上 下
25 / 51
第ニ章・先輩が彼氏に?

24・両家の顔合わせ

しおりを挟む
 「瑞樹、涼の元旦那の家とまた顔合わせがあるんたけど。ほら、うちの家族環境も変わっただろ?香苗と結婚して、瑞樹も俺の息子になった訳だし。それに三年以上経ってるからな!もう一度、顔を合わせておいた方がいいと思うんだが。今後の為にもな!」

 義父さんがそう言って、僕もそれに納得する。

 「そうだよね~。僕、全くあちらの事知らないから。僕達が家族になる前のことだからさ。僕も涼さんの為にきちんとご挨拶したいし。」

 笑顔で僕がそう言って、義父さんもホッとしたようだ。

 だって、柚子ちゃんのパパだよ?会ってみたいじゃん!
 柚子ちゃんって、顔は涼さんにソックリなんだけど、意志の強そうな瞳はパパ似なのかな?
 

 たまにキリッとした顔をするからドキッとする時あるんだよねぇ。
 もう既に大物の片鱗へんりんって言うのかな?
 涼さんの類稀たぐいまれな美しさと、その旦那さんのカリスマ性?が合わさったら最強じゃないか!!
 そう思って、会えるのを楽しみにする。



 そして一週間後┉。

 顔合わせは向こうのご実家で行なわれる。

 いやぁ、何か緊張しちゃうな!やけにデカい家だ┉。

 こんなの数寄屋すきやづくりって言うんだろうか?
 もしかしてだけど、どっかの社長?しまった┉聞いとけば良かった。

 そう言えば涼さんの元旦那さんって、どんな人なんだか知らないんだ。
 前は聞いちゃいけないのかな?って思ってて。
 だけど再婚が決まったんだから、聞いとくべきだったなぁ。

 まぁ、所詮僕は一応呼ばれただけだし。
 この先、涼さんの新居に遊びに行った時とかは旦那さんには会うだろうけど、そのお父さんや弟さん?には冠婚葬祭くらいしか会うことがないだろうって思う。
 だから気楽に!って、緊張を解くために自分に言い聞かせる。

 無駄にデカい玄関の前まで行くと、涼さんと柚子ちゃんが待っていてくれた。

 「叔父さん、香苗さんに瑞樹くん。今日は私達の為に来てくださってありがとうございます。さぁ中に!」

 涼さんと柚子ちゃんは、もう何度もこの家を訪れているのか緊張した様子もなく入っていく。
 前に来た事が何度もあるだろう涼さんはともかく、柚子ちゃんまでも!って思うと、流石に大物だなぁって。
 
 いくら小さい子だって、今までの自分の家と違い過ぎる規模だと緊張するものだと思うけど?

 チラッと横を見ると、義父さんはともかく、母さん~!緊張してるな?
 僕達親子は小市民なんですよー!

 凄いお庭を眺めながらぐるりと長い廊下を進んで客間らしき部屋に来た。
 こんなの大奥じゃん!って思う。
 両開きの重厚なふすまを開けたら、そこは大奥┉って時代劇あったな?

 なんてバカな事を考えながら後に付いて入ると┉

 ハァ?┉僕の見間違いなのかな?

 そこには居る筈のない先輩が!
 そして先輩も驚いた顔で僕をじっと見ている┉。

 おまけに隣には┉やっぱりお兄さん!なんで┉?

 もしかしてだけど、涼さんの元旦那さんってお兄さんだったの!?
 じゃあ、前から聞いていた元奥さんって涼さん?当たり前か!

 先輩もお兄さんも、僕をガン見している状態でおずおずと客間に入る。
 母さんも何か言いたげで僕を見ているけど┉。

 「みーちゃん、どうしたの?ゆずのとなりおいでよ~!」

 空気を読まない(当たり前だけど┉)柚子ちゃんが、僕をそう呼んで、ここに居る全員の視線が僕に集中する。

 僕は引きつった笑顔を浮かべて、うん┉って呟く。

 「おや?内藤さんの息子さんかな?」

 一目で只者じゃないと分かるような初老の男の人が笑顔でそう言う。
 このお方は┉お父様だよね?先輩達の。

 ってことは┉FUSHIKIグループの会長か!!
 ヤバい、ヤバ過ぎる~!

 とんだ大物を前に、僕はすくみ上がる。
 その様子を不思議そうに義父さんは見て、僕の代わりに答えた。

 「そうです。私の義理の息子で、男性オメガの瑞樹です。」

 ──男性┉オメガだって言っちゃう?
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

酔いどれ夫は妻(♂)が大好き!

MEIKO
BL
 僕は千海静音、男性オメガで21才。番の夫持ちでそれなりに幸せに暮らしている。だけど、この満たされない想いは何なのか…。番なのに夫に愛されていないから?そもそも政略結婚で、夫には他に愛する人がいるから?いいや違う!僕だって、夫を愛してはいないんだ。なのにこの感情は…そう思い込もうとしているだけなのかな?  そんな空虚な思いを抱える静音は、それを何とか解消しようと夫と離婚することを心に決める。「今夜こそ離婚を切り出そう!」そう身構える静音が見た、意外なものとは…  ※すみません…途中で短編に変えました。コメディタッチの、不器用な大人のオメガバース作品です。一般的なオメガバース設定には沿っていない場合がありますので、ご了承下さいね。  

両片思いのI LOVE YOU

大波小波
BL
 相沢 瑠衣(あいざわ るい)は、18歳のオメガ少年だ。  両親に家を追い出され、バイトを掛け持ちしながら毎日を何とか暮らしている。  そんなある日、大学生のアルファ青年・楠 寿士(くすのき ひさし)と出会う。  洋菓子店でミニスカサンタのコスプレで頑張っていた瑠衣から、売れ残りのクリスマスケーキを全部買ってくれた寿士。  お礼に彼のマンションまでケーキを運ぶ瑠衣だが、そのまま寿士と関係を持ってしまった。  富豪の御曹司である寿士は、一ヶ月100万円で愛人にならないか、と瑠衣に持ち掛ける。  少々性格に難ありの寿士なのだが、金銭に苦労している瑠衣は、ついつい応じてしまった……。

あなたが愛してくれたから

水無瀬 蒼
BL
溺愛α×β(→Ω) 独自設定あり ◇◇◇◇◇◇ Ωの名門・加賀美に産まれたβの優斗。 Ωに産まれなかったため、出来損ない、役立たずと言われて育ってきた。 そんな優斗に告白してきたのは、Kコーポレーションの御曹司・αの如月樹。 Ωに産まれなかった優斗は、幼い頃から母にΩになるようにホルモン剤を投与されてきた。 しかし、優斗はΩになることはなかったし、出来損ないでもβで良いと思っていた。 だが、樹と付き合うようになり、愛情を注がれるようになってからΩになりたいと思うようになった。 そしてダメ元で試した結果、βから後天性Ωに。 これで、樹と幸せに暮らせると思っていたが…… ◇◇◇◇◇◇

当たり前の幸せ

ヒイロ
BL
結婚4年目で別れを決意する。長い間愛があると思っていた結婚だったが嫌われてるとは気付かずいたから。すれ違いからのハッピーエンド。オメガバース。よくある話。 初投稿なので色々矛盾などご容赦を。 ゆっくり更新します。 すみません名前変えました。

知らないだけで。

どんころ
BL
名家育ちのαとΩが政略結婚した話。 最初は切ない展開が続きますが、ハッピーエンドです。 10話程で完結の短編です。

こじらせΩのふつうの婚活

深山恐竜
BL
宮間裕貴はΩとして生まれたが、Ωとしての生き方を受け入れられずにいた。 彼はヒートがないのをいいことに、ふつうのβと同じように大学へ行き、就職もした。 しかし、ある日ヒートがやってきてしまい、ふつうの生活がままならなくなってしまう。 裕貴は平穏な生活を取り戻すために婚活を始めるのだが、こじらせてる彼はなかなかうまくいかなくて…。

後発オメガの幸せな初恋 You're gonna be fine.

大島Q太
BL
永田透は高校の入学時検診でオメガと判定された。オメガの学校に初めてのヒート。同じ男性オメガと育む友情。そして、初恋。戸惑う透が自分のオメガ性と向き合いながら受け入れ。運命に出会う話。穏やかに淡々と溺愛。

十七歳の心模様

須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない… ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん 柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、 葵は初めての恋に溺れていた。 付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。 告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、 その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。 ※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。

処理中です...