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第六章・幸せのカタチ

70・幸せな時間

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 これからどうする?ってなったけど、取り敢えず仕事を放っては行けない!
 本当はすぐにでも一緒に暮らしたいんだけど…
 沢井さん夫妻には凄くお世話になったし、後3ヶ月…忙しい時期を過ぎたら柚子と二人で直哉さんの元に向かう。
 そうなると柚子も通っている保育園を転園しないといけないけれど、あの子ならきっと大丈夫だろう。
 いつもお友達に囲まれて楽しそうにしている柚子を思い出して微笑んだ。
 
 柚子は不思議な魅力がある子だ。親の欲目よくめじゃないよ?
 きっと私の父に似ているんだと思う。誰もが父の側にいたいと願うほどだったと…オメガであったのに。
 だけど柚子はアルファだと思う。それこそ最強じゃないか?って思ってしまって、これは正しく親の欲目だな…って苦笑いした。
 
 そして明良さんにはプロポーズをきちんとお断わりしたんだ。
 明良さんはちょっとショックを受けたようだったけど、やっぱりそうだと思ってました…って言って、笑ってくれた。

 今のところ一番の問題は直哉さんだ!
 直哉さんは一人で暮らすのをもう耐えられないらしくって、今までどうしてたんだろう?って自問自答してて…
 だから週末だけは二人で行くことになっている。
 戻ってからの生活の準備もあるしね!
 さあ明日は金曜日、夕方から柚子を連れて行きますか!



 「ただいま!」

 「ただいまぁ~パパ!」
 
 忙しい直哉さんに負担をかけちゃいけないと、車でここまでやって来た。
 これから暫く週末は通うことになるし慣れないとね。

 「お帰りー!涼、柚子~」
 そう言って直哉さんが笑顔で迎えてくれる。
 直哉さんも今帰ったところみたいで、スーツ姿のままだ。

 「パパ~あいたかった!」
 まずは柚子が直哉さんに駆け寄りしっかりと抱きつく。

 「柚子、また背が伸びたな!同じ歳の子で一番じゃないか~?そんな柚子のためにパパはケーキを買ってきたよ!テーブルの上にあるから見ておいで!」
 そう言われて柚子は嬉しそうにダイニングルームに向かう。

 そして直哉さんは私の方に振り返って、おいで!って両手を広げる。
 私はちょっと恥ずかしくなったけど、も~っ…って困った顔をしながらもぎゅーって抱きついた。

 一週間ぶりのその体温を堪能して、もうこの腕を離さなくっていいんだ…って改めて思う。 
 直哉さんは柚子に見えないように、チュッと私にキスをした。

 ──私、幸せだ…!

 私もチラッと柚子を気にしてからキスを返して、顔を見合わせて笑った。


 そして私達は遅めの夕食を取り始めて、そう言えば!と直哉さんに伝える。

 「明日なんだけど内藤の叔父さんがね、柚子と買い物に行きたいんだって!何か買ってあげたいからって。もちろん香苗さんも一緒だから一人でも大丈夫だと思うけど。それでいい?日曜日は三人でいられるし。」

 直哉さんはちょっとだけ渋い顔をしたけど、叔父さんに対しては負い目があるからなのか、柚子が可愛いからだろうから仕方がないな…って呟いて了承する。

 「ゆずね、おじちゃんとなかよしなんだよ!このまえいっしょにねたんだから!」

 そんな柚子の言葉に「俺もまだなのに!?」って驚きで立ち上がった。
 それに私と柚子は、ねーっ!って顔を近づけながら微笑んだ。


 
 「それじゃ叔父さん香苗さん、柚子をよろしくお願いしますね!柚子~ちゃんと叔父さん達の言う事聞くんだよ?」

 「柚子、危ない事するなよ?叔父さん達とはぐれないようにな!」

 そんな私達の心配をよそに柚子は元気に、行ってきま~す!と出掛けて行った。

 私と直哉さんは叔父さんの車に乗って行く柚子に手を振りながら見送って一息ついた。
 そして部屋に戻ろうとした時、後ろに立っていた人物を見て凍り付いた。

 そこには裕貴さんが立っていたんだ。
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