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5 赤提灯でぼんやり。

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最近は廊下で会えるだけでも嬉しいと思う。
たとえまったく視界に入れてもらえなくても、そのまますれ違うだけだったとしても。


ここまで来たら、何かが始まるなんて楽天的なことは妄想でも浮かばない。
きっと隣に並ぶお似合いの人はいるんだと思う。
一人なわけない。そう思って覚悟しつつも、忘れることはできないまま。
もうあの時の声もセリフもかなり二次元的なアレンジがかかってると思う。


「遙、ボンヤリしてる?」

「うん、なんだか人生うまく行かないなあ。」

「悩みごと?」

「鞠みたいにスイスイと生きたいって思っちゃうけど、どう?」

「そんなにスイスイとは生きてないよ。他人の事はそう見えるだけだよ。今日、飲みに行く?付き合うよ。」

彼氏とは週末会えればいい方だと言う。
忙しい人らしい。
自由と信頼、鞠はやっぱりスイスイ組に見えるのだ。

「うん。でも、すごい愚痴りそう。」

「聞く聞く。何でも聞くから。」

そう言ってくれても、なんだかはっきりとは言えない。
モヤモヤしてる心が、見渡せないくらいに不透明。
いろんなことがこんがらがってモクモク暗く立ち込めて。

しばらくして飯田君が来た。

「今日、赤提灯どう?」

「ちょうど良かった、遥がウジウジ落ち込んでるから慰めて。」

「どうしたの?」

飯田君が優しく聞いてくれるけど、もっと言えません。

「大丈夫。楽しく飲むから!」

じっと見つめられた後、また笑顔になった。

「そう、じぁあ、終わった頃、またね。」

夏越君が残業がないのだろう。
なんだか、楽しみなのに、ちょっとだけ元気が出ない。
そもそも悩む価値がある出来事なのかと、そこにすら疑問が生まれてきて。
ただの事故と、それにまつわる偶然。
短い時間の出来事ではあったのだ。

ただそれだけだった。


定時から少しして四人で会社を出た。

「赤提灯、楽しみだね。」

「今日のところはどんな感じ?」

「周りがうるさいから、落ち込んでる暇がないくらいだよ。」

それは良かった。

さっきからほとんど三人で話している。
夏越君は、もともと人見知りはしないと言ってもそんなに賑やかというわけじゃない。なんだか気になる。


「夏越君、疲れてる?」

少し斜めを歩いていた夏越君の横に並んで話しかけてみた。

「いや、大丈夫。」

後ろの二人が少しずれて、しばらく二人で並んで歩きながら話をする。

「二人のテリトリー邪魔しちゃった?」

「別に、そんな事ないよ。」

それでもこっちを向いてくれるわけでもないし、笑顔はない?

横にいても前のように普通に話せない気がする。

いつもの同期の飲み会もあって、これまたいつものように近くにいたのに、ほとんどしゃべらなかった。
当然浅田先輩の情報も増えなかった。
その時は飯田君と話をしていた。
飯田君も穏やかで優しい人で、夏越君の次に話しやすいかも。
でも今じゃあ、一番話しやすい人になった気がしてる。
・・・どうでもいい。誰が一番でも二番でも。

会話がないのも、笑顔もないのも、本当につまらなくて、後ろの二人の方を向く。

いつの間にか話題がかつて出会った面白い人になっていて、楽しそうだった。
半分後ろ向きで、会話を聞きながら歩く。

赤提灯は場所によってはすごいディープな世界らしい。
鞠が楽しそうに笑ってる。
それでも今日行くところはもっと女の人が行きやすい所を選んだと言われた。
癖のある変な人も多分いないらしい。

スッカリ前を向くことを忘れたように、話を聞きながら歩いていた。

「危ない!」

いきなり腕を掴まれて引っ張られた。

「きゃあ。」

バランスを崩して夏越君の胸に手をついて、転びそうになるのをこらえる。

危うくポールを避けた人とぶつかりそうになっていたらしい。

「すみませんでした。」

すぐに夏越君から離れて、避けてくれたおじさんに謝った。

「気を付けてね。」

そう言われて、返す言葉もない。

「久松さん、前向いて歩いたほうがいいよ。」

夏越君にもそう言われて、謝った。
お礼よりも謝罪だった。

「はい、ごめんなさい。」

普通に注意されて、情けなくて、お礼が言いにくかった。

「久松さん、もう少しだから。前を向いて行こう!」

そう言いながら飯田君が前に行った。

飯田君が夏越君の横にいて、私は鞠に腕を組まれるようにして並んでついて行った。

ガッカリだ、自分。
又落ち込んでしまう。
お礼も言えなかった。

「遥、顔をあげて。またぶつかるよ。」

背中をポンポンと叩かれた。

「うん。」

顔をあげると飯田君と普通にしゃべる夏越君が見えた。

もしかして嫌われてるのかなあ?
しつこく話しかけてるわりに変なこと聞いてるって思われてるとか?
もしかして私がそばをキープしてるように見えて、他の子と喋れてないから、とか?

だって、私があの日側にいなかったら、飯田君が誘ったのは私と鞠じゃなかったかもしれない。
私が権堂君の近くには割り込めないなあって思うように、誰かが遠慮してるのかもしれない?


そう思ったら、本当に反省してきた。
自分勝手に細い糸を握りしめていて、迷惑をかけていたのかもしれない。

だから、もう忘れた方がいいのに。
憧れは憧れで、細い糸は手放して、自分につながらない糸なんて探ろうともしないで。


出来るならそうしてるのに・・・・。
何でできないんだろう?



「着いたよ。」

鞠にそう言われた。
また顔は俯いていたみたい。

いつの間にか赤提灯街に来ていた。
小さな間口のお店が並んでいる。
何故かグラスと皿を器用に片手に持って外に立ってる人もいる。

にぎやかな通りだった。

ドアもないような、のれんだけのお店を二人がくぐって入って行った。
鞠と目を合わせた後、続いて入った。

既に赤ら顔が並んでいた。
立ち飲みで、小さなテーブルを一つ囲むように立つ。
かなり狭い。

数人、女性のお客さんもいる。

声を張り上げて注文すると返事が聞こえて、出来上がったら手を伸ばして受け取って。
ジョッキを手に乾杯する。

「大きな声が出るでしょう?」

「さすがに、ね。」

飲みながらうなずいたら、思いっきり鼻にサワーが入りそうになった。
慌ててジョッキを離して、ハンカチで拭く。
むせなくて良かった、恥ずかしい。

「なんだか、大丈夫?」

静かにハンカチをしまったのに、夏越君に見下ろされて、そう言われた。

何だかもかんだかも、大丈夫です、そう言いたいけど、さすがに言えない。

「大丈夫。」それくらいは言った。

「ねえ、遥、悲しい事でもあった?最近元気ないよね。」

「べ、別にない、何にもない。」

「そう、それならいいけど、またの機会に何でも聞くよ。今日は飲もう!」

「うん。飲むよ。」

それでも不審げな視線を送る夏越君のジョッキに自分のジョッキを合わせた。

「飲むよ。」

そう言って慎重に傾けて飲んだ。

頼める料理は本当に定番。
餃子唐揚げ煮込みに枝豆、奴にもろキューなど。

「二人はどのくらいの頻度で来てるの?」

「まあ、週一くらい。平日だと1000円くらいで引き上げるから。ビールとおつまみ三、四品くらいだね。」

「そうなんだ。ちょっと飲む分にはお手頃価格なんだね。」

「そうだね。男二人だと、そんなものでしょう?」

「飯田君は意外かな、どう思う?遥。」

そう聞かれて。ジョッキを離した。

「そうかも。優しい雰囲気だし、コーヒーの方が似合いそう。」

「じゃあ、夏越は?」

飯田君にそう聞かれて、夏越君を見る。

「あんまり、考えたことがなかった・・・・かな?似合うかも?」

答えになっていたと思いたい。

「時々知り合いが増えるんだよ。適当に相席になるから、そうしたら話をするし。」

「女の人とも?」

「うう~ん、それはない。人生の大先輩だけだ。」

聞きながら、唐揚げを食べる。
滅多に食べないのに、夜に揚げ物、一応気を付けてたりするのに。
さっきから話すのは鞠と飯田君で、食べるのは私と夏越君、そんな感じだった。


向こうに女の人がいる。
おじさんと仲良くしゃべってる。
楽しそうだなあ。おじさんも、お姉さんたちも。
今日の私は『他人がみんな幸せに見える病』にかかってるのかもしれない。

人生山も谷もないのに、ひたすら平たい場所を俯いて歩くことがあるらしい。
きっと雲の影に入っていて、太陽の光が私には当たらないんだろう。

そう思いながらジョッキを掴もうと思ったら、スカッと手が何もない所をすり抜けてびっくりした。

「はたから見てると面白いんだけど。」

そう冷静に言われて夏越君にジョッキを渡された。
随分変なところに手を伸ばしてたらしい。

他の人のを掴んだり、倒したりしないだけでも良かった。
こんなところでジョッキを割ったらもう連れて来てもらえない。


「じゃあ、なかなか会えないんだ。」

「うん、まあね。本当にお土産だけが部屋に集まるの。ご当地ハローキティー。」

「好きなの?」

「別に。何故か頼みもしないのに買ってくる。本当に行ってたって証明かもしれない。」

「疑ってるの?」

「ううん。そこは大丈夫。」

「自信と信頼があるんだ。まさかGPSとか言わないよね?」

「内緒・・・・なんて、さすがにそこまではしない。ちゃんと電話くれるし、疑ってない。」

鞠と彼氏の話で飯田君は盛り上がれるらしい。
聞き上手なんだなあ。
友達に一人欲しい、愚痴も聞いてくれるのかなあ?

顎を手に乗せてぼんやりと飯田君を見る。
優しそうな雰囲気を持つし、年下には好かれそう。
同期でも可愛い大人しそうな子はいるから、いいんじゃないかなあ?

なんて他人事ながら勝手に思う。

「遥、眠いの?」

「ううん。」

思わず二人が振り返ったので急いで顎を手から外して、シャンとする。

「夏越君は、どういう子が好きなの?」

鞠が夏越君に聞く。

思わず視線を動かすと目が合った。
傾いていたジョッキがテーブルに置かれた。

「・・・・・落ち着いた子。」

そう言った夏越君。


なんだか、・・・・明らかに私は嫌われる要素を持ってると、今、言った?
前を向かないで人とぶつかり、サワーを鼻で飲む女・・・・。
今日だけでも酷い印象だ。

「イタッ。」

急に声をあげた夏越君。


なんだ?
誰も何も言わず。

最初の頃は優しい印象だったと思う。
いい人だと思ったし、直接本人に言った気もする。
いつの間にか本当に嫌われてたんだろうか?
ああ、やっぱり、恨まれてるんだろうか?
邪魔だったんだろうか?


もう二度と近くには行かないと決めた、今決めた。

だって、どうせあんまり役には立たないじゃん。
隣の席の癖に、同じ営業でしょうって・・・・。



「飯田君は?」

鞠は屈託がなく遠慮もない。嫌味なくサラリと聞けるらしい。

「明るい子がいい。よく笑って、よく食べて。なんだか僕は大人しい子が好きだと思われるんだけど、そんなんことないのに。元気な子の方がいいよな?」

飯田君は夏越君に同意を求めるけど。

「・・・・。」

答えがない。

沈黙が返事だったらしい。
『落ち着いた子』の中に『元気な子』という要素はないらしい。
『静かな子』がいいんだろう。

「平松さんは?どういう人がいいの?」


「頼れる人、優しくて、頼っても怒らない人。・・・・急に黙り込んだり睨んだりしない、不機嫌にならない人。」


別に変に仕返ししたわけじゃない。
本当にそう言う人だと思ってる・・・・・浅田先輩は。
だからそう言っただけだ。


「僕はダメだ、頼りがいがあるって一度も言われたことがない。そんなに頼りないかなあ?自分じゃしっかりしてるつもりなのに。その点、夏越はいいよな。絶対そう思われるから。背が高いだけでそう思われるんだよね。後、肩幅とか。」

何故そう解釈された?
でも広がらずに終わった。

「夏越君はスポーツやってたの?」

鞠がそう聞いたから。


「まあ、少し。」

「何?」

「高校の時にラグビー。」

「なるほどね。レギュラーだったの?」

「そんな強い高校じゃなかったから、部員も少なかったし。」

「女子マネージャーとかもいた?」

「いなかった。野郎だけ。臭い部室は臭いままだった。」

「う~、臭いそう。それは・・・ちょっと・・・・。」

「部室が臭くてもチョコはたくさんもらったみたいだよ。いいよなあ。」

「やっぱり、もてたんだ。」

やっぱり・・・・?
鞠の中ではそういう感じなの?
あんまり考えてなかった・・・・・、じゃあ、本当に邪魔だった?
権堂君のことなら分かりやすかったし、教えてくれたじゃない。
鞠、そんな情報掴んでたの?


気がついたら、また顎が手のひらに載っていた。
やばい・・・・気がついて、急いで顔をおこす。
行儀悪い。いつもはこんな姿勢じゃないのに。

さっきから会話に入れてない。

でも会話は勝手に進む。

・・・・・ここで邪魔にしないでよ。

「遥、どうしたの?」

「ん?」

顎がまた乗っていました。
もっとかわいらしく目をキラキラさせての顎乗せならいいのに、行儀悪いし、ふてぶてしい感じじゃない。

「やっぱり、ちょっと変。」

「気分悪い?」

飯田君が不安げに聞いてくれる。

「ううん、大丈夫。ごめんね。ちゃんと聞いてるよ、話は聞いてる。飯田君は元気な子が好きで、頼られたくて、夏越君は落ち着いた子が好きでラグビー部でモテた、だよね。」

「随分話をつまんだね。」鞠が笑う。

「でも好きになる人って、なってみないと分からないよね。おかしいなあ、タイプじゃないのに・・・・とか思ったりして。」

飯田君の意外な告白。
そうなんだ。そんなに恋愛してきた方なんだ。
凄いなあ。見かけによらない。

「そうだよね。何だろうね?でもだから楽しいんじゃない?」

そう言う鞠。
それは楽しい恋愛をしてきたからですよ。
片思いが全く動く様相もないと、ただただ独り相撲で、結局時間の無駄で終わるんです。

「トイレ。」

そう言って鞠が私の腕をつかんで外に連れ出した。
ビックリした。
そしてまた顎乗せをしていたらしい私。

もう二度と誘われないだろう。
誘ってもつまらない女みたいじゃない。

鞠と外に出た。きょろきょろするけど、トイレはどこ?

「ねえ、どうしたの?」

「何?」

「泣いてるよ。」

ビックリした。顔を触る。

「もう、ビックリした。泣いてないよ。」

「器用だね、片目だけから一粒だけ涙を流すなんて。漫画ですか?女優ですか?」

そう言ってハンカチをポケットから抜き取られて拭かれた。

本当に・・・・?
冷たいのはさっき鼻に入りそうだったサワーを拭いたからだと思うけど。

「夏越君が心配してる。辛そうな目で見てたよ。」

「もう、聞いてたじゃない。夏越君は私みたいな落ち着かない女は・・・多分嫌いなんだよ。ねえ、何で何も教えてくれなかったの?」

「何を?」

「夏越君を狙ってる子がいるんでしょう?私は・・・あんまり無自覚に近くにい過ぎたのかなあ?邪魔だったんじゃない?だからその子が夏越君の隣に来れなくて、夏越君もその子と喋れなくて。だって鞠は権堂君のことは教えてくれたから。だから何も言われないから、注意されないから。私は普通に話をしてるだけだと思ってたのに。なんだか悪いことしちゃった。」

「何のことだか分からない。夏越君のことは知らない。狙ってる子とか、そんな情報私は知らない。それより、やっぱり悩み事あるんでしょう?ここじゃあ聞けないから、来週教えてね。」

「うん、もう悩むのはやめた。忘れる。だからいい。」

「・・・・夏越君のこと?」

「へ?何で?関係ないよ。」

「・・・・・もうよく分からない。とりあえずもっと話をして。ずっと1人で考えてて、きっとろくなこと考えてないでしょう。」

「あんまり何を考えてたか覚えてない。ちゃんと会話は聞いてたし。」

「そうらしいね。・・・・戻ろう。笑顔笑顔、可愛い笑顔。」

「鞠は可愛いね。いつも笑ってる。」

「もう、遥も可愛いから、笑って笑って。いっそ変な事していいから、笑って。」

また手を引かれて戻った。
トイレは連れ出す方便だったの?

テーブルに戻ると二人が唐揚げを食べていた。
まだあった?追加した?

「ああ、なんだか喋ってばかりで食べてない。遥、食べるの少しお休みで、遥と夏越君がしゃべってよ。私はちょっと休憩して食べる。飯田君は?」

「僕食べてたよ。」

「うそ~、いつの間に。」

「久松さん、何か飲む?」

見るとジョッキは空っぽだった。
まあ、氷がほとんどだ。

飯田君が大きな声でまた同じものを追加してくれた。

「久松さんは、部活とかサークルは何してたの?」

「高校は演劇部だった。大学はミステリー研究部という名の幽霊部にいた。」

「なに?演劇部だったの?女優?・・・・・さっき一粒に騙された?」

鞠が不満そうに言った。

「大道具と小道具担当だよ。セリフは三年間で一度もなし。その他大勢の町人村人通行人。」

「じゃあ器用なの?絵具塗りとか衣装作りとか。」

「まあまあ。そんなに細かい事はしてない。大体だよ。」

「ね、驚きだよね?」

鞠が二人に言う。

「まあ、運動部には見えないかも。」

夏越君が言う。

「失礼な、演劇部でも基礎になるから運動もしてました。一応ランニングとストレッチはやってました。」

ちょっとだけムキになる。でも本当の事。
ラグビー部に比べれば本当にちょっとだろうけど。

「大道具なのに?」

「全員してたの。」



「鞠は?高校は何してた?」

話題を振ってやる。唐揚げ二個は食べてるのを見てるし。

「天文部でした。」

「望遠鏡とかあったの?」

「観測ドームがありました!」

「へえ、凄いね。野外活動とかしてたの?」

飯田君が聞く。

「学校の屋上に夜、集合して、いろんな流星群見たよ。」

「へえ、面白そう。」

「寝そう。」

つい正直に呟いた。

「遥、もっとロマンチックに想像してよ。好きな先輩とゴロンと隣に横になったら、こっそり手をつないだりして、絶対寝ないから。もったいないから。」

マジ・・・・、羨ましいエピソードによだれ出そう。
先輩と手つなぎ・・・・・響のいいキーワード・・・・。
思わず想像して顔が熱くなる。

「何でそこで赤面するの?」

普通のトーンで鞠に指摘された。

「お酒が濃かったんです。」

手に持ったジョッキを指さした。
誰も信じてない感じがするけど、恥ずかしいから鞠しか見れない。
諦めるって言ったばかりなのに、無理だ・・・。


ラグビー部も天文部も青春出来る部活らしい。
おかしい、演劇部にそんなものあったのだろうか?


まあ、後半はそれなりに会話にも参加して。
いろいろと考えないことにした。
流れるままでいいや。


そう思った。
確かにそう思ったけど。


何かのきっかけでまた思い出して、落ち込んで、ぼんやりして。
自分は楽しくお酒を飲める方だと思ってたのに。
最近は何だか落ち込むばかり。
一人でグルグルと考えながらどんどん降下していく。

相変わらず心の中がモヤモヤと不透明のまま。
いつになったらスッキリするんだろう。

そんなの私だって分からない。


嵐のようなインパクトのある出会いでもあれば、小さな出来事なんて吹き飛ばしてくれるんだろうか?
それは、分からない。



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