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第2章68話:報酬
しおりを挟むもう人魚に襲われる危険はないので、じっくりと遊泳できる。
ぐるりと湖を一周するように泳ぐ。
泳ぎながら周囲を探した。
探す。
探す。
探す。
……あれ?
スキル石、ない。
見落としたかな?
そう思って、一度水上で呼吸をしてから、また潜って探し始める。
うん、やっぱり無いな。
(いや、何故……?)
困惑しつつ、私はいったんフランカたちの元に戻った。
すると、人魚が目を覚ましていた。
「あ、起きたのですわね」
私がそう言うと、人魚は小さくうなずいたあとで、挨拶をしてきた。
「はじめに自己紹介を……我はゼラじゃ」
「わたくしはルチルですわ」
「ルチル。このたびは助けていただき、まことに感謝する。我は、恐ろしい闇の狂気に飲まれておった」
闇の狂気……ね。
ゲームでもそんな設定だったかな、と思いつつ、私は告げる。
「正気に戻ってよかったですわ」
「ああ、本当に。ついては礼をさせていただきたく思う」
「お礼ですの?」
「湖にスキル石を隠してある。我の財宝の一つじゃ。いま持ってこよう」
ああ、こういう流れなのね。
「というか、もう身体は平気なんですか? 結構きつい電撃だったと思いますが」
「問題ない」
そう言い残してゼラさんは、湖に戻っていく。
ややあって戻って来たとき、その手に紫色の鉱石を持っていた。
「魔力自動回復スキルが取得できるスキル石じゃ。受け取れ」
うんうん、それそれ。
それが欲しかったのよ。
錬金術をやっていると、どうしても魔力消費が激しいからね。
いちいちマナポーションで回復しようとすると、飲みすぎでお腹がたぷたぷになっちゃうし。
私がスキル石を受け取るとほぼ同時に、エドゥアルトがあわあわして叫んだ。
「ま、魔力自動回復!?」
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