3 / 25
3 ちょっとだけ感じる違和感は何?
しおりを挟む
乾杯って何に?二人での二次会に?
もちろん私はこの幸せの瞬間に!
「で、なんでお酒の量、決めてるの?実は酒乱?脱ぐとか?説教とか?泣きか笑い?」
「脱ぐ人っているんですか?しかもなんでそれを一番に言ったんですか?」
「う~ん、希望的なもの?」
「脱ぎません。」
「まあ、靴だけね、今は。・・・・・じゃあ、何?」
そう言われると靴を脱いだのも恥ずかしくなる。
先輩も脱いでるじゃん。
少し足を引っ込める。
「何だろう?」
先輩に顔をのぞかれる。
「べ、別に。飲み過ぎて・・・ふらふらしたりしたら危ないですし、ちゃんとお家に帰りたいし。駅を乗り過ごして車庫入り前に起こされるなんて・・・・。」
「経験あるの?車庫入り前。」
「ないです。そんな・・・ないです。」
「じゃあ、脱ぎ泣き笑い絡みもなし?」
「・・・・・・分かりません。だから飲みません。」
「いいよ、飲んでも。どっちかなあ?べたべたしてくるとか、キス魔とか。」
「先輩、相手の酒癖に期待する前に、お酒を楽しみましょう。それにキス魔なんて滅多にお目にかかるもんじゃないですよ。」
「まあね、でも未知の可能性じゃない?ゼロではない。」
「はい?」
「だって想像するじゃん、どうなるか?」
「そんな期待されても。具合が悪くなるとかは嫌です。美味しいお酒で終わりたいんです。失敗したくないから、呆れられたくないから・・・・飲まないんです。」
まさか毒舌になって悪口という愚痴を言い連ねる、とは言えない。
だいたい何を言うか分からないから恐怖なのだ、今まで知りたいとも思ってなかったけど、普通の時に飲み過ぎると、どうなるんだろう。今度家族で飲んでどうなるか聞いてみよう。家族なら何を言っても今更見捨てないだろう。
「美味しいね。」
手にしたグラスを見ながら言う先輩。
「飲んでみる?」
いいの・・・・かな?あり?
同じグラス・・・・ちょっと逡巡・・・してたのに本能怖い、手が出ていた。
お酒に対する渇望か、違う本能による反応か。
受け取ったグラスを慎重に、ちょうど180度回す。
うまいジャストくらい。口をつけてみる。
「美味しいです。」思わず笑顔。
「もしかしてここはすごくいい店ですか?」
「うん、すごくいい店。」
「先輩よく来るんですか?」
「何度かね。」
何何?ちょっと首をあげてソファ越しに後ろを見る。
同じようなソファ席が暗がりにあり。
すぐ視線をやったことを後悔した。
同じ大きさのソファ席、3組。間違いなくカップル。
かなりラブ度の高いカップル。
見えた頭の位置からするにおでこくっつけてなかった?
いや、もしかしたらくっついてたのは・・・顔の別の部分かも。
ドキドキするんですけど。
先輩はいったい誰と来たんだろう?
どこかのカップルシートに座ったのよね?やっぱり。
他の普通の席は明るい照明の下。
大人数で盛り上がってるところもあるから、気にしてなかったけど。
こんな店だから、きっと先輩は彼女と一緒に来たのよね。
会社の人に隠してても恋愛することは出来るし。
百合先輩の情報が正しいとは限らない。
だから全然関係ないところに彼女がいて、デートで来たり、お部屋デートに飽きた時に気分転換で来たり?
百合先輩の情報・・・・あんまり当てにならないの?
それともあれから随分経ったから、もう情報が古いのかも。
・・・・・残念。
そうは言っても本気にはならないと決めてる。
社内恋愛はとにかく隠さないといけないし、噂になると恥ずかしいし。
有休一緒にとったりするのもちょっと。
喧嘩したり別れたらさらし者状態。
なんだ息苦しそうで。
大体一年間まったく何もなかった時点で諦めた。
外外。外に視線を向けるべき!そう思ってる。
ちょっと気になる先輩がいたとしても、外へ外へ。
恋活は外を向いて!
グラスをテーブルに置く先輩。
「あ、ごめん。せっかくグラスの口をつけたところ、気を遣ってくれたのに。間違えて同じところで飲んじゃった。」
いつも見慣れた優しい笑顔がヘラヘラとしてるように見える。
酔ってる?
「そうですか、いいです。」
どうでもいいです。後でお水でも飲んでください。
本当にどうでも良くなった。答える声も平坦で。
「いいの?」
先輩が私のグラスを取り上げて、わざわざ同じところを確認して飲んだように見えた。
「美味しいね。あ~、全部飲んじゃった。次、飲みたいの頼んでいいよ。」
一体何をやってるんだか。
百合先輩がいないと随分適当な人になってる気がする。
もう考える気力もなくなった。
もしかして揶揄ってるのかと思ってしまうけど、怒る気力もない。
適当に選んだものをお願いする。
それでもさっきまで迷っていたものの中からは選んだから。
「先輩、週末リア充組ですか?」
「う~ん、たまにね。」
「ふ~ん、そうですか。」
やっぱりそうだったのか。
百合先輩、情報の訂正をしてください。
「週末ぼんやり組?」
「もし確信してるのなら、改めて聞かないでください。」
私は悲しい事実を開陳。
「じゃあ、お店最後までいてもいいね。」
「朝までですか?だから・・・。」
「大丈夫だよ、飲まなくても。ソフトドリンクもあるし。」
「まあ、そうですが・・・・って、今日中に電車で帰ります。なんで朝帰り決定なんですか?」
「あれ、一人暮らしでしょう?」
「はい、そうです。」
「じゃあ、いいよね。明日も時間あるなら。」
「本気ですか?結構長いですよ。」
時計を見る。終電までは2時間くらい、閉店までは・・・。
「うん、のんびりお話でもしようか?」
冗談ばっかり。勝手に余裕で。
こっちはこれでも慣れない距離に緊張してるのに。
恋活の相手じゃなくても緊張する、こんなシチュエーション。
もちろん私はこの幸せの瞬間に!
「で、なんでお酒の量、決めてるの?実は酒乱?脱ぐとか?説教とか?泣きか笑い?」
「脱ぐ人っているんですか?しかもなんでそれを一番に言ったんですか?」
「う~ん、希望的なもの?」
「脱ぎません。」
「まあ、靴だけね、今は。・・・・・じゃあ、何?」
そう言われると靴を脱いだのも恥ずかしくなる。
先輩も脱いでるじゃん。
少し足を引っ込める。
「何だろう?」
先輩に顔をのぞかれる。
「べ、別に。飲み過ぎて・・・ふらふらしたりしたら危ないですし、ちゃんとお家に帰りたいし。駅を乗り過ごして車庫入り前に起こされるなんて・・・・。」
「経験あるの?車庫入り前。」
「ないです。そんな・・・ないです。」
「じゃあ、脱ぎ泣き笑い絡みもなし?」
「・・・・・・分かりません。だから飲みません。」
「いいよ、飲んでも。どっちかなあ?べたべたしてくるとか、キス魔とか。」
「先輩、相手の酒癖に期待する前に、お酒を楽しみましょう。それにキス魔なんて滅多にお目にかかるもんじゃないですよ。」
「まあね、でも未知の可能性じゃない?ゼロではない。」
「はい?」
「だって想像するじゃん、どうなるか?」
「そんな期待されても。具合が悪くなるとかは嫌です。美味しいお酒で終わりたいんです。失敗したくないから、呆れられたくないから・・・・飲まないんです。」
まさか毒舌になって悪口という愚痴を言い連ねる、とは言えない。
だいたい何を言うか分からないから恐怖なのだ、今まで知りたいとも思ってなかったけど、普通の時に飲み過ぎると、どうなるんだろう。今度家族で飲んでどうなるか聞いてみよう。家族なら何を言っても今更見捨てないだろう。
「美味しいね。」
手にしたグラスを見ながら言う先輩。
「飲んでみる?」
いいの・・・・かな?あり?
同じグラス・・・・ちょっと逡巡・・・してたのに本能怖い、手が出ていた。
お酒に対する渇望か、違う本能による反応か。
受け取ったグラスを慎重に、ちょうど180度回す。
うまいジャストくらい。口をつけてみる。
「美味しいです。」思わず笑顔。
「もしかしてここはすごくいい店ですか?」
「うん、すごくいい店。」
「先輩よく来るんですか?」
「何度かね。」
何何?ちょっと首をあげてソファ越しに後ろを見る。
同じようなソファ席が暗がりにあり。
すぐ視線をやったことを後悔した。
同じ大きさのソファ席、3組。間違いなくカップル。
かなりラブ度の高いカップル。
見えた頭の位置からするにおでこくっつけてなかった?
いや、もしかしたらくっついてたのは・・・顔の別の部分かも。
ドキドキするんですけど。
先輩はいったい誰と来たんだろう?
どこかのカップルシートに座ったのよね?やっぱり。
他の普通の席は明るい照明の下。
大人数で盛り上がってるところもあるから、気にしてなかったけど。
こんな店だから、きっと先輩は彼女と一緒に来たのよね。
会社の人に隠してても恋愛することは出来るし。
百合先輩の情報が正しいとは限らない。
だから全然関係ないところに彼女がいて、デートで来たり、お部屋デートに飽きた時に気分転換で来たり?
百合先輩の情報・・・・あんまり当てにならないの?
それともあれから随分経ったから、もう情報が古いのかも。
・・・・・残念。
そうは言っても本気にはならないと決めてる。
社内恋愛はとにかく隠さないといけないし、噂になると恥ずかしいし。
有休一緒にとったりするのもちょっと。
喧嘩したり別れたらさらし者状態。
なんだ息苦しそうで。
大体一年間まったく何もなかった時点で諦めた。
外外。外に視線を向けるべき!そう思ってる。
ちょっと気になる先輩がいたとしても、外へ外へ。
恋活は外を向いて!
グラスをテーブルに置く先輩。
「あ、ごめん。せっかくグラスの口をつけたところ、気を遣ってくれたのに。間違えて同じところで飲んじゃった。」
いつも見慣れた優しい笑顔がヘラヘラとしてるように見える。
酔ってる?
「そうですか、いいです。」
どうでもいいです。後でお水でも飲んでください。
本当にどうでも良くなった。答える声も平坦で。
「いいの?」
先輩が私のグラスを取り上げて、わざわざ同じところを確認して飲んだように見えた。
「美味しいね。あ~、全部飲んじゃった。次、飲みたいの頼んでいいよ。」
一体何をやってるんだか。
百合先輩がいないと随分適当な人になってる気がする。
もう考える気力もなくなった。
もしかして揶揄ってるのかと思ってしまうけど、怒る気力もない。
適当に選んだものをお願いする。
それでもさっきまで迷っていたものの中からは選んだから。
「先輩、週末リア充組ですか?」
「う~ん、たまにね。」
「ふ~ん、そうですか。」
やっぱりそうだったのか。
百合先輩、情報の訂正をしてください。
「週末ぼんやり組?」
「もし確信してるのなら、改めて聞かないでください。」
私は悲しい事実を開陳。
「じゃあ、お店最後までいてもいいね。」
「朝までですか?だから・・・。」
「大丈夫だよ、飲まなくても。ソフトドリンクもあるし。」
「まあ、そうですが・・・・って、今日中に電車で帰ります。なんで朝帰り決定なんですか?」
「あれ、一人暮らしでしょう?」
「はい、そうです。」
「じゃあ、いいよね。明日も時間あるなら。」
「本気ですか?結構長いですよ。」
時計を見る。終電までは2時間くらい、閉店までは・・・。
「うん、のんびりお話でもしようか?」
冗談ばっかり。勝手に余裕で。
こっちはこれでも慣れない距離に緊張してるのに。
恋活の相手じゃなくても緊張する、こんなシチュエーション。
0
お気に入りに追加
161
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
10 sweet wedding
国樹田 樹
恋愛
『十年後もお互い独身だったら、結婚しよう』 そんな、どこかのドラマで見た様な約束をした私達。 けれど十年後の今日、私は彼の妻になった。 ……そんな二人の、式後のお話。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
最後の恋って、なに?~Happy wedding?~
氷萌
恋愛
彼との未来を本気で考えていた―――
ブライダルプランナーとして日々仕事に追われていた“棗 瑠歌”は、2年という年月を共に過ごしてきた相手“鷹松 凪”から、ある日突然フラれてしまう。
それは同棲の話が出ていた矢先だった。
凪が傍にいて当たり前の生活になっていた結果、結婚の機を完全に逃してしまい更に彼は、同じ職場の年下と付き合った事を知りショックと動揺が大きくなった。
ヤケ酒に1人酔い潰れていたところ、偶然居合わせた上司で支配人“桐葉李月”に介抱されるのだが。
実は彼、厄介な事に大の女嫌いで――
元彼を忘れたいアラサー女と、女嫌いを克服したい35歳の拗らせ男が織りなす、恋か戦いの物語―――――――
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
完結*三年も付き合った恋人に、家柄を理由に騙されて捨てられたのに、名家の婚約者のいる御曹司から溺愛されました。
恩田璃星
恋愛
清永凛(きよなが りん)は平日はごく普通のOL、土日のいずれかは交通整理の副業に励む働き者。
副業先の上司である夏目仁希(なつめ にき)から、会う度に嫌味を言われたって気にしたことなどなかった。
なぜなら、凛には付き合って三年になる恋人がいるからだ。
しかし、そろそろプロポーズされるかも?と期待していたある日、彼から一方的に別れを告げられてしまいー!?
それを機に、凛の運命は思いも寄らない方向に引っ張られていく。
果たして凛は、両親のように、愛の溢れる家庭を築けるのか!?
*この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
*不定期更新になることがあります。
涙溢れて、恋開く。
美並ナナ
恋愛
長年の叶わぬ恋に苦しむ小日向詩織は、
ある日決定的な出来事によって心が掻き乱され、
耐えきれずに海外へ一人旅にでる。
そこで偶然に出会ったのは、
気さくで明るい容姿端麗な日本人の男性。
悲しみを忘れたい一心で、
詩織は“あの人”と同い年のカレと一夜を共にし、
”初めて”を捧げてしまう。
きっと楽になれる、そう思ったはずだったのに、
残ったのは虚しさだけ。
やっぱり”あの人”にしか心が動かないと痛感し、
その場をそっと立ち去った。
帰国後、知人の紹介で転職した詩織は、
新しい職場で一夜を共にしたカレと再会することに。
しかもカレはその会社の社長だったーー!
叶わぬ恋を拗らせた主人公の
一夜の過ちから始まるラブストーリー。
※この作品はエブリスタ様、ムーンライトノベルズ様でも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる