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第一章・思ってもみない結婚
14・疑惑
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「涼さんは綺麗だしスタイルも良いから何を着ても素敵です。」
そんな事を言われてしまったら、自分の都合がいいように誤解しちゃうからヤメて欲しい…
結婚が決まるとあっという間に全てが進んでしまう。
今、私と直哉さんは結婚披露宴で着る衣裳をオーダーに来ている。
私はレンタル衣裳で充分では?と言ったけど…却下された。
──一度着たらもう着ないよね?
お父様の伏木さんが本当に喜んでくださって、本人達よりも張り切っている。
そして衣裳も最高の物をとなり、国内ウェディングシェアNo.1のKANAI WEDDINGでお願いすることに。
こちらの息子さんは直哉さんの幼馴染みで経営にも携わっているという縁もあるらしい。
なんか直哉さんの友達や知り合いなんて、そんな方ばっかりなんだろうか?お付き合いする自信はない…
「涼さんは白が似合うし、こっちもいいんじゃないか?」
そう言って直哉は自分が試着していた白いジャケットを脱ぎ、私の肩に掛ける。
「やっぱり似合う。涼さん白にするといいよ!」と何故だか嬉しそうに微笑んだ。
そのジャケットからは残り香が…
柑橘系の爽やかな香りで、ちょっとだけスパイシーな香りも混じる…そんな特有な直哉さんのアルファフェロモン。
──凄くいい匂いだ…
この匂いに包まれていると凄く落ち着いて、いつまでも嗅いでいたいと思ってしまう。
「では内藤様。あちらのデザインでお色は白になさったらいかがでしょう?」とKANAIのデザイナーが提案する。
「そうですね。デザインはやはりあちらの方が良いかと。それでお願いします。」
やはりシェアナンバーワンだな!凄く素敵なデザインばかりで迷ってしまう。
それにしてもこんな高価なものいいの?って思うけど…
ではこちらで生地を見ていただいて…と言われ、二人でソファに座り選んでいると…
「直哉、来てたんだね!」
その弾んだ声に顔を上げると…ドキッとした。そこには笑顔が眩しくて美麗な男性が立っていた。
わっ、何て綺麗な人だろう…オメガ?私と同じオメガだよね…?
その人は直哉の隣に座り、親しげに話し掛けてくる。
「直哉、うちで衣裳作るんだね。誰よりも素敵になるから任せて!」と笑う。
そう言うその人に「お前、商売上手だな?」って親しげに笑い合っていた。
この人、もしかして幼馴染みの?ここの息子さんって、オメガなんだ…
「裕貴、こちらが俺と結婚する内藤涼さんだ。よろしく頼むな」
じっと二人を見つめている私に気付いて、直哉さんは私をそう紹介してくれる。
「初めまして。叶井裕貴です。直哉とはずっと同級生で…子供の頃からいつも一緒だったんですよ!」と叶井さんは一際美しく微笑んだ。
──チクン…何故か胸が痛んだ。
凄く綺麗な人だからだろうか…
「こちらこそ初めまして。よろしくお願いします」と言うのがやっとだった。
それから仲良く笑い合って話す二人を気にしてしまって、生地を確認するどころではないのだが、見ている振りをしてやり過ごす。
結局時間がなくなってしまい、生地選びは次回で…となり店を後にする。
「すいません。裕貴と話し込んでしまって…。時間なくなっちゃいましたね?また今度決めましょう。それか生地のサンプル借りていきましょうか?その方が早いかも?ちょっと店に戻って聞いてきますね。」
と戻ろうとすると、その時直哉さんの携帯に着信音が鳴る。
電話に出たのを見ていたら、それなら私が取りに戻ろうかな?と思い立つ。それで身振り手振りで自分が行ってきますと合図して店に戻った。
店内に入ると、先程のデザイナーが見える。
そして声を掛けようと近付くと…
「伏木様の婚約者の方、凄くお綺麗な人でビックリしました。それにとっても上品で。お似合いのお二人でしたよね!」
綺麗なんて…お世辞だと分かっていても嬉しくなる。
そして、お似合いって…そう見えたのが本当に嬉しかった。
だがその瞬間、私は凍り付く…
「そう?全然そんな風に思えなかったけど僕は。あの人、伏木のおじさまに気に入られてるのか何だか知らないけどさ…厚かましい!直哉と釣り合うと思ってるのかな?笑っちゃうけど。」吐き捨てるように裕貴さんが言っていた。
そんな裕貴の言葉に、何と答えてよいのか困惑してオロオロするデザイナーが。すると…
「ねぇ。知ってる?僕とさ直哉は番になる約束してるんだよ?将来を誓い合ってるんだ。今、ほんの一時、あの庶民のオメガに貸してやろうと思って。」
──何?あの人と直哉さんが番になる約束を?将来を誓い合ったって…
この家柄も容姿も自信でさえも兼ね備えたオメガ…
私とは同じようで全く違うあの人と直哉さんが…?
そんな事を言われてしまったら、自分の都合がいいように誤解しちゃうからヤメて欲しい…
結婚が決まるとあっという間に全てが進んでしまう。
今、私と直哉さんは結婚披露宴で着る衣裳をオーダーに来ている。
私はレンタル衣裳で充分では?と言ったけど…却下された。
──一度着たらもう着ないよね?
お父様の伏木さんが本当に喜んでくださって、本人達よりも張り切っている。
そして衣裳も最高の物をとなり、国内ウェディングシェアNo.1のKANAI WEDDINGでお願いすることに。
こちらの息子さんは直哉さんの幼馴染みで経営にも携わっているという縁もあるらしい。
なんか直哉さんの友達や知り合いなんて、そんな方ばっかりなんだろうか?お付き合いする自信はない…
「涼さんは白が似合うし、こっちもいいんじゃないか?」
そう言って直哉は自分が試着していた白いジャケットを脱ぎ、私の肩に掛ける。
「やっぱり似合う。涼さん白にするといいよ!」と何故だか嬉しそうに微笑んだ。
そのジャケットからは残り香が…
柑橘系の爽やかな香りで、ちょっとだけスパイシーな香りも混じる…そんな特有な直哉さんのアルファフェロモン。
──凄くいい匂いだ…
この匂いに包まれていると凄く落ち着いて、いつまでも嗅いでいたいと思ってしまう。
「では内藤様。あちらのデザインでお色は白になさったらいかがでしょう?」とKANAIのデザイナーが提案する。
「そうですね。デザインはやはりあちらの方が良いかと。それでお願いします。」
やはりシェアナンバーワンだな!凄く素敵なデザインばかりで迷ってしまう。
それにしてもこんな高価なものいいの?って思うけど…
ではこちらで生地を見ていただいて…と言われ、二人でソファに座り選んでいると…
「直哉、来てたんだね!」
その弾んだ声に顔を上げると…ドキッとした。そこには笑顔が眩しくて美麗な男性が立っていた。
わっ、何て綺麗な人だろう…オメガ?私と同じオメガだよね…?
その人は直哉の隣に座り、親しげに話し掛けてくる。
「直哉、うちで衣裳作るんだね。誰よりも素敵になるから任せて!」と笑う。
そう言うその人に「お前、商売上手だな?」って親しげに笑い合っていた。
この人、もしかして幼馴染みの?ここの息子さんって、オメガなんだ…
「裕貴、こちらが俺と結婚する内藤涼さんだ。よろしく頼むな」
じっと二人を見つめている私に気付いて、直哉さんは私をそう紹介してくれる。
「初めまして。叶井裕貴です。直哉とはずっと同級生で…子供の頃からいつも一緒だったんですよ!」と叶井さんは一際美しく微笑んだ。
──チクン…何故か胸が痛んだ。
凄く綺麗な人だからだろうか…
「こちらこそ初めまして。よろしくお願いします」と言うのがやっとだった。
それから仲良く笑い合って話す二人を気にしてしまって、生地を確認するどころではないのだが、見ている振りをしてやり過ごす。
結局時間がなくなってしまい、生地選びは次回で…となり店を後にする。
「すいません。裕貴と話し込んでしまって…。時間なくなっちゃいましたね?また今度決めましょう。それか生地のサンプル借りていきましょうか?その方が早いかも?ちょっと店に戻って聞いてきますね。」
と戻ろうとすると、その時直哉さんの携帯に着信音が鳴る。
電話に出たのを見ていたら、それなら私が取りに戻ろうかな?と思い立つ。それで身振り手振りで自分が行ってきますと合図して店に戻った。
店内に入ると、先程のデザイナーが見える。
そして声を掛けようと近付くと…
「伏木様の婚約者の方、凄くお綺麗な人でビックリしました。それにとっても上品で。お似合いのお二人でしたよね!」
綺麗なんて…お世辞だと分かっていても嬉しくなる。
そして、お似合いって…そう見えたのが本当に嬉しかった。
だがその瞬間、私は凍り付く…
「そう?全然そんな風に思えなかったけど僕は。あの人、伏木のおじさまに気に入られてるのか何だか知らないけどさ…厚かましい!直哉と釣り合うと思ってるのかな?笑っちゃうけど。」吐き捨てるように裕貴さんが言っていた。
そんな裕貴の言葉に、何と答えてよいのか困惑してオロオロするデザイナーが。すると…
「ねぇ。知ってる?僕とさ直哉は番になる約束してるんだよ?将来を誓い合ってるんだ。今、ほんの一時、あの庶民のオメガに貸してやろうと思って。」
──何?あの人と直哉さんが番になる約束を?将来を誓い合ったって…
この家柄も容姿も自信でさえも兼ね備えたオメガ…
私とは同じようで全く違うあの人と直哉さんが…?
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