしか呼ばない。
視線の下に小さな女の子。
覚えがある笑顔。トニーに向けていた笑顔。
ちょっとだけ自分の中から力が抜ける。
「こんにちは、鈴ちゃん。」
キョロキョロするけど七尾さんがいない。
「鈴ちゃん、七尾さんは?一人?」そんな訳ないけど。
「鈴、だましたな?勝手に先に行ったよね。」
走ってきた七尾さん、鈴ちゃんに怒りながら声をかけている。
一体どこで置いて行かれたのか、出し抜かれたのか。
「リン、お待たせ。」
「はい。・・・七尾さん、大丈夫ですか?」
かなり息が上がってる。
「ね、やっぱり会ったことがある女の人だった。すぐわかったよ。」
「ありがとう。私もすぐに分かりました。」
「お兄ちゃんがご馳走してくれるらしいです。行きましょう。」
大人びた誘いを受けて、手をつながれた。
引っ張られるように歩き出す。
一緒に七尾さんも。
間に鈴ちゃん。
さすがに私の子供にしたら、大きいよね?
どんな関係に見えるんだろう?
ついたお店は気取らないお店。
ポップで可愛いとかじゃなくて普通に大人が来る店だった。
お酒は控えて、フレッシュジュースを頼んで乾杯した。
基本はイタリアンなので皆で取り合う。
最初に鈴ちゃんがとって、後は2人で。
「リンさん、おいしいですね。もう、リンさんのお陰で私は美味しいものを食べられます。」
「鈴ちゃん、美味しいね。私は鈴ちゃんと七尾さんのお陰で美味しいお食事です。」
「実はパパもママもすごく来たがってたんですが、お兄ちゃんのお金が大変なので今日はお食事は別にしました。後で合流です。」
んんんっ?
「鈴、今なんて言った?」
「大きい声を出したらダメだよ。後でパパとママも来るよって。デザートだけは一緒に食べたいって言ってた。」
「ここに来るの?」
「うん、大丈夫。分かるって言ってたよ。」
そう言う心配じゃなくて・・・・。
分かってるよね?わざと?
「なんで黙ってた?」
「知らない。お兄ちゃん聞いてなかったの?」
「鈴が教えてくれないと知らないよ。」
「だってお兄ちゃんが知らないなんて、鈴は知らないから。それはコミュニケーション不足だよ。ちゃんと私をリンさんに会わせるからって教えれば、『じゃあ、後で合流しましょう。』ってママも教えたんじゃない?」
「鈴、わざとだよね。わざと内緒にしようって相談したんだよね。」
「知らないよ。・・・・リンさん、こんな兄ですが、よろしくお願いします。」
「鈴ちゃん・・・・。よろしくお願いします。」
本当に来るの?
七尾さんを見たけど、困った顔をされただけだった。
晴れた日曜日、その鈴ちゃんと、七尾さん兄妹を待っている。
食事に連れて行くと言う。
一緒に来てほしいと言われた。
数秒の戸惑いの後、返事した私。
それから小姑に気に入られる服・・・・なんてサイトを見ながら服を決めたりした。
派手ミニ露出過度はダメと書かれていた。
まさかこのサイトも小姑を小学生に設定はしてないだろう。
それでも参考までに一通り目を通す。
ニックネームについて・・・・七尾さんと呼んでるから問題ない。
鈴ちゃんの呼び方は『鈴ちゃん』としか呼べない。
まさか『妹さん』なんてはね。
ある程度の節度を持って、馴れ馴れしく家族面しないこと。
他の家族、ご両親などに媚びを売り過ぎない事。
勝手に話を進めない事。
もし妹さんにも家族がいた場合、特に男性には要注意。ご主人子供など。
とりあえずいろいろあった。
誰もが苦労してるのだと思った。
妹の旦那さん・・・・・そこは笑ったけど。
結局もう一度、着ている服を見て自分に合格点をあげた。
普通の普通。
あんまり大人っぽくもしてない。
きっと七尾さんもラフな格好だと思うし。
そして万全の体制と心得を持って、ここにいる。
落ち着かない。
いつもはワクワク落ち着かない七尾さんとの待ち合わせ。
そうじゃなくて、今日は緊張で落ち着かない。
相手は小学生・・・・・・。
「リンさん。」
いきなり聞き慣れない声で呼ばれてびっくりした。
『リン』は七尾さんしか呼ばない。
視線の下に小さな女の子。
覚えがある笑顔。トニーに向けていた笑顔。
ちょっとだけ自分の中から力が抜ける。
「こんにちは、鈴ちゃん。」
キョロキョロするけど七尾さんがいない。
「鈴ちゃん、七尾さんは?一人?」そんな訳ないけど。
「鈴、だましたな?勝手に先に行ったよね。」
走ってきた七尾さん、鈴ちゃんに怒りながら声をかけている。
一体どこで置いて行かれたのか、出し抜かれたのか。
「リン、お待たせ。」
「はい。・・・七尾さん、大丈夫ですか?」
かなり息が上がってる。
「ね、やっぱり会ったことがある女の人だった。すぐわかったよ。」
「ありがとう。私もすぐに分かりました。」
「お兄ちゃんがご馳走してくれるらしいです。行きましょう。」
大人びた誘いを受けて、手をつながれた。
引っ張られるように歩き出す。
一緒に七尾さんも。
間に鈴ちゃん。
さすがに私の子供にしたら、大きいよね?
どんな関係に見えるんだろう?
ついたお店は気取らないお店。
ポップで可愛いとかじゃなくて普通に大人が来る店だった。
お酒は控えて、フレッシュジュースを頼んで乾杯した。
基本はイタリアンなので皆で取り合う。
最初に鈴ちゃんがとって、後は2人で。
「リンさん、おいしいですね。もう、リンさんのお陰で私は美味しいものを食べられます。」
「鈴ちゃん、美味しいね。私は鈴ちゃんと七尾さんのお陰で美味しいお食事です。」
「実はパパもママもすごく来たがってたんですが、お兄ちゃんのお金が大変なので今日はお食事は別にしました。後で合流です。」
んんんっ?
「鈴、今なんて言った?」
「大きい声を出したらダメだよ。後でパパとママも来るよって。デザートだけは一緒に食べたいって言ってた。」
「ここに来るの?」
「うん、大丈夫。分かるって言ってたよ。」
そう言う心配じゃなくて・・・・。
分かってるよね?わざと?
「なんで黙ってた?」
「知らない。お兄ちゃん聞いてなかったの?」
「鈴が教えてくれないと知らないよ。」
「だってお兄ちゃんが知らないなんて、鈴は知らないから。それはコミュニケーション不足だよ。ちゃんと私をリンさんに会わせるからって教えれば、『じゃあ、後で合流しましょう。』ってママも教えたんじゃない?」
「鈴、わざとだよね。わざと内緒にしようって相談したんだよね。」
「知らないよ。・・・・リンさん、こんな兄ですが、よろしくお願いします。」
「鈴ちゃん・・・・。よろしくお願いします。」
本当に来るの?
七尾さんを見たけど、困った顔をされただけだった。
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