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第ニ章・先輩が彼氏に?

16・後輩の瑞樹

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 あの日の桜の下での出会いから、瑞樹とは友達になった。

 一つ下で、頑張り屋さんなベータの後輩。  
 最初はそれだけの印象だった。

 俺は『伏木』というブランドを背負っている
 昔っからそれで良くも悪くも影響がある訳で┉。

 嫌味ややっかみなんて日常茶飯事で、それでいて恩恵に預かろうっていう連中もいる。

 だから俺は、なかなか人に心を開かない人間になっていった┉。

 ──だけど、瑞樹は┉。

 瑞樹と言う人は、本当に正直で打算とは無縁のタイプだった。
 きっと、それすらも自分で意識していないんだろうな?

 だから瑞樹の側は居心地が良くって!

 それに凄く可愛いんだ。

 自分はベータで、平凡だって思っているみたいだけど、俺から言わせたら凄く可愛いと思うんだけど?

 だから┉つい彼女と瑞樹を比べてしまう。
 彼女を紹介すると、決まって瑞樹は警戒されてしまうんだ。
 中には瑞樹に失礼な態度を取る奴も!
 それで結局、別れるんだけどね?

 俺は長い間、それがどういう感情なのか分からなかった。

 可愛い後輩?仲の良い友達?なんかそれからははみ出ている存在のような┉。

 あの卒業式の時、瑞樹がわざわざ会いに来てくれて嬉しかった。だけど┉

 邪魔が入って、いつの間にか居なくなっていた瑞樹は、それから一切連絡が付かなくなって。

 ──もしかしてもう瑞樹に会えない!?俺とは会いたくないんだろうか┉。

 もうそう思ったら、居ても立っても居られない訳で!
 だけど俺はその頃、多忙を極めていた。

 新入社員で、おまけに社長の弟で。父さんから社長を引き継いで大変な思いをしている兄さんに失望は絶対にされたくない┉。

 だからどうしても暫くの間、瑞樹の所へ行けなくて。
 俺はその間も、ずっと瑞樹のことを考えていたけど、瑞樹は違うのかな?ちょっと不安はあるけど、今日は絶対に会いたい!
 これから仕事で瑞樹のお母さんの店の近くまで行く。

 祈る気持ちで店の扉を開けると┉瑞樹!
 知り合いの子供なのかな?女の子と一緒に楽しそうにしている。
 
 そんな瑞樹を見たら、人の気も知らないで┉って憮然としてしまったけど、会えて良かった!

 そう思ったのも束の間、瑞樹に付き合いのサイクルが短いだの、紹介するな!だの文句を言われて┉。

 卒業式の時のことを考えたら、文句言われても仕方がないんだけど、それ以前でもこんなに瑞樹を怒らせていたのか?って驚く。

 もうホントにこの先、俺と関わるつもりないのかも?って弱気になったところに何故か┉。

 ──瑞樹が俺のことをずっと好き┉だった?

 嘘だろう?そんな態度あったかな?そう思ったけど、思ってもみなかった幸運にドキドキしていた。

 だけど俺ってどこまでも信用がないのか、話しはもう会わないっていう方向に┉なんでだ?

 だから俺は、瑞樹にできるだけ負担を掛けないようにと思って提案したんだ。お試しで┉付き合おうって。

 もう瑞樹がベータだろうが、関係ない!
 瑞樹という、一人の人間が好きなんだ。
 そう思う一心で──。
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