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突然の別れですか?!
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5月に入って2日目のフェリシア 横浜。
ゴールデンウィーク中は、挙式や打ち合わせなどで大忙しだが、この日は平日とあって、少し落ち着いていた。
「真菜先輩」
美佳に呼ばれて、真菜はパソコンから顔を上げる。
「届きましたよー!無事に」
にこにこしながら、小さなダンボール箱を持って来る。
「ん、何が?」
「招待状です!園田様と上村様の」
あ、ああ、と真菜は頷く。
「じゃあ…、サロンの方で検品しようか」
「はい!」
サロンの丸テーブルの上で、美佳はそっと箱を開けた。
ビニールに包まれた招待状の束を取り出すと、デザインと文章を、書類を見ながら確認する。
「うん、合ってる!大丈夫そうですね」
「そうね、良かった」
「次回の打ち合わせ、来週ですよね?喜んでくださるかなー。お渡しするのが楽しみ!」
嬉しそうな美佳の笑顔に、真菜も微笑んで頷く。
だが、あれから新郎新婦のどちらからも連絡はなかった。
(次回の打ち合わせの予約はそのまま入れてあるけど…。いらっしゃるかな?どうなったのかな?この招待状も、ボツにならなければいいけど)
つい暗い表情をしそうになり、真菜は慌てて笑顔を作る。
「じゃあ、美佳ちゃん。明日からは連休後半で挙式が続くから、準備の確認しておこうか」
そう言って立ち上がった時だった。
「真菜、ちょっといいか?」
呼ばれて振り返ると、館内へ続くドアから拓真が顔を出していた。
美佳に、先に行っててくれる?と断ってから、真菜は拓真のもとへ行く。
「お疲れ様。どうしたの?挙式の確認?明日から立て続けだもんね」
「ああ、うん。いや、ちょっと真菜に話があって…」
「私に?なあに?」
真菜は、小首を傾げて聞いてくる。
拓真はそんな真菜から視線を逸らして話し出した。
「あのさ、真菜、今、付き合ってるやついるのか?」
「は?何、急に。そんな人いないよ?」
「本当か?」
「うん。どうしてそんな事聞くの?」
「いや、俺、ちょっと見かけたんだよ。夜更けに真菜が、男とマンションに入って行く所」
「えー、見間違いじゃない?私、そんな夜遅くに出歩いたりしないよ?」
「いや、確かに真菜だった。それに…」
拓真が言い淀むと、真菜は、それに?と促してくる。
「それに、一緒にいたのは、専務だった」
「えっ!」
真菜が絶句する。
その顔に、拓真は確信した。
「やっぱり真菜、あの男と付き合ってるんだな?」
「ううん。付き合ってる訳じゃないの」
「じゃあ何だよ?あのマンション、あいつが住んでるマンションじゃないのか?」
「あのマンションって…」
「みなとみらいのだよ。俺、ローズ みなとみらいで仕事した日に通りかかったんだ」
真菜は、はあと小さく息を吐き出した。
「そっか。あそこ、ローズ みなとみらいに近いもんね」
「じゃあ、やっぱりそうなんだな!」
「うん。あそこは専務の住んでるマンションだよ。でも私と専務は付き合ってない」
「はあ?どういう事だよ。お前、付き合ってもいない男の家に行ったのか?あんな夜更けに?お前がそんな事するはずないだろう!」
「しっ、拓真くん、声大きいよ」
真菜は、辺りに誰もいないか確認してから、拓真を柱の影まで連れてきた。
「あのね、拓真くん。ちゃんと説明するから聞いてくれる?」
「…分かった。一体どういう事なんだ?」
「うん。まずね、本当に私と専務は付き合ってないの。でも私が少し、なんて言うのかな、ちょっと危険な目に遭った時に、たまたま助けてくれた事があって。それで、そのあとも私の身に危険が及ぶのを心配して、今、そうねえ、保護してもらってる、みたいな感じかな?」
はあ?!と、拓真は呆れた様な声を出す。
「なんだよ、それ。拾われた子猫じゃあるまいし。大体、保護ってなんだ?匿われてるのか?」
「うん、まあ、そんな感じ」
「それって、一緒に住んでるって事か?」
「いや、そういうニュアンスではなくて…。だから本当に保護されてるっていうか」
「ふざけんなよ!何だよそれ?そんな話あるかよ?!結婚もしてない男女が一緒に住んで、保護されてるだ?そういうのをな、同棲って言うんだよ!」
真菜は、拓真の勢いに押されたように立ちすくみ、涙で目を潤ませている。
「ど、どうしたの、拓真くん。どうしてそんな…」
拓真はようやく、真菜を怖がらせる程、取り乱してしまった事に気付いたが、だからといってこの感情のやり場がない。
くそっと下を向いて呟くと、拓真は足早に、真菜の前から立ち去って行った。
*****
5月の連休の後半は、5日間ずっと挙式と打ち合わせがフルに入っており、スタッフは皆バタバタだった。
真菜も拓真と顔を合わせる事が多かったが、あまりの忙しさに、仕事のやり取りをするだけで精一杯。
気まずい雰囲気になる暇もなかった。
ようやく連休最終日の挙式を終え、オフィスでバタリと皆がデスクに突っ伏した時、プルッと電話が鳴った。
「誰かー取ってーお願いー」
久保のグッタリした声を聞きながら、真菜がかろうじて手を伸ばして受話器を上げる。
「お電話ありがとうございます。アニヴェルセル・エトワール、フェリシア 横浜の齊藤でございます」
いつものセリフをなんとか口にした真菜が、次の瞬間、シャキッ!と立ち上がった。
「ん…どしたの、真菜」
久保が、ぼんやりした視線を向ける先で、真菜は直立不動で返事をしている。
「はい、はい、かしこまりました!お越しを心よりお待ちいたしております!はい!それでは、失礼いたします」
そう言って、半ば呆然としながら受話器を置く。
「真ー菜ー、だいじょうぶー?」
そちらこそ大丈夫ですかと聞きたくなるような声で、久保が声をかけてくる。
「はい、大丈夫です!齊藤 真菜、これからも頑張ります!」
拳を握りしめる真菜に、頑張ってねーと久保はゆるく声をかけた。
*****
「何?あのお二人が?」
夜遅くに帰って来た真に、真菜は興奮気味に話をする。
「はい!そうなんです。新郎様からお電話があって、4日後の打ち合わせ、予定通り二人で伺いますって。式の日取りも、押さえたままにしてくださいって」
「つまり、キャンセルしないって事か?」
「はい!お二人、ご結婚されるって」
「そうか!良かったな、真菜!」
真も珍しく興奮している。
「ええ。それで新郎様が、4日後の打ち合わせに真さんも同席して欲しいって」
「え、俺も?」
「はい。新婦様が、私達に謝りたいからって」
「うーん、そうか」
「どうしましょう?真さん、予定ありますものね」
「いや、何とかしよう。時間は?」
「18時からです」
「分かった。必ず行く」
「はい!」
真菜は、嬉しそうに頷いた。
*****
そして4日後の5月11日。
約束の18時に、園田様と上村様がやって来た。
真菜と真は並んで向き合う。
「真菜さん、本当に本当に申し訳ありませんでした」
新婦の亜希が、深く頭を下げた。
「私、どうかしてました。彼と結婚出来る事が嬉しかったのに、本当に私でいいんだろうかって段々不安になってきて…。私なんて、気の利いた話も出来ないし、一緒にいても楽しくないだろうって。打ち合わせで、彼が真菜さんと楽しそうに会話するのを見て、私もこんなふうに彼を明るくさせたいって思って、でも出来なくて。怖くなったんです、いつか私は彼に捨てられるんだろうかって。でも、どうしても彼と結婚したかった。だって、彼のこと、ずっとずっと好きだったんです。子どもの頃からずっと…」
そして、ポロポロと涙を溢す。
「そのうちに私の心は歪んでしまいました。真菜さんに、間違った敵意を向けてしまったんです。真菜さんが、担当を外れてくれたらいいのにって、1度考え始めたら止まらなくなって…。ほんの少しだけ、脅かしてみよう。そしたら元気がなくなって、彼とも楽しく話さなくなるかもしれない。もしかしたら、仕事もお休みするかもしれないって。でも真菜さんは変わらなかった。それでつい…」
言葉を詰まらせる彼女の背中を、新郎がなでる。
「すみません、つい…頼んでしまったんです。少しだけ、真菜さんを怖がらせてくれって。闇バイトの見ず知らずの人に、そう頼んで…、尾行して怖がらせるだけでいいって。でもその人、真菜さんを…押し倒したって聞いて。本当に、本当にすみませんでした」
再び深々と頭を下げた。
「今となっては、よく分かります。女性にとって、それがどんなに恐ろしい事だったのか。それなのに、感覚が麻痺していた私は、さらに手紙をもう一通出してしまいました。暴走していた私を、ようやく齊藤さんが止めてくださって。それも、決して責める訳でもなく。全てをご存知なのに、殴られても、警察に引きずっていかれても当然だったのに…。本当に申し訳ありませんでした」
新郎も隣で頭を下げる。
「園田様、上村様、もう顔を上げて下さい」
真菜が優しく声をかける。
「でも、私は真菜さんに酷い事を…。真菜さんは、何も悪くないのに」
泣き続け、謝り続ける新婦に、真菜が話し出す。
「新婦様、私はずっと願っていました。新婦様が、私に心を開いて下さるようにって。いつもどこか暗い表情の新婦様が、心から結婚式を楽しみにして下さるようにって。だからこれからは、何でも私にお話して下さい。そして、結婚式を一緒に素敵なものにしていきましょう」
そう言って笑いかける真菜に、二人は言葉を詰まらせながら泣き、そして頷いた。
サロンの出口で見送る時、真菜は先週届いたばかりの招待状を渡し、宛名書き、お二人で頑張ってくださいね、と笑顔を向ける。
何度も頭を下げてから、ようやく笑顔で帰って行く二人を見ながら、真はポンと真菜の頭に手を置いた。
「良く頑張ったな、真菜」
不意をつかれた真菜は、涙目になって微笑んだ。
*****
ガーデンで待っているから、着替えておいで、と真菜に言い、真は扉を開けてゆっくりと外に出た。
昼間は暑いくらいの陽気だったが、今はひんやりとした風が心地良い。
花の香りも楽しみながら、ガーデンに足を踏み入れた時だった。
「あの」
ふいに声をかけられて振り返ると、若い男性がこちらに近付いて来た。
真の前まで来ると、頭を下げる。
「写真事業部の小野と言います。急に呼び止めてすみません。少しお話してもいいでしょうか」
「何だ」
真は、正面に向き直った。
「あの、単刀直入に言います。真菜とはどういうつもりですか?」
「言ってる意味がよく分からんが?」
「どうして真菜と一緒に住んでるんですか?あいつは、結婚前に男と同棲するようなやつじゃないんです。今どき珍しいくらい純粋で、自分を大事に守ってるんです。なのにどうしてあなたは、そんな真菜と一緒にいるんですか?どういうつもりで?真菜のこと、本気で考えてるんですか?」
上司だろうが関係ない、と言わんばかりの強気な態度に、真は、ふっと笑みをもらす。
「何がおかしいんですか?」
「いや、若くていいなと思っただけだ」
そして真っ直ぐ視線を合わせた。
「君の質問に答えよう。真菜に、業務上の危険が迫っていた。会社としては、社員を守る義務がある。だから真菜の安全を確保した。上司としての責任を果たした。それだけだ。それに…」
一瞬言葉を止めてから、また顔を上げる。
「今日、問題は全て解決した。真菜の身に危険が迫る事はもうない。俺が真菜を守る必要もなくなった。真菜はもう自由だ」
「それは、もう一緒に住む必要はなくなったって事ですか?」
「そうだ」
「…分かりました。じゃあ」
そう言って頭を下げてから、立ち去って行く。
真は、ふうと大きく息を吐き出した。
そしてそんな二人の様子を、柱の後ろで見ていた真菜もまた、大きなため息をついていた。
*****
「真菜、夕飯どうする?外に食べに行くか?」
マンションに着くと、真が真菜にそう声をかける。
真菜はうーんと考えてから、首を横に振った。
「ううん。ここで食べたいです。私、何か作りますね」
そう言ってキッチンに立つ。
やがてダイニングテーブルに並べられた数々の料理に、真は驚いた。
「こんなにたくさん作ったのか?」
「ええ。冷蔵庫に残ってる食材、全部使い切ろうと思って。作り過ぎたものは、冷蔵庫に入れておきますね。レンジで温めればすぐ食べられますから」
真は、真菜の言葉を頭の中で反復する。
「真菜?それってどういう…」
真菜は、箸を置いて真に頭を下げた。
「真さん、今まで本当にありがとうございました。私、明日寮に戻りますね」
「えっ…」
言葉が出て来ない。
だが、先程あの若い男性に自分が言った言葉を思い出す。
(真菜はもう自由だ)
引き留める事は出来なかった。
*****
「行ってらっしゃい」
翌朝、いつものように真菜が真を玄関で見送る。
「行ってきます」
そう言って真が出て行った。
いつもの朝…だが、最後の朝だ。
真菜は腕まくりすると食器を洗い、掃除や洗濯など、次々と家事をこなす。
今日、真菜の仕事は休みだった。
ひと通りの家事を済ませると、一旦外に出てスーパーに買い出しに行く。
(えっと、牛乳と卵、パンとヨーグルトに、あと真さんの好きなグレープフルーツと…)
最後に、思い付いたように鶏もも肉を買った。
マンションに戻るとご飯を炊き、唐揚げと味噌汁を作って、ラップをかけてからダイニングテーブルに並べる。
そして自分の部屋に入ると、荷物をまとめた。
「よしっ!と」
大きなバッグを手に部屋を出ると、
『ありがとうございました 真菜』
と書いたメモと一緒に、マンションの鍵をダイニングテーブルに置く。
玄関に立つと、くるっと向きを変えてから、誰もいない部屋に向かって深く頭を下げた。
「お世話になりました」
涙がこみ上げて来るのを必死に堪え、真菜は玄関をあとにした。
*****
夜に寮への道を歩くのは、あの日以来だ。
真菜は、バッグを持つ手に力を込めて、足早にあの時の現場を通り過ぎる。
(大丈夫、大丈夫…)
何度も自分に言い聞かせながら、速足で歩いて行く。
辺りはまばらに人の姿もあり、真菜は幾分ホッとしながら無事に寮にたどり着いた。
ポストから溜まった郵便物を取り出し、久しぶりに部屋に入ると、ベッドにドサッと座り込んだ。
(はあー、ようやく帰って来たってよりは、変な感じ。自分の部屋じゃないみたい)
ノロノロと立ち上がり、冷蔵庫を開ける。
ペットボトルが何本かと、調味料…
(これじゃ何も作れないな。かといって外に買い出しに行くのも嫌だし)
真菜は、シンクの下の棚を開け、夕飯にはパスタを、明日の朝食用にはパンケーキを作る事にした。
(明日、仕事帰りに買い物しよう)
そう思いながらパスタを食べ、お風呂に入る。
心細くなるのは、あの日の恐怖が蘇っているからなのか、それとも単に、久しぶりのひとり暮らしだからなのか…
とにかく真菜は、早めにベッドに入った。
だが、寝付けなくて何度も寝返りを打つ。
今までは電気を全部消していたが、ベッドサイドのランプは点けたままにしている。
ぼんやりとした灯りの中で時計を見ると、23時になろうとしていた。
(はあ、全然眠れない…)
その時、枕元のスマートフォンがいきなり鳴り始めた。
「びっくりしたー。電話?え、真さん!」
真菜は飛び起きて耳に当てる。
「もしもし」
「真菜?俺だ。遅くに悪い。起こしたか?」
「いいえ、まだ寝付けなくて」
「そうか」
「真さんは?今帰って来たんですか?」
「さっきな。そうだ、唐揚げありがとう、うまかった」
「いえ。こんな時間に食べて胸焼けしませんでしたか?」
「全然。もっと食べたいくらいだ」
「ええ?!あんなにたくさん作っておいたのに?」
真菜は驚いて笑い出す。
「ほんとに真さん、唐揚げ好きですね」
「そうだな、3日に1回は食べたい。あ、それより真菜。忘れ物したみたいだぞ」
「え、忘れ物?」
「そう。洗面台に、クシュクシュッとしたのがあって。ほら、真菜が料理する時に髪をまとめてた…」
「ああ、シュシュですね」
「シュシュ?クシュクシュじゃないのか?」
「ふふ、シュシュです。特になくても支障はないので、そのまま持っておいてもらえますか?邪魔だったら捨てて下さい」
「そんな、捨てるなんて。じゃあ、次に会う時まで預かってるよ」
「すみません、お願いします」
「ああ、今度返すよ」
そして沈黙が広がった。
「…真菜」
「はい」
「眠れるか?」
ふいに聞こえてきた真の優しい声に、真菜は胸がギュッと締め付けられ、一気に涙がこみ上げてくる。
「真菜?」
「だ、だいじょぶ、でず」
「その割にはもの凄い鼻声だが?」
「な、泣いでなんが、ないでず」
「そうか、泣いてるのか」
「泣いでまぜん…グズ」
真は、ふっと笑みをもらす。
「無理するな。お前が寝付くまでこの電話は繋いでおく。安心して休め」
「え、電話しながら寝るの?」
「話してると眠れないだろう。お前は黙って目を瞑れ」
「じゃあ真さんが、子守唄歌ってくれるの?」
「それもまた別の意味で眠れん。いいから黙って目を閉じろ」
「はい」
真菜は目を閉じて耳を澄ませる。
微かにカチャッという扉を開ける音や、コトッと何かを置く音がする。
やがて、コポコポという音が聞こえてきて、真菜は思わずふふっと笑う。
「真さん、コーヒー淹れてる」
「おっ、すまん。聞こえたか?」
「もっと聞きたい」
真菜は、目を閉じたまま思い出す。
ソファに二人並んで座り、コーヒーを飲みながら他愛もない話をした日々を。
「楽しかったなあ…」
呟くように言うと、真菜は微笑んだままスーッと眠りに落ちていった。
「…真菜?」
小さく呼びかけると、返事はない。
真はふっと笑みをもらして呟いた。
「お休み、真菜」
ゴールデンウィーク中は、挙式や打ち合わせなどで大忙しだが、この日は平日とあって、少し落ち着いていた。
「真菜先輩」
美佳に呼ばれて、真菜はパソコンから顔を上げる。
「届きましたよー!無事に」
にこにこしながら、小さなダンボール箱を持って来る。
「ん、何が?」
「招待状です!園田様と上村様の」
あ、ああ、と真菜は頷く。
「じゃあ…、サロンの方で検品しようか」
「はい!」
サロンの丸テーブルの上で、美佳はそっと箱を開けた。
ビニールに包まれた招待状の束を取り出すと、デザインと文章を、書類を見ながら確認する。
「うん、合ってる!大丈夫そうですね」
「そうね、良かった」
「次回の打ち合わせ、来週ですよね?喜んでくださるかなー。お渡しするのが楽しみ!」
嬉しそうな美佳の笑顔に、真菜も微笑んで頷く。
だが、あれから新郎新婦のどちらからも連絡はなかった。
(次回の打ち合わせの予約はそのまま入れてあるけど…。いらっしゃるかな?どうなったのかな?この招待状も、ボツにならなければいいけど)
つい暗い表情をしそうになり、真菜は慌てて笑顔を作る。
「じゃあ、美佳ちゃん。明日からは連休後半で挙式が続くから、準備の確認しておこうか」
そう言って立ち上がった時だった。
「真菜、ちょっといいか?」
呼ばれて振り返ると、館内へ続くドアから拓真が顔を出していた。
美佳に、先に行っててくれる?と断ってから、真菜は拓真のもとへ行く。
「お疲れ様。どうしたの?挙式の確認?明日から立て続けだもんね」
「ああ、うん。いや、ちょっと真菜に話があって…」
「私に?なあに?」
真菜は、小首を傾げて聞いてくる。
拓真はそんな真菜から視線を逸らして話し出した。
「あのさ、真菜、今、付き合ってるやついるのか?」
「は?何、急に。そんな人いないよ?」
「本当か?」
「うん。どうしてそんな事聞くの?」
「いや、俺、ちょっと見かけたんだよ。夜更けに真菜が、男とマンションに入って行く所」
「えー、見間違いじゃない?私、そんな夜遅くに出歩いたりしないよ?」
「いや、確かに真菜だった。それに…」
拓真が言い淀むと、真菜は、それに?と促してくる。
「それに、一緒にいたのは、専務だった」
「えっ!」
真菜が絶句する。
その顔に、拓真は確信した。
「やっぱり真菜、あの男と付き合ってるんだな?」
「ううん。付き合ってる訳じゃないの」
「じゃあ何だよ?あのマンション、あいつが住んでるマンションじゃないのか?」
「あのマンションって…」
「みなとみらいのだよ。俺、ローズ みなとみらいで仕事した日に通りかかったんだ」
真菜は、はあと小さく息を吐き出した。
「そっか。あそこ、ローズ みなとみらいに近いもんね」
「じゃあ、やっぱりそうなんだな!」
「うん。あそこは専務の住んでるマンションだよ。でも私と専務は付き合ってない」
「はあ?どういう事だよ。お前、付き合ってもいない男の家に行ったのか?あんな夜更けに?お前がそんな事するはずないだろう!」
「しっ、拓真くん、声大きいよ」
真菜は、辺りに誰もいないか確認してから、拓真を柱の影まで連れてきた。
「あのね、拓真くん。ちゃんと説明するから聞いてくれる?」
「…分かった。一体どういう事なんだ?」
「うん。まずね、本当に私と専務は付き合ってないの。でも私が少し、なんて言うのかな、ちょっと危険な目に遭った時に、たまたま助けてくれた事があって。それで、そのあとも私の身に危険が及ぶのを心配して、今、そうねえ、保護してもらってる、みたいな感じかな?」
はあ?!と、拓真は呆れた様な声を出す。
「なんだよ、それ。拾われた子猫じゃあるまいし。大体、保護ってなんだ?匿われてるのか?」
「うん、まあ、そんな感じ」
「それって、一緒に住んでるって事か?」
「いや、そういうニュアンスではなくて…。だから本当に保護されてるっていうか」
「ふざけんなよ!何だよそれ?そんな話あるかよ?!結婚もしてない男女が一緒に住んで、保護されてるだ?そういうのをな、同棲って言うんだよ!」
真菜は、拓真の勢いに押されたように立ちすくみ、涙で目を潤ませている。
「ど、どうしたの、拓真くん。どうしてそんな…」
拓真はようやく、真菜を怖がらせる程、取り乱してしまった事に気付いたが、だからといってこの感情のやり場がない。
くそっと下を向いて呟くと、拓真は足早に、真菜の前から立ち去って行った。
*****
5月の連休の後半は、5日間ずっと挙式と打ち合わせがフルに入っており、スタッフは皆バタバタだった。
真菜も拓真と顔を合わせる事が多かったが、あまりの忙しさに、仕事のやり取りをするだけで精一杯。
気まずい雰囲気になる暇もなかった。
ようやく連休最終日の挙式を終え、オフィスでバタリと皆がデスクに突っ伏した時、プルッと電話が鳴った。
「誰かー取ってーお願いー」
久保のグッタリした声を聞きながら、真菜がかろうじて手を伸ばして受話器を上げる。
「お電話ありがとうございます。アニヴェルセル・エトワール、フェリシア 横浜の齊藤でございます」
いつものセリフをなんとか口にした真菜が、次の瞬間、シャキッ!と立ち上がった。
「ん…どしたの、真菜」
久保が、ぼんやりした視線を向ける先で、真菜は直立不動で返事をしている。
「はい、はい、かしこまりました!お越しを心よりお待ちいたしております!はい!それでは、失礼いたします」
そう言って、半ば呆然としながら受話器を置く。
「真ー菜ー、だいじょうぶー?」
そちらこそ大丈夫ですかと聞きたくなるような声で、久保が声をかけてくる。
「はい、大丈夫です!齊藤 真菜、これからも頑張ります!」
拳を握りしめる真菜に、頑張ってねーと久保はゆるく声をかけた。
*****
「何?あのお二人が?」
夜遅くに帰って来た真に、真菜は興奮気味に話をする。
「はい!そうなんです。新郎様からお電話があって、4日後の打ち合わせ、予定通り二人で伺いますって。式の日取りも、押さえたままにしてくださいって」
「つまり、キャンセルしないって事か?」
「はい!お二人、ご結婚されるって」
「そうか!良かったな、真菜!」
真も珍しく興奮している。
「ええ。それで新郎様が、4日後の打ち合わせに真さんも同席して欲しいって」
「え、俺も?」
「はい。新婦様が、私達に謝りたいからって」
「うーん、そうか」
「どうしましょう?真さん、予定ありますものね」
「いや、何とかしよう。時間は?」
「18時からです」
「分かった。必ず行く」
「はい!」
真菜は、嬉しそうに頷いた。
*****
そして4日後の5月11日。
約束の18時に、園田様と上村様がやって来た。
真菜と真は並んで向き合う。
「真菜さん、本当に本当に申し訳ありませんでした」
新婦の亜希が、深く頭を下げた。
「私、どうかしてました。彼と結婚出来る事が嬉しかったのに、本当に私でいいんだろうかって段々不安になってきて…。私なんて、気の利いた話も出来ないし、一緒にいても楽しくないだろうって。打ち合わせで、彼が真菜さんと楽しそうに会話するのを見て、私もこんなふうに彼を明るくさせたいって思って、でも出来なくて。怖くなったんです、いつか私は彼に捨てられるんだろうかって。でも、どうしても彼と結婚したかった。だって、彼のこと、ずっとずっと好きだったんです。子どもの頃からずっと…」
そして、ポロポロと涙を溢す。
「そのうちに私の心は歪んでしまいました。真菜さんに、間違った敵意を向けてしまったんです。真菜さんが、担当を外れてくれたらいいのにって、1度考え始めたら止まらなくなって…。ほんの少しだけ、脅かしてみよう。そしたら元気がなくなって、彼とも楽しく話さなくなるかもしれない。もしかしたら、仕事もお休みするかもしれないって。でも真菜さんは変わらなかった。それでつい…」
言葉を詰まらせる彼女の背中を、新郎がなでる。
「すみません、つい…頼んでしまったんです。少しだけ、真菜さんを怖がらせてくれって。闇バイトの見ず知らずの人に、そう頼んで…、尾行して怖がらせるだけでいいって。でもその人、真菜さんを…押し倒したって聞いて。本当に、本当にすみませんでした」
再び深々と頭を下げた。
「今となっては、よく分かります。女性にとって、それがどんなに恐ろしい事だったのか。それなのに、感覚が麻痺していた私は、さらに手紙をもう一通出してしまいました。暴走していた私を、ようやく齊藤さんが止めてくださって。それも、決して責める訳でもなく。全てをご存知なのに、殴られても、警察に引きずっていかれても当然だったのに…。本当に申し訳ありませんでした」
新郎も隣で頭を下げる。
「園田様、上村様、もう顔を上げて下さい」
真菜が優しく声をかける。
「でも、私は真菜さんに酷い事を…。真菜さんは、何も悪くないのに」
泣き続け、謝り続ける新婦に、真菜が話し出す。
「新婦様、私はずっと願っていました。新婦様が、私に心を開いて下さるようにって。いつもどこか暗い表情の新婦様が、心から結婚式を楽しみにして下さるようにって。だからこれからは、何でも私にお話して下さい。そして、結婚式を一緒に素敵なものにしていきましょう」
そう言って笑いかける真菜に、二人は言葉を詰まらせながら泣き、そして頷いた。
サロンの出口で見送る時、真菜は先週届いたばかりの招待状を渡し、宛名書き、お二人で頑張ってくださいね、と笑顔を向ける。
何度も頭を下げてから、ようやく笑顔で帰って行く二人を見ながら、真はポンと真菜の頭に手を置いた。
「良く頑張ったな、真菜」
不意をつかれた真菜は、涙目になって微笑んだ。
*****
ガーデンで待っているから、着替えておいで、と真菜に言い、真は扉を開けてゆっくりと外に出た。
昼間は暑いくらいの陽気だったが、今はひんやりとした風が心地良い。
花の香りも楽しみながら、ガーデンに足を踏み入れた時だった。
「あの」
ふいに声をかけられて振り返ると、若い男性がこちらに近付いて来た。
真の前まで来ると、頭を下げる。
「写真事業部の小野と言います。急に呼び止めてすみません。少しお話してもいいでしょうか」
「何だ」
真は、正面に向き直った。
「あの、単刀直入に言います。真菜とはどういうつもりですか?」
「言ってる意味がよく分からんが?」
「どうして真菜と一緒に住んでるんですか?あいつは、結婚前に男と同棲するようなやつじゃないんです。今どき珍しいくらい純粋で、自分を大事に守ってるんです。なのにどうしてあなたは、そんな真菜と一緒にいるんですか?どういうつもりで?真菜のこと、本気で考えてるんですか?」
上司だろうが関係ない、と言わんばかりの強気な態度に、真は、ふっと笑みをもらす。
「何がおかしいんですか?」
「いや、若くていいなと思っただけだ」
そして真っ直ぐ視線を合わせた。
「君の質問に答えよう。真菜に、業務上の危険が迫っていた。会社としては、社員を守る義務がある。だから真菜の安全を確保した。上司としての責任を果たした。それだけだ。それに…」
一瞬言葉を止めてから、また顔を上げる。
「今日、問題は全て解決した。真菜の身に危険が迫る事はもうない。俺が真菜を守る必要もなくなった。真菜はもう自由だ」
「それは、もう一緒に住む必要はなくなったって事ですか?」
「そうだ」
「…分かりました。じゃあ」
そう言って頭を下げてから、立ち去って行く。
真は、ふうと大きく息を吐き出した。
そしてそんな二人の様子を、柱の後ろで見ていた真菜もまた、大きなため息をついていた。
*****
「真菜、夕飯どうする?外に食べに行くか?」
マンションに着くと、真が真菜にそう声をかける。
真菜はうーんと考えてから、首を横に振った。
「ううん。ここで食べたいです。私、何か作りますね」
そう言ってキッチンに立つ。
やがてダイニングテーブルに並べられた数々の料理に、真は驚いた。
「こんなにたくさん作ったのか?」
「ええ。冷蔵庫に残ってる食材、全部使い切ろうと思って。作り過ぎたものは、冷蔵庫に入れておきますね。レンジで温めればすぐ食べられますから」
真は、真菜の言葉を頭の中で反復する。
「真菜?それってどういう…」
真菜は、箸を置いて真に頭を下げた。
「真さん、今まで本当にありがとうございました。私、明日寮に戻りますね」
「えっ…」
言葉が出て来ない。
だが、先程あの若い男性に自分が言った言葉を思い出す。
(真菜はもう自由だ)
引き留める事は出来なかった。
*****
「行ってらっしゃい」
翌朝、いつものように真菜が真を玄関で見送る。
「行ってきます」
そう言って真が出て行った。
いつもの朝…だが、最後の朝だ。
真菜は腕まくりすると食器を洗い、掃除や洗濯など、次々と家事をこなす。
今日、真菜の仕事は休みだった。
ひと通りの家事を済ませると、一旦外に出てスーパーに買い出しに行く。
(えっと、牛乳と卵、パンとヨーグルトに、あと真さんの好きなグレープフルーツと…)
最後に、思い付いたように鶏もも肉を買った。
マンションに戻るとご飯を炊き、唐揚げと味噌汁を作って、ラップをかけてからダイニングテーブルに並べる。
そして自分の部屋に入ると、荷物をまとめた。
「よしっ!と」
大きなバッグを手に部屋を出ると、
『ありがとうございました 真菜』
と書いたメモと一緒に、マンションの鍵をダイニングテーブルに置く。
玄関に立つと、くるっと向きを変えてから、誰もいない部屋に向かって深く頭を下げた。
「お世話になりました」
涙がこみ上げて来るのを必死に堪え、真菜は玄関をあとにした。
*****
夜に寮への道を歩くのは、あの日以来だ。
真菜は、バッグを持つ手に力を込めて、足早にあの時の現場を通り過ぎる。
(大丈夫、大丈夫…)
何度も自分に言い聞かせながら、速足で歩いて行く。
辺りはまばらに人の姿もあり、真菜は幾分ホッとしながら無事に寮にたどり着いた。
ポストから溜まった郵便物を取り出し、久しぶりに部屋に入ると、ベッドにドサッと座り込んだ。
(はあー、ようやく帰って来たってよりは、変な感じ。自分の部屋じゃないみたい)
ノロノロと立ち上がり、冷蔵庫を開ける。
ペットボトルが何本かと、調味料…
(これじゃ何も作れないな。かといって外に買い出しに行くのも嫌だし)
真菜は、シンクの下の棚を開け、夕飯にはパスタを、明日の朝食用にはパンケーキを作る事にした。
(明日、仕事帰りに買い物しよう)
そう思いながらパスタを食べ、お風呂に入る。
心細くなるのは、あの日の恐怖が蘇っているからなのか、それとも単に、久しぶりのひとり暮らしだからなのか…
とにかく真菜は、早めにベッドに入った。
だが、寝付けなくて何度も寝返りを打つ。
今までは電気を全部消していたが、ベッドサイドのランプは点けたままにしている。
ぼんやりとした灯りの中で時計を見ると、23時になろうとしていた。
(はあ、全然眠れない…)
その時、枕元のスマートフォンがいきなり鳴り始めた。
「びっくりしたー。電話?え、真さん!」
真菜は飛び起きて耳に当てる。
「もしもし」
「真菜?俺だ。遅くに悪い。起こしたか?」
「いいえ、まだ寝付けなくて」
「そうか」
「真さんは?今帰って来たんですか?」
「さっきな。そうだ、唐揚げありがとう、うまかった」
「いえ。こんな時間に食べて胸焼けしませんでしたか?」
「全然。もっと食べたいくらいだ」
「ええ?!あんなにたくさん作っておいたのに?」
真菜は驚いて笑い出す。
「ほんとに真さん、唐揚げ好きですね」
「そうだな、3日に1回は食べたい。あ、それより真菜。忘れ物したみたいだぞ」
「え、忘れ物?」
「そう。洗面台に、クシュクシュッとしたのがあって。ほら、真菜が料理する時に髪をまとめてた…」
「ああ、シュシュですね」
「シュシュ?クシュクシュじゃないのか?」
「ふふ、シュシュです。特になくても支障はないので、そのまま持っておいてもらえますか?邪魔だったら捨てて下さい」
「そんな、捨てるなんて。じゃあ、次に会う時まで預かってるよ」
「すみません、お願いします」
「ああ、今度返すよ」
そして沈黙が広がった。
「…真菜」
「はい」
「眠れるか?」
ふいに聞こえてきた真の優しい声に、真菜は胸がギュッと締め付けられ、一気に涙がこみ上げてくる。
「真菜?」
「だ、だいじょぶ、でず」
「その割にはもの凄い鼻声だが?」
「な、泣いでなんが、ないでず」
「そうか、泣いてるのか」
「泣いでまぜん…グズ」
真は、ふっと笑みをもらす。
「無理するな。お前が寝付くまでこの電話は繋いでおく。安心して休め」
「え、電話しながら寝るの?」
「話してると眠れないだろう。お前は黙って目を瞑れ」
「じゃあ真さんが、子守唄歌ってくれるの?」
「それもまた別の意味で眠れん。いいから黙って目を閉じろ」
「はい」
真菜は目を閉じて耳を澄ませる。
微かにカチャッという扉を開ける音や、コトッと何かを置く音がする。
やがて、コポコポという音が聞こえてきて、真菜は思わずふふっと笑う。
「真さん、コーヒー淹れてる」
「おっ、すまん。聞こえたか?」
「もっと聞きたい」
真菜は、目を閉じたまま思い出す。
ソファに二人並んで座り、コーヒーを飲みながら他愛もない話をした日々を。
「楽しかったなあ…」
呟くように言うと、真菜は微笑んだままスーッと眠りに落ちていった。
「…真菜?」
小さく呼びかけると、返事はない。
真はふっと笑みをもらして呟いた。
「お休み、真菜」
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