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第4章141話:他者視点2
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<坊主頭&角刈り視点・続き>
角刈りは言う。
「そもそも本当にルミさんなのか? ルミさんのコスプレをしてるだけの別人という可能性もあるぞ」
ルミといえば、もはや大人気グランチューバーの一人である。
熱狂的なファンもそれなりについている。
だから、そういったファンがコスプレであんなことをしている可能性もあるのだ。
坊主頭が言った。
「いや……俺の目に狂いはない。彼女は本物のルミさんだ」
「なんでそう言い切れるんだよ?」
「それはな、俺がルミさんの大ファンだからだ……!!!」
坊主頭はカッと目を見開いて言った。
角刈りは納得する。
「なるほどな。まあ、お前がそう言うんだったら信じるけどよ……でもさ、やっぱりルミさんって面白いよな」
角刈りは笑って続ける。
「こんな上級ダンジョンでベンチプレスって意味不明すぎるし。よし、写真に撮ってSNSに乗せ―――――」
「――――辞めろ」
坊主頭が静かに言った。
有無を許さぬ声音である。
坊主頭は続ける。
「見ろ。ルミさんは今、飛行カメラを回してない。配信中じゃないんだよ。つまり彼女にとって今はプライベートなわけで、勝手に写真を撮ったりするのは迷惑になるだろ」
「お、おう。至極真っ当な意見、ありがとよ。お前、ほんとうにルミさん推しなんだな?」
「ああ、そうだ。それと、一つ忠告するぜ」
「なんだ?」
「ここにルミさんがいたことも言いふらすなよ。たぶんこの部屋はルミさんのプライベートゾーンだ。だったら公表するべきじゃない。もしお前が誰かに言いふらしたら……」
「……言いふらしたら……?」
「…………刺す」
……何を刺すのか?
それは明言しない。
ただ、揺るぎない決意を表明するかのような、鋭い意志だけがあった。
過激なファンの狂気に触れた角刈りは、ビビり散らした声で答えた。
「わ、わかった、ぜ……。安心しろ。誰にも言わねーよ」
「おう。わかればいいんだよ」
坊主頭から殺気が消えた。
角刈りは言う。
「そもそも本当にルミさんなのか? ルミさんのコスプレをしてるだけの別人という可能性もあるぞ」
ルミといえば、もはや大人気グランチューバーの一人である。
熱狂的なファンもそれなりについている。
だから、そういったファンがコスプレであんなことをしている可能性もあるのだ。
坊主頭が言った。
「いや……俺の目に狂いはない。彼女は本物のルミさんだ」
「なんでそう言い切れるんだよ?」
「それはな、俺がルミさんの大ファンだからだ……!!!」
坊主頭はカッと目を見開いて言った。
角刈りは納得する。
「なるほどな。まあ、お前がそう言うんだったら信じるけどよ……でもさ、やっぱりルミさんって面白いよな」
角刈りは笑って続ける。
「こんな上級ダンジョンでベンチプレスって意味不明すぎるし。よし、写真に撮ってSNSに乗せ―――――」
「――――辞めろ」
坊主頭が静かに言った。
有無を許さぬ声音である。
坊主頭は続ける。
「見ろ。ルミさんは今、飛行カメラを回してない。配信中じゃないんだよ。つまり彼女にとって今はプライベートなわけで、勝手に写真を撮ったりするのは迷惑になるだろ」
「お、おう。至極真っ当な意見、ありがとよ。お前、ほんとうにルミさん推しなんだな?」
「ああ、そうだ。それと、一つ忠告するぜ」
「なんだ?」
「ここにルミさんがいたことも言いふらすなよ。たぶんこの部屋はルミさんのプライベートゾーンだ。だったら公表するべきじゃない。もしお前が誰かに言いふらしたら……」
「……言いふらしたら……?」
「…………刺す」
……何を刺すのか?
それは明言しない。
ただ、揺るぎない決意を表明するかのような、鋭い意志だけがあった。
過激なファンの狂気に触れた角刈りは、ビビり散らした声で答えた。
「わ、わかった、ぜ……。安心しろ。誰にも言わねーよ」
「おう。わかればいいんだよ」
坊主頭から殺気が消えた。
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