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同窓会
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「伊吹くん、お帰りなさい」
「ただいま。色々ありがとうな、久住」
「ううん、全然」
「さ、とにかく入って」
5月7日。
ようやく終わったゴールデンウィークの次の日に、心は昴のマンションを訪れた。
「昨日帰って来たばかりなんでしょう?時差ボケは大丈夫?」
「ああ、慣れてるから平気。久住こそ、せっかくの休みの日に悪いな」
そう言って昴は、心に紙袋を渡す。
「はい、これ。お土産」
「え、わー!いいの?」
「もちろん。開けてみて」
「ありがとう!なんだろう…」
心はワクワクして包みを開ける。
「マグカップだ!かわいい!」
日本では見かけない、なんとも洒落たイラストのマグカップを、目の高さに上げてじっくり見てみる。
「持ち手もクルンってなっててオシャレだね。色も綺麗だし。いいの?いただいちゃって」
「ああ。色々してもらったのに、高価のものじゃなくて申し訳ないけど」
「ううん!そんなことない。凄く素敵なマグカップ。使うのが楽しみ!」
心の笑顔に、昴も頬を緩める。
「あと、こっちはお菓子なんだ。チョコレートにクッキー。これはジャムの詰め合わせ。で、こっちは…」
「ええー、こんなにたくさん?!」
「そんなにたくさんでもないよ」
「たくさんだよ!それに、どれもこれも美味しそうだし…。ん?」
ふと真顔に戻った心に、どうかした?と昴が声をかける。
心は、テーブルの上のお土産に顔を寄せた。
「うわー、なんだか外国の香りがする!」
そう言って目をつぶり、大きく息を吸い込む。
「はあー、不思議な気分。ねえ、伊吹くん」
「ん?」
昴が顔を上げると、いきなり心はテーブルに身を乗り出して昴の耳元に顔を近づけた。
(く、久住…何を?)
固まっている昴の耳元で心が囁く。
「伊吹くん、サンフランシスコの香りがする」
すうーっと小さく深呼吸してから心は首をかしげ、昴の正面でにこっと笑った。
「ちょ、ちょ、チョコ食べる?」
とっさに変なことを口走る昴に、うん!と心は頷く。
「開けていい?わー!色んな種類がある!これは?キャラメルトリュフかな…」
箱の裏とチョコを真剣に見比べる心から視線を逸らし、昴は真っ赤な顔で、はあー…とため息をついた。
*****
「えーっと、これが名簿ね。受付で会費をもらったら○をつけるの。あと、遅れて来る予定の人は、この星マークの人」
紅茶とお菓子でひと息ついてから、心は昴に説明する。
同窓会に向けての準備は、ほぼ整っていた。
「受付は、慎也くんと愛理がしてくれるって。18時半には来てもらうことになってる。それとね、慎也くんがビンゴを用意してくれたの。景品をみんなから募ってみたら、凄い物が色々集まったのよ。この間、慎也くんに写真送ってもらったんだ。ほら、見て!」
心はスマートフォンの写真を昴に見せる。
「これはね、フットマッサージ。それから加湿器に、ワイヤレスイヤホン。どれも新品なんだよ!」
「ええー?!凄いな」
「でしょ?みんな、自分では使わないから寄付するって言ってくれたの。他にもまだあるよ。それでね、私も職場のペアチケットがあるから、持って行くね」
「ペアチケット?久住の職場の?」
「うん、そう。入場券」
(え、久住の職場って、なんだ?)
以前、何気なく仕事について聞いた時、言いづらそうにしていたのを思い出す。
(話したくない事情があるんだろうと思って、それ以来聞いてないけど。なんだろう?入場券って、どんな職場だ?)
首をかしげる昴をよそに、心は話を続ける。
「この景品は、みんな当日持って来てくれるから受付で預かるね。それからこれが二次会のお店。慎也くんが手配してくれたの。一応今のところ、8割くらいの人が参加予定。でも人数は、増えても減っても大丈夫だって。あ、レストランの方は、一応前日に片桐さんに連絡入れるね。あと、何かあるかなー。大丈夫そう?」
ようやく顔を上げた心に、昴は改めて礼を言う。
「久住、何から何まで本当にありがとう。俺、肝心な時にいなくなって…。久住はゴールデンウィークも仕事だったんだろ?ごめんな、忙しいのに。身体壊さなかったか?」
「そんなの、全然平気だよ!大げさだなあ。あ、そうだ。伊吹くん」
「ん?何?」
心は少し照れたようにうつむく。
「あの、ありがとうね。夕陽」
「え?…あ!ああ。いや、そんな」
「凄くね、心が温かくなった。ありがとう」
「いや、別に。俺じゃなくて夕陽のおかげだし。それに、夕陽も俺のじゃなくて、みんなのものだし…」
ブツブツ呟いていると、急に心が笑い始めた。
「あはは!伊吹くんたら、変なの。俺の夕陽じゃなくてみんなのもの、だって。頭いい人でも、変なこと言うんだね」
ふふふ、と笑い続ける心に、昴は何も言えずに見とれていた。
*****
そしていよいよ同窓会当日。
佐伯のおかげで心は1日オフをもらい、家事をしてからゆっくり準備に取りかかる。
メイクを済ませ、髪をハーフアップにすると、濃紺のミモレ丈のワンピースに着替えた。
胸元に煌めくビジュー、袖はふんわりとした透け感のある素材で、スカートも軽く、少し揺らすと綺麗に広がる。
クローゼットの中で、同窓会に着て行けそうなものはこれしかなく、おかげで迷うこともなかった。
18時半に例のホテルのロビーで、昴や愛理、慎也と落ち合う。
「おおー!心のワンピース姿、めちゃくちゃ久しぶりに見た!」
開口一番そう言う愛理に、心は真面目に答える。
「年に2回のスカートデーで、今日がその2回目なの。だから今年はこれで終了」
「は?何言ってんの?」
キョトンとする愛理を、今度は心がまじまじと見つめる。
ワインレッドのタイトなワンピースは、スタイルの良い愛理にとても良く似合っていた。
「愛理、本当に綺麗だねー。髪型もゴージャスだし、メイクも上手」
「心だって、すっごくかわいいよ。普段のあのジーパンすっぴんの心とは別人だよ」
「え、それって褒められてるの?」
「もちろん!」
「そっか。ありがと」
二人で微笑み、心は昴と慎也を振り返った。
「伊吹くんと慎也くんも、オシャレだね!かっこいい」
昴はロイヤルブルーのノーカラージャケット、慎也は黒のスーツにパープルのネクタイを合わせている。
「サンキュー、心。じゃあ行こうか」
4人はエスカレーターで2階に上がる。
「久住、そのワンピース凄く似合ってる」
隣に立つ昴が、心に声をかけた。
「ほんと?ありがとう。伊吹くんも、今日は一段とかっこいいよ」
「そうかな?久住も、年に2回とか言わずに、またワンピース着て来なよ」
「えー、だってそんな必要ないもん。ジーパンの方が楽だし」
「そっか。ラフな格好の久住もいいもんな」
「ふふ、ありがと」
そんな二人の会話を、エスカレーターの一段上に立つ愛理と慎也は、固まって聞いていた。
「ちょ、ちょっと聞いた?なにあの会話。この二人こんなこと話すの?」
愛理が肘で慎也を突き、小声で話しかける。
「ああ。聞いてるこっちが恥ずかしくなるな」
「ほんとよー。赤面しちゃう」
「いやー、二人ともお堅い話しかしないのかと思ってたのに、つき合い初めの中学生みたいじゃないか」
「うんうん」
その時、二人ともどこ行くの?と、後ろから心の声がした。
「レストラン、こっちだよ」
エスカレーターを降りて、ヒソヒソ話しながら真っ直ぐ歩いていた愛理と慎也は、慌てて戻る。
「ごめんごめん」
そして、肩を並べて楽しそうに話す昴と心を、後ろからじっと見つめてついて行った。
*****
「わあー、こころーん、愛理、久しぶり!」
時間になり、懐かしい顔ぶれが次々と現れる。
皆、口々に
「心も昴も、幹事ありがとう!」
と二人をねぎらってくれた。
受付は愛理達に任せ、昴と心は、会場内をパタパタと行き来する。
座席や荷物置き場を聞かれたり、片桐達スタッフから、料理やドリンクの説明を受けたり…。
さらに、ビンゴの景品を持って来てくれる人達からこっそり預かったりと、やることは多く、昴と心は何度も互いに呼び止めては確認していた。
担任だった河合先生も到着し、いよいよ同窓会は、先生の乾杯の音頭で幕を開けた。
まずは皆、食事を楽しむ。
「お料理たくさんあるねー」
「このフルーツジュース、すっごく美味しい!」
そんな女の子達の言葉に、心は嬉しくなった。
しばらくはそれぞれ、食事と歓談の時間が続く。
遅れてくる人達を入り口近くの受付で待っている愛理に、慎也が料理を盛り付けたプレートを持って行く。
「はいよ。食べな」
「ありがとう。おっ、私の好み分かってるねー」
「まあね。一応俺達つき合ってた訳だし。あの時は毎日一緒にいたよなー」
「ほんと。暇だったのかしら?」
おい、と慎也が突っ込み、愛理は笑う。
「ね、それよりさ、ここからみんなを見てるとおもしろいよー」
受付に並んで座り、料理を食べながら愛理が慎也に小声で話す。
「あそこに真紀達3人組がいるでしょ?あの子達さっきから、ヒソヒソ話してはチラッと昴を見るの」
「ほんとだ。高校の時のまんまだな」
「そう。3人とも、ああやっていつも遠くから昴を見てたよねー」
「今も好きなのかな?」
「どうだろうね?久しぶりに会って、また好きになったのかもしれないし。それと、ほら。あっちの壁際にいる光太郎、じーっと心のこと見てるよ」
「おおー、これまた懐かしい!あ、それならあそこの健一もじゃないか?」
「そうなの。でね、1番気にしてるのは瑞希。あ、ほら、今も心のこと目で追ってる。あれはもしかして、今日アクション起こすかもよー?」
「ええー、マジか!気になるわ」
すると、心がこちらに近づいて来た。
「愛理、慎也くん、ごめんね。ちゃんと食べてる?」
「食べてる食べてるー!どうぞお気遣いなく」
「そう?あと1人だよね、遅れて来る人。全員揃ったら二人もこっちに来てね」
「はいはーい!」
二人は笑顔で心に手を振ると、また恋の行方を見守った。
開始から30分後に全員揃い、まずは河合先生がスピーチする。
久しぶりに皆に会えて嬉しい、誘ってくれてありがとう!と最初こそ良かったが、あの頃のお前達は…と、数々の手こずったエピソードを語られる。
そのうちに男子が、先生、結婚まだですかー?と聞き、先生はガックリと肩を落とした。
当時20代だった先生も、今は30後半。
今もまだ独身らしく、ここにいる女子が数人結婚していることを知ると、ええー?!と驚いていた。
程よく場が盛り上がってきたところで、慎也がマイクを握ってビンゴ大会を始める。
皆は、キャーキャー言いながら真剣に数字を見つめ、当たった人は景品を受け取って嬉しそうだった。
「はい!じゃあ次の景品はこれ。心の職場、マリーンワールドのペアチケットでーす!」
わあ!と歓声が上がり、当たった香代は、ありがとう、彼氏と行くね!と心にチケットを掲げてみせた。
笑顔で頷く心を、隣の昴が見つめる。
(マリーンワールドで働いてるのか。じゃあ、話しにくそうにしてたのはなぜなんだろう?)
見当がつかずに首をひねる。
やがて全ての景品がなくなりビンゴは終了、動画の上映まではデザートタイムとなった。
皆はまた、ビュッフェカウンターで賑やかにデザートを選び、おしゃべりを楽しむ。
オープンテラスからの夜景も綺麗で、女の子達は次々と写真を撮っていた。
昴は、二次会のお店の地図を手に、テラスの入り口にいる心のもとへ行く。
「久住、このあとの移動なんだけど…」
そう言って顔を上げた時、心に話しかける声が聞こえてきた。
「心って、今つき合ってる人いるの?」
思わず昴は、近くの観葉植物のうしろに身を潜める。
そっと覗いてみると、瑞希が心に話しかけていた。
「ううん、いないけど」
「そっか。それなら、その…。俺とつき合ってくれないか?」
「え?」
思わぬ話の展開に、昴は悪いとは思いつつ気になって仕方なく、固唾を呑んで聞き耳を立てる。
「実は俺、心のこと高校の時ずっと好きだったんだ。でも告白する勇気がなくてさ、卒業してから後悔した。だから今日こそは告白しようって思ってたんだ。俺と、つき合って欲しい」
ゴクッと昴は唾を飲み込む。
すると、いつもと変わらない口調の心の言葉が聞こえてきた。
「瑞希くん。私ね、真っ白なワンピースは着ないし麦わら帽子もかぶらないの。だから、私とはつき合わない方がいいと思う」
は?と、瑞希と同時に昴も呟く。
心は、じゃあねと言ってその場を去り、瑞希と同じように昴も呆然と立ち尽くした。
*****
(なんなんだ?あのバッサリした断り方。しかも言ってることが分からん。また宇宙人の降臨か?一刀両断な宇宙人。あんなやられ方して、瑞希…、大丈夫かな?)
先程見たシーンが頭から離れず、昴はコーヒーを飲みながら考え込んでいた。
「伊吹くん、デザート食べた?」
急に心が目の前の席に座り、昴は慌てふためく。
「た、た、食べた、と思う」
「何言ってんの。コーヒーしか飲んでないじゃない。はい、どうぞ」
そう言って心は昴の前に、ティラミスやアイスクリームを載せたプレートを置く。
「あ、ありがとう」
昴はうつむいたまま、小さく食べ始めた。
「んー、9時になったら動画上映してお開きにしようか。少し早めだけど、みんなすぐには動きそうにないもんね」
「ああ、そうだな」
「じゃあ、そろそろパソコンの準備お願いね」
「うん、分かった」
ようやく落ち着きを取り戻し、昴は頷いた。
時間になり、大きなスクリーンに昴が編集した動画を流す。
照明を落とした会場内に、音楽と共に次々と映し出される写真。
皆は、
「懐かしい!」
「わー、先生若いね!」
「あはは!見てあの慎也のはしゃいだ顔」
など、楽しそうに鑑賞する。
文化祭や体育祭、そして卒業式…
まさに泣き笑いの表情で皆は動画を見つめていた。
やがてゆっくりと画面が白くなり、終わりを告げると、一斉に拍手が起こる。
「とっても良かったー、感動的!」
「ありがとうね、昴」
「この動画、送ってくれない?保存したいの」
昴は笑顔で頷いた。
「分かった。あとでグループメッセージに送っておくよ」
同窓会は大いに盛り上がり、皆は満足そうに、そして名残惜しそうに会場をあとにした。
*****
「いえーい!今日は朝まで盛り上がるぜー!」
カラオケに場所を移し、慎也が早速マイクを握って歌い出す。
心は、同窓会を無事に終えてほっとしながら、慎也の歌を手拍子で盛り上げていた。
「久住、時間大丈夫か?明日も仕事じゃないのか?」
隣から昴が、耳元で大きく話しかけてくる。
「うん、明日は遅番だから大丈夫。終電で帰るね」
「分かった。じゃあその時に俺も一緒に出るよ」
二人で、二次会の参加費を計算しながら皆からお金を受け取っているうちに、終電の時間が迫ってきた。
心は愛理にお金を預け、皆に挨拶すると、昴と一緒にお店を出た。
「はー、終わったねー」
幹事の役目から解放され、心は大きく両腕を伸ばして深呼吸する。
「お疲れ様。本当に色々ありがとうな、久住」
「伊吹くんこそ、ありがとう。動画、みんな喜んでくれてたね」
「ああ、良かったよ。って、おい、大丈夫か?」
今頃酔いが回ってきたらしい、心の足がおぼつかなくなる。
「んー、ほっとしたら急に眠くなってきた」
眠気と酔いでふらふらしながら、なんとか駅に辿り着く。
「あれ?久住、家どこだっけ?終電って何分?」
電光掲示板を見上げて、昴が声をかける。
「うんとね、0時5分」
「ん?そんな時間の電車ないぞ?」
「えー?そんなはずないよ。アプリで検索したもん」
「…久住、それって、ちゃんと土曜日のダイヤか?」
「え、土曜日?…じゃなかったかも!」
「やっぱり。それ、平日ダイヤだ。今日の終電はもう終わってる」
「ええー?!どうしよう」
心が両手で頬を押さえていると、昴が踵を返して短く言う。
「タクシー使おう」
「タクシー?!そんな、ここから家まで?え、どんな金額になっちゃう?」
「いいから。ほら、おいで」
昴はふらつく心を支えながら、停まっていたタクシーに乗り込む。
「えーっと、久住、うちどこだ?」
「はい!グランオーシャンレジデンスでございます」
「は?それ俺のうちだろ。そうじゃなくて、久住のマンション。住所は?」
「港区にある、おっきなタワーマンションです。駅から徒歩3分、迷うこともありません」
すると運転手が、あー、あそこねと話しかけてくる。
「グランオーシャンなら良く知ってるよ。じゃ、出発するよー」
「ちょちょ、ちょっと待ってください!」
慌てて昴が運転手を止める。
「久住、お前のうちは?どこだ?っておい、久住!起きろ!」
解放感と疲れ、そして酔いと眠気に襲われた心は、どんなに揺すっても起きる気配がない。
はあ、とため息をつき、昴は運転手に、やっぱりそこに向かってくださいと告げた。
「ただいま。色々ありがとうな、久住」
「ううん、全然」
「さ、とにかく入って」
5月7日。
ようやく終わったゴールデンウィークの次の日に、心は昴のマンションを訪れた。
「昨日帰って来たばかりなんでしょう?時差ボケは大丈夫?」
「ああ、慣れてるから平気。久住こそ、せっかくの休みの日に悪いな」
そう言って昴は、心に紙袋を渡す。
「はい、これ。お土産」
「え、わー!いいの?」
「もちろん。開けてみて」
「ありがとう!なんだろう…」
心はワクワクして包みを開ける。
「マグカップだ!かわいい!」
日本では見かけない、なんとも洒落たイラストのマグカップを、目の高さに上げてじっくり見てみる。
「持ち手もクルンってなっててオシャレだね。色も綺麗だし。いいの?いただいちゃって」
「ああ。色々してもらったのに、高価のものじゃなくて申し訳ないけど」
「ううん!そんなことない。凄く素敵なマグカップ。使うのが楽しみ!」
心の笑顔に、昴も頬を緩める。
「あと、こっちはお菓子なんだ。チョコレートにクッキー。これはジャムの詰め合わせ。で、こっちは…」
「ええー、こんなにたくさん?!」
「そんなにたくさんでもないよ」
「たくさんだよ!それに、どれもこれも美味しそうだし…。ん?」
ふと真顔に戻った心に、どうかした?と昴が声をかける。
心は、テーブルの上のお土産に顔を寄せた。
「うわー、なんだか外国の香りがする!」
そう言って目をつぶり、大きく息を吸い込む。
「はあー、不思議な気分。ねえ、伊吹くん」
「ん?」
昴が顔を上げると、いきなり心はテーブルに身を乗り出して昴の耳元に顔を近づけた。
(く、久住…何を?)
固まっている昴の耳元で心が囁く。
「伊吹くん、サンフランシスコの香りがする」
すうーっと小さく深呼吸してから心は首をかしげ、昴の正面でにこっと笑った。
「ちょ、ちょ、チョコ食べる?」
とっさに変なことを口走る昴に、うん!と心は頷く。
「開けていい?わー!色んな種類がある!これは?キャラメルトリュフかな…」
箱の裏とチョコを真剣に見比べる心から視線を逸らし、昴は真っ赤な顔で、はあー…とため息をついた。
*****
「えーっと、これが名簿ね。受付で会費をもらったら○をつけるの。あと、遅れて来る予定の人は、この星マークの人」
紅茶とお菓子でひと息ついてから、心は昴に説明する。
同窓会に向けての準備は、ほぼ整っていた。
「受付は、慎也くんと愛理がしてくれるって。18時半には来てもらうことになってる。それとね、慎也くんがビンゴを用意してくれたの。景品をみんなから募ってみたら、凄い物が色々集まったのよ。この間、慎也くんに写真送ってもらったんだ。ほら、見て!」
心はスマートフォンの写真を昴に見せる。
「これはね、フットマッサージ。それから加湿器に、ワイヤレスイヤホン。どれも新品なんだよ!」
「ええー?!凄いな」
「でしょ?みんな、自分では使わないから寄付するって言ってくれたの。他にもまだあるよ。それでね、私も職場のペアチケットがあるから、持って行くね」
「ペアチケット?久住の職場の?」
「うん、そう。入場券」
(え、久住の職場って、なんだ?)
以前、何気なく仕事について聞いた時、言いづらそうにしていたのを思い出す。
(話したくない事情があるんだろうと思って、それ以来聞いてないけど。なんだろう?入場券って、どんな職場だ?)
首をかしげる昴をよそに、心は話を続ける。
「この景品は、みんな当日持って来てくれるから受付で預かるね。それからこれが二次会のお店。慎也くんが手配してくれたの。一応今のところ、8割くらいの人が参加予定。でも人数は、増えても減っても大丈夫だって。あ、レストランの方は、一応前日に片桐さんに連絡入れるね。あと、何かあるかなー。大丈夫そう?」
ようやく顔を上げた心に、昴は改めて礼を言う。
「久住、何から何まで本当にありがとう。俺、肝心な時にいなくなって…。久住はゴールデンウィークも仕事だったんだろ?ごめんな、忙しいのに。身体壊さなかったか?」
「そんなの、全然平気だよ!大げさだなあ。あ、そうだ。伊吹くん」
「ん?何?」
心は少し照れたようにうつむく。
「あの、ありがとうね。夕陽」
「え?…あ!ああ。いや、そんな」
「凄くね、心が温かくなった。ありがとう」
「いや、別に。俺じゃなくて夕陽のおかげだし。それに、夕陽も俺のじゃなくて、みんなのものだし…」
ブツブツ呟いていると、急に心が笑い始めた。
「あはは!伊吹くんたら、変なの。俺の夕陽じゃなくてみんなのもの、だって。頭いい人でも、変なこと言うんだね」
ふふふ、と笑い続ける心に、昴は何も言えずに見とれていた。
*****
そしていよいよ同窓会当日。
佐伯のおかげで心は1日オフをもらい、家事をしてからゆっくり準備に取りかかる。
メイクを済ませ、髪をハーフアップにすると、濃紺のミモレ丈のワンピースに着替えた。
胸元に煌めくビジュー、袖はふんわりとした透け感のある素材で、スカートも軽く、少し揺らすと綺麗に広がる。
クローゼットの中で、同窓会に着て行けそうなものはこれしかなく、おかげで迷うこともなかった。
18時半に例のホテルのロビーで、昴や愛理、慎也と落ち合う。
「おおー!心のワンピース姿、めちゃくちゃ久しぶりに見た!」
開口一番そう言う愛理に、心は真面目に答える。
「年に2回のスカートデーで、今日がその2回目なの。だから今年はこれで終了」
「は?何言ってんの?」
キョトンとする愛理を、今度は心がまじまじと見つめる。
ワインレッドのタイトなワンピースは、スタイルの良い愛理にとても良く似合っていた。
「愛理、本当に綺麗だねー。髪型もゴージャスだし、メイクも上手」
「心だって、すっごくかわいいよ。普段のあのジーパンすっぴんの心とは別人だよ」
「え、それって褒められてるの?」
「もちろん!」
「そっか。ありがと」
二人で微笑み、心は昴と慎也を振り返った。
「伊吹くんと慎也くんも、オシャレだね!かっこいい」
昴はロイヤルブルーのノーカラージャケット、慎也は黒のスーツにパープルのネクタイを合わせている。
「サンキュー、心。じゃあ行こうか」
4人はエスカレーターで2階に上がる。
「久住、そのワンピース凄く似合ってる」
隣に立つ昴が、心に声をかけた。
「ほんと?ありがとう。伊吹くんも、今日は一段とかっこいいよ」
「そうかな?久住も、年に2回とか言わずに、またワンピース着て来なよ」
「えー、だってそんな必要ないもん。ジーパンの方が楽だし」
「そっか。ラフな格好の久住もいいもんな」
「ふふ、ありがと」
そんな二人の会話を、エスカレーターの一段上に立つ愛理と慎也は、固まって聞いていた。
「ちょ、ちょっと聞いた?なにあの会話。この二人こんなこと話すの?」
愛理が肘で慎也を突き、小声で話しかける。
「ああ。聞いてるこっちが恥ずかしくなるな」
「ほんとよー。赤面しちゃう」
「いやー、二人ともお堅い話しかしないのかと思ってたのに、つき合い初めの中学生みたいじゃないか」
「うんうん」
その時、二人ともどこ行くの?と、後ろから心の声がした。
「レストラン、こっちだよ」
エスカレーターを降りて、ヒソヒソ話しながら真っ直ぐ歩いていた愛理と慎也は、慌てて戻る。
「ごめんごめん」
そして、肩を並べて楽しそうに話す昴と心を、後ろからじっと見つめてついて行った。
*****
「わあー、こころーん、愛理、久しぶり!」
時間になり、懐かしい顔ぶれが次々と現れる。
皆、口々に
「心も昴も、幹事ありがとう!」
と二人をねぎらってくれた。
受付は愛理達に任せ、昴と心は、会場内をパタパタと行き来する。
座席や荷物置き場を聞かれたり、片桐達スタッフから、料理やドリンクの説明を受けたり…。
さらに、ビンゴの景品を持って来てくれる人達からこっそり預かったりと、やることは多く、昴と心は何度も互いに呼び止めては確認していた。
担任だった河合先生も到着し、いよいよ同窓会は、先生の乾杯の音頭で幕を開けた。
まずは皆、食事を楽しむ。
「お料理たくさんあるねー」
「このフルーツジュース、すっごく美味しい!」
そんな女の子達の言葉に、心は嬉しくなった。
しばらくはそれぞれ、食事と歓談の時間が続く。
遅れてくる人達を入り口近くの受付で待っている愛理に、慎也が料理を盛り付けたプレートを持って行く。
「はいよ。食べな」
「ありがとう。おっ、私の好み分かってるねー」
「まあね。一応俺達つき合ってた訳だし。あの時は毎日一緒にいたよなー」
「ほんと。暇だったのかしら?」
おい、と慎也が突っ込み、愛理は笑う。
「ね、それよりさ、ここからみんなを見てるとおもしろいよー」
受付に並んで座り、料理を食べながら愛理が慎也に小声で話す。
「あそこに真紀達3人組がいるでしょ?あの子達さっきから、ヒソヒソ話してはチラッと昴を見るの」
「ほんとだ。高校の時のまんまだな」
「そう。3人とも、ああやっていつも遠くから昴を見てたよねー」
「今も好きなのかな?」
「どうだろうね?久しぶりに会って、また好きになったのかもしれないし。それと、ほら。あっちの壁際にいる光太郎、じーっと心のこと見てるよ」
「おおー、これまた懐かしい!あ、それならあそこの健一もじゃないか?」
「そうなの。でね、1番気にしてるのは瑞希。あ、ほら、今も心のこと目で追ってる。あれはもしかして、今日アクション起こすかもよー?」
「ええー、マジか!気になるわ」
すると、心がこちらに近づいて来た。
「愛理、慎也くん、ごめんね。ちゃんと食べてる?」
「食べてる食べてるー!どうぞお気遣いなく」
「そう?あと1人だよね、遅れて来る人。全員揃ったら二人もこっちに来てね」
「はいはーい!」
二人は笑顔で心に手を振ると、また恋の行方を見守った。
開始から30分後に全員揃い、まずは河合先生がスピーチする。
久しぶりに皆に会えて嬉しい、誘ってくれてありがとう!と最初こそ良かったが、あの頃のお前達は…と、数々の手こずったエピソードを語られる。
そのうちに男子が、先生、結婚まだですかー?と聞き、先生はガックリと肩を落とした。
当時20代だった先生も、今は30後半。
今もまだ独身らしく、ここにいる女子が数人結婚していることを知ると、ええー?!と驚いていた。
程よく場が盛り上がってきたところで、慎也がマイクを握ってビンゴ大会を始める。
皆は、キャーキャー言いながら真剣に数字を見つめ、当たった人は景品を受け取って嬉しそうだった。
「はい!じゃあ次の景品はこれ。心の職場、マリーンワールドのペアチケットでーす!」
わあ!と歓声が上がり、当たった香代は、ありがとう、彼氏と行くね!と心にチケットを掲げてみせた。
笑顔で頷く心を、隣の昴が見つめる。
(マリーンワールドで働いてるのか。じゃあ、話しにくそうにしてたのはなぜなんだろう?)
見当がつかずに首をひねる。
やがて全ての景品がなくなりビンゴは終了、動画の上映まではデザートタイムとなった。
皆はまた、ビュッフェカウンターで賑やかにデザートを選び、おしゃべりを楽しむ。
オープンテラスからの夜景も綺麗で、女の子達は次々と写真を撮っていた。
昴は、二次会のお店の地図を手に、テラスの入り口にいる心のもとへ行く。
「久住、このあとの移動なんだけど…」
そう言って顔を上げた時、心に話しかける声が聞こえてきた。
「心って、今つき合ってる人いるの?」
思わず昴は、近くの観葉植物のうしろに身を潜める。
そっと覗いてみると、瑞希が心に話しかけていた。
「ううん、いないけど」
「そっか。それなら、その…。俺とつき合ってくれないか?」
「え?」
思わぬ話の展開に、昴は悪いとは思いつつ気になって仕方なく、固唾を呑んで聞き耳を立てる。
「実は俺、心のこと高校の時ずっと好きだったんだ。でも告白する勇気がなくてさ、卒業してから後悔した。だから今日こそは告白しようって思ってたんだ。俺と、つき合って欲しい」
ゴクッと昴は唾を飲み込む。
すると、いつもと変わらない口調の心の言葉が聞こえてきた。
「瑞希くん。私ね、真っ白なワンピースは着ないし麦わら帽子もかぶらないの。だから、私とはつき合わない方がいいと思う」
は?と、瑞希と同時に昴も呟く。
心は、じゃあねと言ってその場を去り、瑞希と同じように昴も呆然と立ち尽くした。
*****
(なんなんだ?あのバッサリした断り方。しかも言ってることが分からん。また宇宙人の降臨か?一刀両断な宇宙人。あんなやられ方して、瑞希…、大丈夫かな?)
先程見たシーンが頭から離れず、昴はコーヒーを飲みながら考え込んでいた。
「伊吹くん、デザート食べた?」
急に心が目の前の席に座り、昴は慌てふためく。
「た、た、食べた、と思う」
「何言ってんの。コーヒーしか飲んでないじゃない。はい、どうぞ」
そう言って心は昴の前に、ティラミスやアイスクリームを載せたプレートを置く。
「あ、ありがとう」
昴はうつむいたまま、小さく食べ始めた。
「んー、9時になったら動画上映してお開きにしようか。少し早めだけど、みんなすぐには動きそうにないもんね」
「ああ、そうだな」
「じゃあ、そろそろパソコンの準備お願いね」
「うん、分かった」
ようやく落ち着きを取り戻し、昴は頷いた。
時間になり、大きなスクリーンに昴が編集した動画を流す。
照明を落とした会場内に、音楽と共に次々と映し出される写真。
皆は、
「懐かしい!」
「わー、先生若いね!」
「あはは!見てあの慎也のはしゃいだ顔」
など、楽しそうに鑑賞する。
文化祭や体育祭、そして卒業式…
まさに泣き笑いの表情で皆は動画を見つめていた。
やがてゆっくりと画面が白くなり、終わりを告げると、一斉に拍手が起こる。
「とっても良かったー、感動的!」
「ありがとうね、昴」
「この動画、送ってくれない?保存したいの」
昴は笑顔で頷いた。
「分かった。あとでグループメッセージに送っておくよ」
同窓会は大いに盛り上がり、皆は満足そうに、そして名残惜しそうに会場をあとにした。
*****
「いえーい!今日は朝まで盛り上がるぜー!」
カラオケに場所を移し、慎也が早速マイクを握って歌い出す。
心は、同窓会を無事に終えてほっとしながら、慎也の歌を手拍子で盛り上げていた。
「久住、時間大丈夫か?明日も仕事じゃないのか?」
隣から昴が、耳元で大きく話しかけてくる。
「うん、明日は遅番だから大丈夫。終電で帰るね」
「分かった。じゃあその時に俺も一緒に出るよ」
二人で、二次会の参加費を計算しながら皆からお金を受け取っているうちに、終電の時間が迫ってきた。
心は愛理にお金を預け、皆に挨拶すると、昴と一緒にお店を出た。
「はー、終わったねー」
幹事の役目から解放され、心は大きく両腕を伸ばして深呼吸する。
「お疲れ様。本当に色々ありがとうな、久住」
「伊吹くんこそ、ありがとう。動画、みんな喜んでくれてたね」
「ああ、良かったよ。って、おい、大丈夫か?」
今頃酔いが回ってきたらしい、心の足がおぼつかなくなる。
「んー、ほっとしたら急に眠くなってきた」
眠気と酔いでふらふらしながら、なんとか駅に辿り着く。
「あれ?久住、家どこだっけ?終電って何分?」
電光掲示板を見上げて、昴が声をかける。
「うんとね、0時5分」
「ん?そんな時間の電車ないぞ?」
「えー?そんなはずないよ。アプリで検索したもん」
「…久住、それって、ちゃんと土曜日のダイヤか?」
「え、土曜日?…じゃなかったかも!」
「やっぱり。それ、平日ダイヤだ。今日の終電はもう終わってる」
「ええー?!どうしよう」
心が両手で頬を押さえていると、昴が踵を返して短く言う。
「タクシー使おう」
「タクシー?!そんな、ここから家まで?え、どんな金額になっちゃう?」
「いいから。ほら、おいで」
昴はふらつく心を支えながら、停まっていたタクシーに乗り込む。
「えーっと、久住、うちどこだ?」
「はい!グランオーシャンレジデンスでございます」
「は?それ俺のうちだろ。そうじゃなくて、久住のマンション。住所は?」
「港区にある、おっきなタワーマンションです。駅から徒歩3分、迷うこともありません」
すると運転手が、あー、あそこねと話しかけてくる。
「グランオーシャンなら良く知ってるよ。じゃ、出発するよー」
「ちょちょ、ちょっと待ってください!」
慌てて昴が運転手を止める。
「久住、お前のうちは?どこだ?っておい、久住!起きろ!」
解放感と疲れ、そして酔いと眠気に襲われた心は、どんなに揺すっても起きる気配がない。
はあ、とため息をつき、昴は運転手に、やっぱりそこに向かってくださいと告げた。
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