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第七章・スリジャの結婚

65・サシャの観察日記

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 私はサシャ。写し身様付きの御使いです。

 最近代替わりされた写し身様は、何と!13歳┉。

 子供じゃん┉って可哀想になって、私で良ければ出来る限り助けられたらって思ってる。

 そして、その後┉なんと御使い長様までが代替わりを。

 新しい御使い長様は┉リアルプリンスだった!
 
 一体、どういった経緯で!?って皆んな呆気にとられたけど、本人がヤル気を出されている以上、ただの御使いの私達には何も言えないし┉。

 でもプリンス御使い長、なかなかの切れ者だったんだ。

 役に就くなり神殿の改革に乗り出して、今まで神殿に入ったら家族に会えないキマリだったけど自由に会えるようにして下さった。↑これ、重要!!

 おまけに御使いを辞した後の補償のアップ、それに使い果たした生命力を┉返してくれるんだって!凄くなーい?

 そんな御使い長様に手紙が来たので、渡しに行ってあげよーっと。

 ──コン、コン。御使い長様!

 ──あれ?返事がない┉。

 それで、そーっと部屋に入ってみる。

 そこにはソファで眠ってしまっている御使い長様が。

 「わぁ!御使い長様って、睫毛まで白金なんだな~凄ーい!」
 そう思っていたら、何やら御使い長がうなされている┉。

 「んっ、スリジャ┉様、えぇ。」

 ──えっ?今、スリジャ様って?前の写し身様の!?何で御使い長様が┉

 そう思って顔を覗き込んでいると、気配に気付いたのだろうパッと目が見開いた。

 「えっ、あぁ?サシャ?何をして┉一体?」
 
 寝起きでしどろもどろになっている貴重な御使い長様に、ちょっとだけ笑ってしまって睨まれる。

 「ごめんなさい!御使い長様。お休みだったんですね?ノックしても返事がなかったので入ってきてしまいました┉。はい!これ、お手紙来てましたよ?」って言って渡す。

 私を疑わしそうに見たまま、その手紙を受け取った御使い長様。
 それから、そう言えば!って思って聞いてみた。

 「さっき御使い長様が寝言をおっしゃっていたのですが┉スリジャ様って。前の写し身様ですよね?お知り合い┉だったのですか?」

 それには驚いた様子で目を見開いて┉フッと息を吐く。

 「そうだよ!スリジャ様は、私の初恋相手で、元婚約者で、失恋の相手で、今は兄の結婚相手で、グラン聖国第四王子で、神殿の元写し身様だ。」

 ──は?何やら早口言葉みたいな┉。待って!元が何回か並んで┉後は、失恋の相手┉。

 スリジャ様を┉お好きだったんだ──。

 私はスリジャ様の神々しい御姿を思い浮かべた。
 私も三年ほど同時期に御使いとしてお使えしている。

 ──ズキ┉ズキン!

 突然の胸の痛み┉この意味をサシャも知らないのだった┉。
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