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47 未来への約束を照らす光
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「お父さん、疲れた?」
「いや、大丈夫だよ。」
「どうだった?近藤さん。若菜ちゃんはお父さんに似てるって言うんだけど。」
お父さんが不思議な顔をする。
お母さんがやってきて意見を聞いてみた。。
「そうね、優しそうで、気を遣ってくれるところは似てるかしらね、お父さん。」
「そうかな?分からんが。」
「お母さん気に入ってくれた?」
「もちろん、いい人じゃない。しっかりしてて茜を任せるのに問題はないし。二人でいる時はもっと喋るんでしょう?」
「もちろん、もっとおしゃべりだし、優しい。今日はすごく緊張してて、最初に出会った頃みたいだった。」
「そう。そんなところも良かったんでしょう?」
「・・・・まあ・・・。」
なんだか寂しいけどね、なんて言いながらお母さんが片づけをしている。
横に立って手伝う。
「別にお嫁に行くわけじゃないから。」
「当たり前よ、まだそんな話は出ないでしょう。でも茜が早く幸せになるといいわ。あ~あ、こんなに早く離れるならもう一人子供産んどけばよかった。寂しいなあ。」
「もう、まだまだお世話になります。」
「茜に家族より大切な人が出来るのが寂しいのよ。」
「家族より・・・・・同じくらいよ。お母さんもお父さんも大切。2人に反対されたら・・・・多分諦めると思うし。」
「そんなんじゃ幸せになれないから。反対されても突き進むくらい好きな人じゃなきゃ。」
「・・・・・うん、考える。」
比べたことなんてない?反対されたら諦めた?
この間は反対されたら家出するって近藤さんには言ったのに。
どっちも大切だから。
近藤さんも両親を大切にしてくれるって思う。
どっちか選べなんて言わないと思う。
「そんなこと言ってお母さんは私がいなくなったら、お父さんと恋人時代を思い出して楽しく暮らすでしょう?」
「もちろんよ。残されたものは楽しくするしかないじゃない。でもクリスマスは楽しみ。 お正月の予定も立てないとね。いつ泊りに行けるか分かった方がいいでしょう?」
「うん。」
もうすぐクリスマスと冬休み。今年は少し甘い日々を送れそう。
次の月曜日、早速ランチの時に白状させられた。
近藤さんがあいさつに来たこと、緊張してた事。
取りあえずは上司として、お付き合いしてる人として、両方よろしくお願いされたこと。
二人がお腹を抱えるようなエピソードはなかったから、ちょっとだけガッカリされた。
その日のうちに高田さんにこっそり呼び止められて『おめでとう。』を言われた。
『爬虫類カフェ』というデート先が気に入られることもあるんだぞって、近藤さんがアホみたいに自慢してたと言う。
高田さんは冗談のように笑ってたけど、確かにお父さんは共感してたと思う。
やっぱり私のチョイスは間違ってなかったのだ。
23日は精一杯おしゃれして待ち合わせ場所に行った。
あえて首回りにアクセサリーはつけずに。
今日もらえるんだよね。わくわく。つけてくれるって言ってた。
どうしよう、緊張する。
待ち合わせの場所は暖かいデパートの中にした。
早く来たから少し商品を見たりして。
ん?
待てよ、私、何にも買ってない、何で今頃気がつくの・・・・。
時計を見ても、もうすぐ時間になってしまう。
財布にお金は入ってる。
どうしよう。ううう、一緒に選びたいと言うしかない。
酷い、自分。何でそこに気がつかなかったんだろう。
気がついてたらさりげなくというよりガッツリ、高田さんに探ってもらったりして、こっそり買って驚かせてたのに。
何て間抜けなの。
何がいいのかなあ?
えっと・・・・・う・・・ん。
分からない、そんなことで悩んだ経験がないのだから。
皆どうしてるんだろう。
若菜ちゃんに今聞いても邪魔よね。デート中だし。
『茜ちゃんは何買ったの?』って何で聞いてくれなかったの?
お母さんもちょっとくらい気がついて。
・・・・・それより自分ですが。
オロオロしてたら名前を呼ばれた、・・・・タイムアップ!
「茜、何してるんだ?」
挙動不審に見えた?
「トイレ行きたいなら待つぞ。」
もう、色気ない・・・・違います。
正直に言った。手を引いて端の方に行って、言った。
「本当にすみません。」
「茜、何?」
「あの・・・・あの・・・・・私・・・近藤さんに・・・プレゼントもらうばっかり楽しみにしてて、あげるほうを
すっかり忘れてて。何も買ってないんです。一緒に選んでもらえませんか?」
ふ~っと大きく、ため息が私の髪を揺らした。
そんなにがっかりした?
ゆっくり顔をあげて、近藤さんを見ると笑顔だった。
「もう、何を言われるのか、ドキドキしたよ。やっぱり一緒にいれません!とか言われたらとか・・・ちょっと不安になった。」
「へ?何でですか?」
それならこんなおしゃれに時間をかけてきませんが。
これでも頑張りました。
間抜けな顔をしてたかもしれない。
唇を親指で軽く撫でられてその指を自分の唇に当てた近藤さん。
ちょっと何だかびっくりするほど・・・恥ずかしい。
「いいよ、別に。イブにもらうから。」
「分かりました。ちゃんとそれまでに・・・・無理です。イブは。時間がないです。」
「だから非売品。用意しなくてもいいから。」
「売ってないもの?作る?」
「茜、鈍い。」
茜をもらうと耳元で言われた。
はい、どうぞ、それでよろしければって。
「もう、そんなのでいいわけないじゃないですか。もっと記念に残るようなものです。」
「いいよ、素敵な夜の思い出で。」
欲しいものがあったら考えていてください。
ボーナス出たし。
クリスマスあとになりますが一緒に付き合ってください。
そう言って何とか許してもらったつもり。
近藤さんが選んだお店で、名前を言って窓側の席に通された。
周りはやはりカップルだらけ。
隣の席とはくっついてはいないけど声は聞こえる。
こんなところでアクセサリー出されたら思いっきり喜べない。
もっと薄暗かったり、視線が遮られるところを希望したいけど。
とりあえずコースはクリスマスコースだけなのでお酒を注文して後は待つのみ。
「茜、その服似合うよ。」
「ありがとうございます。今日のために買いました。」
「すごくいいね。いつもより大人っぽい。」
本当は若菜ちゃんが選んでくれたんだけど。
正面から見つめられて、褒められると恥ずかしい。
「近藤さんもかっこいいです。大人ですね、やっぱり。」
「そりゃそうだ。クリスマスだしな。」
食事はおいしくてゆっくり話をしながら食べてもあっという間にデザートになった。
お皿を大きく埋めてるのはチョコで書かれた文字。
それでも雪のかかったソースとブッシュドノエルの小さなデザートはクリスマスしか食べられないだろう。
「ごちそうさまでした。」
紅茶を飲み終わり満足して言う。
そういえばプレゼントはまだ出てこない。
いついつ?ドキドキは続く。
会計を済ませて外へ。あれ?
「茜、もう一軒いいか?」
一応時計を見る。
「今日は7時から夕食です。まだまだ大丈夫です。」
連れていかれたのはホテルのロビーラウンジ。
ソファ席に案内された。
四人くらいは余裕で過ごせるくらいでゆったりと座れる。
それでも横並びに座る。
お酒を注文してくつろぎモード。
「茜、はい、クリスマスプレゼント。」
あの時の箱を渡された。
ゆっくりリボンを解いて箱を開ける。きれい。
眺めてると横から手が出てきた。
ゆっくりチェーンを持って留め具を外す。
「茜、付けてあげるからちょっとだけあっち向いて。」
髪をあげてつけてもらった。
「いいよ。」
首にキスをされて、びっくりした。
終わりの合図・・・・思わずキョロキョロしたけど大丈夫だった?
人前でそんなことする人?
甘い顔で微笑まれて、また似合うと言ってくれた。
お礼お礼。
「ありがととうございます。すごくうれしいです。大切にします。」
同じ言葉だったけどまた言った。
お酒が運ばれてきて乾杯する。
コースターにグラスを置いてゆっくり首元に手が行く。
うれしい、この上なく。
初めてのプレゼント。
「ご両親、あれから何か言ってた?」
「はい、お正月の予定を立てるからって。泊まりに行きたいでしょうって。」
近藤さんが何とも言えない顔をする。
ああ・・・。なんだか思ってた答えと違ったみたい?
何か違うことが聞きたかった?
「もちろん二人とも近藤さんの事、大賛成ですよ、言いましたよね。」
「ああ。」
これも違った?何だろう。
首を倒してみる。思いつかない。
何を聞きたいの?
「家で年越しで本当にいいですか?私はおせちを頑張ります。」
「ああ、よければ本当にお邪魔します。」
丁寧語。
「あの?何か?」
漠然とした質問だけど、何だろう?
近藤さんの聞きたいことが分からない。
「茜、少し目をつぶってくれる?」
はい。そう言って目を閉じた。
ここでいきなりキスとかないよね。気配を探るとごそごそしてる感じ。
そして指を取られてはめられた感覚・・・・指輪。
思わず目を開けて見てしまった。
それはこの間はめてみた指輪。ネックレスとお揃い。
どうして?
「まだまだ早いけど、俺の気持ち。いつかもっと、茜が十分だと思ったころにまた言うから。ちゃんと言うから。この間挨拶した時、結婚を前提にお付き合いしてます、ってご両親には言えなかった。あの時に言っても茜に返事を急がせそうだったし、やめたんだけど。でもやっぱり言いたくて。こっちも大切にしてくれる?」
「もちろんです。でも、なんで・・・・。」
「サイズ?あの後すぐに戻ったから店員さんも覚えてたんだよ。」
「違います。そうじゃなくて。・・・・」
顔を見た。近藤さんが何?って顔をしている。
耳を貸してください。
そう言って背を低くしてもらい私は上半身を伸ばした。
「だってこんなところじゃ抱きつけない。本当にうれしいです、大好きです。近藤さん、ありがとうございます。」
そう言ってさりげなく耳にキスをして離れた。
にっこり笑う。
耳に手を当てて同じように笑った近藤さん。
その笑顔・・・皆が見たらびっくりです。
それほど素敵だったから。
指輪はぴったりだったから、そのままつけて。
夕方改札で振った手にも光っていた。
1人で電車に乗っても指が重くて。
家について部屋に入ると指から外した。ネックレスも。
大切にケースに入れて後で見せよう。
手伝いをするために下に降りた。
「お母さん、手伝う。」
声はどこまでも弾んでてご機嫌を隠せない。
「いや、大丈夫だよ。」
「どうだった?近藤さん。若菜ちゃんはお父さんに似てるって言うんだけど。」
お父さんが不思議な顔をする。
お母さんがやってきて意見を聞いてみた。。
「そうね、優しそうで、気を遣ってくれるところは似てるかしらね、お父さん。」
「そうかな?分からんが。」
「お母さん気に入ってくれた?」
「もちろん、いい人じゃない。しっかりしてて茜を任せるのに問題はないし。二人でいる時はもっと喋るんでしょう?」
「もちろん、もっとおしゃべりだし、優しい。今日はすごく緊張してて、最初に出会った頃みたいだった。」
「そう。そんなところも良かったんでしょう?」
「・・・・まあ・・・。」
なんだか寂しいけどね、なんて言いながらお母さんが片づけをしている。
横に立って手伝う。
「別にお嫁に行くわけじゃないから。」
「当たり前よ、まだそんな話は出ないでしょう。でも茜が早く幸せになるといいわ。あ~あ、こんなに早く離れるならもう一人子供産んどけばよかった。寂しいなあ。」
「もう、まだまだお世話になります。」
「茜に家族より大切な人が出来るのが寂しいのよ。」
「家族より・・・・・同じくらいよ。お母さんもお父さんも大切。2人に反対されたら・・・・多分諦めると思うし。」
「そんなんじゃ幸せになれないから。反対されても突き進むくらい好きな人じゃなきゃ。」
「・・・・・うん、考える。」
比べたことなんてない?反対されたら諦めた?
この間は反対されたら家出するって近藤さんには言ったのに。
どっちも大切だから。
近藤さんも両親を大切にしてくれるって思う。
どっちか選べなんて言わないと思う。
「そんなこと言ってお母さんは私がいなくなったら、お父さんと恋人時代を思い出して楽しく暮らすでしょう?」
「もちろんよ。残されたものは楽しくするしかないじゃない。でもクリスマスは楽しみ。 お正月の予定も立てないとね。いつ泊りに行けるか分かった方がいいでしょう?」
「うん。」
もうすぐクリスマスと冬休み。今年は少し甘い日々を送れそう。
次の月曜日、早速ランチの時に白状させられた。
近藤さんがあいさつに来たこと、緊張してた事。
取りあえずは上司として、お付き合いしてる人として、両方よろしくお願いされたこと。
二人がお腹を抱えるようなエピソードはなかったから、ちょっとだけガッカリされた。
その日のうちに高田さんにこっそり呼び止められて『おめでとう。』を言われた。
『爬虫類カフェ』というデート先が気に入られることもあるんだぞって、近藤さんがアホみたいに自慢してたと言う。
高田さんは冗談のように笑ってたけど、確かにお父さんは共感してたと思う。
やっぱり私のチョイスは間違ってなかったのだ。
23日は精一杯おしゃれして待ち合わせ場所に行った。
あえて首回りにアクセサリーはつけずに。
今日もらえるんだよね。わくわく。つけてくれるって言ってた。
どうしよう、緊張する。
待ち合わせの場所は暖かいデパートの中にした。
早く来たから少し商品を見たりして。
ん?
待てよ、私、何にも買ってない、何で今頃気がつくの・・・・。
時計を見ても、もうすぐ時間になってしまう。
財布にお金は入ってる。
どうしよう。ううう、一緒に選びたいと言うしかない。
酷い、自分。何でそこに気がつかなかったんだろう。
気がついてたらさりげなくというよりガッツリ、高田さんに探ってもらったりして、こっそり買って驚かせてたのに。
何て間抜けなの。
何がいいのかなあ?
えっと・・・・・う・・・ん。
分からない、そんなことで悩んだ経験がないのだから。
皆どうしてるんだろう。
若菜ちゃんに今聞いても邪魔よね。デート中だし。
『茜ちゃんは何買ったの?』って何で聞いてくれなかったの?
お母さんもちょっとくらい気がついて。
・・・・・それより自分ですが。
オロオロしてたら名前を呼ばれた、・・・・タイムアップ!
「茜、何してるんだ?」
挙動不審に見えた?
「トイレ行きたいなら待つぞ。」
もう、色気ない・・・・違います。
正直に言った。手を引いて端の方に行って、言った。
「本当にすみません。」
「茜、何?」
「あの・・・・あの・・・・・私・・・近藤さんに・・・プレゼントもらうばっかり楽しみにしてて、あげるほうを
すっかり忘れてて。何も買ってないんです。一緒に選んでもらえませんか?」
ふ~っと大きく、ため息が私の髪を揺らした。
そんなにがっかりした?
ゆっくり顔をあげて、近藤さんを見ると笑顔だった。
「もう、何を言われるのか、ドキドキしたよ。やっぱり一緒にいれません!とか言われたらとか・・・ちょっと不安になった。」
「へ?何でですか?」
それならこんなおしゃれに時間をかけてきませんが。
これでも頑張りました。
間抜けな顔をしてたかもしれない。
唇を親指で軽く撫でられてその指を自分の唇に当てた近藤さん。
ちょっと何だかびっくりするほど・・・恥ずかしい。
「いいよ、別に。イブにもらうから。」
「分かりました。ちゃんとそれまでに・・・・無理です。イブは。時間がないです。」
「だから非売品。用意しなくてもいいから。」
「売ってないもの?作る?」
「茜、鈍い。」
茜をもらうと耳元で言われた。
はい、どうぞ、それでよろしければって。
「もう、そんなのでいいわけないじゃないですか。もっと記念に残るようなものです。」
「いいよ、素敵な夜の思い出で。」
欲しいものがあったら考えていてください。
ボーナス出たし。
クリスマスあとになりますが一緒に付き合ってください。
そう言って何とか許してもらったつもり。
近藤さんが選んだお店で、名前を言って窓側の席に通された。
周りはやはりカップルだらけ。
隣の席とはくっついてはいないけど声は聞こえる。
こんなところでアクセサリー出されたら思いっきり喜べない。
もっと薄暗かったり、視線が遮られるところを希望したいけど。
とりあえずコースはクリスマスコースだけなのでお酒を注文して後は待つのみ。
「茜、その服似合うよ。」
「ありがとうございます。今日のために買いました。」
「すごくいいね。いつもより大人っぽい。」
本当は若菜ちゃんが選んでくれたんだけど。
正面から見つめられて、褒められると恥ずかしい。
「近藤さんもかっこいいです。大人ですね、やっぱり。」
「そりゃそうだ。クリスマスだしな。」
食事はおいしくてゆっくり話をしながら食べてもあっという間にデザートになった。
お皿を大きく埋めてるのはチョコで書かれた文字。
それでも雪のかかったソースとブッシュドノエルの小さなデザートはクリスマスしか食べられないだろう。
「ごちそうさまでした。」
紅茶を飲み終わり満足して言う。
そういえばプレゼントはまだ出てこない。
いついつ?ドキドキは続く。
会計を済ませて外へ。あれ?
「茜、もう一軒いいか?」
一応時計を見る。
「今日は7時から夕食です。まだまだ大丈夫です。」
連れていかれたのはホテルのロビーラウンジ。
ソファ席に案内された。
四人くらいは余裕で過ごせるくらいでゆったりと座れる。
それでも横並びに座る。
お酒を注文してくつろぎモード。
「茜、はい、クリスマスプレゼント。」
あの時の箱を渡された。
ゆっくりリボンを解いて箱を開ける。きれい。
眺めてると横から手が出てきた。
ゆっくりチェーンを持って留め具を外す。
「茜、付けてあげるからちょっとだけあっち向いて。」
髪をあげてつけてもらった。
「いいよ。」
首にキスをされて、びっくりした。
終わりの合図・・・・思わずキョロキョロしたけど大丈夫だった?
人前でそんなことする人?
甘い顔で微笑まれて、また似合うと言ってくれた。
お礼お礼。
「ありがととうございます。すごくうれしいです。大切にします。」
同じ言葉だったけどまた言った。
お酒が運ばれてきて乾杯する。
コースターにグラスを置いてゆっくり首元に手が行く。
うれしい、この上なく。
初めてのプレゼント。
「ご両親、あれから何か言ってた?」
「はい、お正月の予定を立てるからって。泊まりに行きたいでしょうって。」
近藤さんが何とも言えない顔をする。
ああ・・・。なんだか思ってた答えと違ったみたい?
何か違うことが聞きたかった?
「もちろん二人とも近藤さんの事、大賛成ですよ、言いましたよね。」
「ああ。」
これも違った?何だろう。
首を倒してみる。思いつかない。
何を聞きたいの?
「家で年越しで本当にいいですか?私はおせちを頑張ります。」
「ああ、よければ本当にお邪魔します。」
丁寧語。
「あの?何か?」
漠然とした質問だけど、何だろう?
近藤さんの聞きたいことが分からない。
「茜、少し目をつぶってくれる?」
はい。そう言って目を閉じた。
ここでいきなりキスとかないよね。気配を探るとごそごそしてる感じ。
そして指を取られてはめられた感覚・・・・指輪。
思わず目を開けて見てしまった。
それはこの間はめてみた指輪。ネックレスとお揃い。
どうして?
「まだまだ早いけど、俺の気持ち。いつかもっと、茜が十分だと思ったころにまた言うから。ちゃんと言うから。この間挨拶した時、結婚を前提にお付き合いしてます、ってご両親には言えなかった。あの時に言っても茜に返事を急がせそうだったし、やめたんだけど。でもやっぱり言いたくて。こっちも大切にしてくれる?」
「もちろんです。でも、なんで・・・・。」
「サイズ?あの後すぐに戻ったから店員さんも覚えてたんだよ。」
「違います。そうじゃなくて。・・・・」
顔を見た。近藤さんが何?って顔をしている。
耳を貸してください。
そう言って背を低くしてもらい私は上半身を伸ばした。
「だってこんなところじゃ抱きつけない。本当にうれしいです、大好きです。近藤さん、ありがとうございます。」
そう言ってさりげなく耳にキスをして離れた。
にっこり笑う。
耳に手を当てて同じように笑った近藤さん。
その笑顔・・・皆が見たらびっくりです。
それほど素敵だったから。
指輪はぴったりだったから、そのままつけて。
夕方改札で振った手にも光っていた。
1人で電車に乗っても指が重くて。
家について部屋に入ると指から外した。ネックレスも。
大切にケースに入れて後で見せよう。
手伝いをするために下に降りた。
「お母さん、手伝う。」
声はどこまでも弾んでてご機嫌を隠せない。
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