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「久しいなガイルよ」

「はい」

「あれからどのくらい時間が過ぎた」

「申し訳ございません」

「私はね
あの時に君が必ずアリーリアを守り
幸せにすると言った事を信じている。
しかし今だアリーは決めかねている様子だな
どうなっているのだ」

「アリーの彼女の気持ちを尊重したいと
考えております」

「……君は思っていた以上に温いんだな。
国を仕切る事。部下を仕切る事。
何かを動かす時に相手を待つだけでは
始まらない」

「はい」

「ガイルよ。今も気持ちが変わらぬならば
アリーを説得しろ。これは命令だ。」

「……」

「婚約から1年後に挙式をする
準備を進めておきなさい」

「かしこまりました」

ガイルは馬車に乗り込むと
離れていく王宮を見つめていた。



次の日

コンコン

「もう…誰よ」

アリーリアは書類から目を離すと扉を見た

「やぁアリー」

「サイラス…仕事はいいの?」

「息抜きも必要だからな。付き合って」

サイラスはニコニコしながらお茶を飲んでいる

「何か話しがあるんでしょ?」

アリーはジト目でサイラスを見た

「あ、そうそう。大事な話しだよ
アリー、北にあるザビルーファを
知っているよね」

「えぇ、知っているわよ」

「うん、ザビルーファのパンテラ国王は
わかるよね」

「えぇ、わかるわよ」

「アリーを第8夫人にしたいってさ
おめでとう」

アリーリアは思わずお茶を吹き出した

「はぁ?」

「アリー汚いよ…嫁ぎ先では
行儀よくしなきゃ駄目だよ。わかった?」

「……」

「どうしたの?」

「ちょっと待ってよ!第8夫人って何??」

「ん?そのままだけど。
だってアリーは自分で探す気がないでしょう?
だから来ている縁談の中で1番良い相手を
父上と決めた」

「1番良い相手。ですって?」

「そうだよ。だって相手に愛を求めず
アリーも愛さない。第8夫人ならば
自由でいられるからね。
それにパンテラ国王は生粋の女好き。
だからすぐに第9夫人が来るさ」

「……待って」

「何?」

「ちょっと待って!」

「だから何を?何を待つの?」

「やだ!」

「我儘だなー。いつまでも決めないから
だよ。仕方ないよね」

「何で?お父様もサイラスも意地悪ね?」

「うーん、そうかな?僕もリリも
ちゃんとアリーと向き合ったよ
けれどアリーが逃げたんじゃないか。
今までの事を思って見守っていたけど
結局は逃げ回ったじゃない。
ちょっとキツイ事を言うけれどさ
エドアルドという過去と決別してから
今の現実に向き合った?
ガイルとダラダラお茶をして
ダラダラ結婚から逃げ回って…
それが何になるのかな?」

「……」

「もし第8夫人が嫌ならば
自分で動きなよ。これ最後の忠告
だからね」

ご馳走様

そう言うとサイラスは部屋から
出て行った。

な、なんなのよ!キィーッ!
アリーリアは頭をグシャリとかいた

ちょっと!ガイルは何をしているのよ!
ガイルがきちんとしてくれないから!
私が北に嫁いだらガイルはどうするの?
ガイル!何か言いなさいよ!

……? 何でガイルなの
ガイルは関係ないでしょう…

ガイル…いつも私の事を1番に考えてくれて
いつも私を尊重してくれて…

ごめんねガイル…私、私、、


その日の夜

アリーリアは久しぶりに夢を見た

白いタキシードを着て凛々しさを
醸し出すガイルが令嬢をエスコートしながら
笑顔を向けている。
彼女はキラキラとウエディングドレスを
身にまとってガイルに寄り添っている

ねぇ、ガイル…ガイルってば
誰なの?彼女の顔が見えないわ
ねぇ、ガイル…私を好きって言ったじゃない
私を愛してる。って言ったじゃない

行かないで…私を1人にしないで…よ

アリーリアは涙でぐしゃぐしゃになり
ベッドから飛び起きた。

まだ薄暗い中でアリーリアは呆然とした

わかってる。私はガイルが好き。
いつから?どうして?
そんな事はどうでもいいのよ

「はぁ」

アリーリアはサイラスの言葉や
リリアナの言葉を思い返す。

「最後の忠告」かぁー

アリーリアはガイルを誰かに取られたくない。
と自覚した
洗面台に走ったアリーはバシャバシャと
顔を洗うと廊下で待機している護衛に
声をかけた

ガチャ

「メリッサ、モルダ おはよう!
出かけるからモルダは馬車を用意して
メリッサは着替えを手伝って!」

突然の事に2人はキョトンとしたが
モルダは

「このような時間にどちらに
行かれるのですか、危険です」

という

「は?貴方が居るんだから危険じゃないわよ」

そう言われてしまったら返す言葉がない

「わかりました」

モルダは馬車の手配をする為に階段を
降りた

「さ、メリッサは手伝って」

「わ、私がですか?」

「貴女以外に誰か居るの?早く!」

メリッサの手をグイグイと引き
クローゼットの前で

「これにするわ」

アリーリアは質素なワンピースドレスを
差し出した

メリッサは困惑しながら着替えを
手伝った。

「さ、行くわよ!早く!」

アリーリアは勢いよく部屋から
飛び出すと走り出した。

「メリッサ!ちゃんと私に付いてきてね
遅いわよ」

「いえ、殿下の方が遅いです」

「はぁ、、はぁはぁ、、
ちょっとメリッサ、貴女も言うように
なったわね…はぁはぁ」

部屋を飛び出してから300mで
アリーリアは倒れそうだった
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