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建国記念の日ガイルは渋々参加した

もう、パーティーや夜会などは飽きた。
情報収集ならば出向くけれどな。
そう思っていた

「ガイルお前という奴は可愛くないな
王家主催で建国記念だぞ?」

「わかっていますよ」

「そうだ、今回は皇女殿下も参加する
らしくてな皆は楽しみにしてるぞ」

父であるバドラーから聞いた情報に
少しだが関心を持った

アリーリア皇女殿下といったな…
病弱で人前に出られない皇女殿下

アリーリアか…
彼女が「あの」アリーリアなのか?
そんな出来すぎた事なんかあるわけない
彼女はどこで何をしているんだ?
同じ時に蘇りをする保証なんてないんだ

待て!
彼女だとしても記憶はあるのか?
どうしたらいい…アリーリア
俺は何をしたら許されるんだ…


※  エドアルド

アカデミーに入学するとすぐに
伯爵令嬢がまとわりついて来た。
それがモナリナだった
最初はクラスメイトとして接していたが
奴の黒い笑顔が気になった
俺は側近達を使ってすぐに調べたら
やはり何かを企んでいる様だった。

「殿下。私は婚約者候補でしたのよ
選ばれなくて残念だったわ
でもまぁ可能性が無くなった訳では
ありませんものねぇ」

何?こいつは今、何を言ったんだ

その会話はそこで終わった
しかしアカデミー主催のパーティーだった

「殿下、私をエスコートしてくださらない」

ん?

「別にエスコートなど必要ないだろう」

「大事な話しがありますの
他の人に聞かれるのはちょっと」

「ふぅ、わかった」

「ふふっ ありがとうございます」

面倒な事になったな。そう思った

側近達から報告が上がった

モナリナの家門リール伯爵家は
貿易商を営み外国に向かう事はあるが
この1年程は月に2~3と頻繁に
隣国サーバに行っている様だった

「何故、この様に交流を深めているのか
わかりません。引き続き調査致します」

その報告を受けて俺はモナリナと話す
機会を増やしていた。

パーティーの日
モナリナは上機嫌になり初めてワインを
飲んだ。そしてモナリナはとんでもない
事を口走った

「エドアルド様 これからエドと呼んでも
いいかしら?」

「エドだと?駄目だ」

「あらっ、冷たいのね…いいわよ
秘密を教えてあげない」

「お前、ふざけているのか?
これ以上ふざけるならば付き合い方を
考えなければならないな」

「ちょ、、怒らないでください
ふふっ お父様…がぁ  ヒック えっと」

「何だ!」

「違う…えっとですね
ふふっ、、サーバ大国が大量に武器を
集めていて危ないんですよ」

モナリナはそう言うとアルコールが回り
コクコクと眠り始めた

「おい!起きろ武器だと?何故だ起きろ」

酔いつぶれたモナリナを騎士に任せて
宮に戻り調べた。

確かに…サーバ大国が武器を調達し
傭兵を募集していた。

俺はすぐに父である国王に報告をした

「エドアルド、全ては証拠だ
伯爵令嬢に近づけ。吐かせろ」

それが最初の命令だった

それからモナリナの機嫌取りをしながら
情報収集をした

口を割らない。そして我儘を要求する。

これは長期作戦になるのか?
拘束して吐かせればいいじゃないか!

そして予想通り
モナリナとの駆け引きは続いた

ある日

「アリーリア様がアカデミーに
入学されるのですよね?
エドの婚約者だなんて羨ましいですわ
まぁ、危険もありますけれどね」

「どういう事だい?」

「だって、王太子妃ですのよ?
周りは敵だらけ。という事ですわ」

不穏な話しにアリーリアの護衛を密に
増やして警戒にあたっていた時だった

「報告します
昨夜、警戒にあたっていた騎士から
アリーリア様の宮にて刺客を発見
しかし刺客は自害。5名の遺体を
地下に運んでおります」

すぐに地下に行き遺体を見た

「こいつは…」

「はい、サーバの人間だと思われます」

何故、アリーを狙った?
サーバの狙いはシャルパドなのか?

モナリナの言葉が蘇った

父に報告をあげた

「わかったこちらから密偵を送り探ろう
お前は引き続きモナリナを引き付けて
吐かせろ」

「待ってください
アリーを1人には出来ません」

「今、お前がやるべき事は情報収集だ」

ちきしょう!

俺はモナリナに振り回される毎日を
送った

「報告します
やはり隣国から武器がサーバに流れて
います。しかし武器を流していた
ドルチェ商会は既に消えていて
証拠隠滅を計った様です。
ドルチェ商会のオーナーは
サーバ大国の男爵でしたが2ヶ月程前に
首を吊っていました」

「何?」

「リール伯爵はサーバに渡っていますが
怪しき人物との接触は無く
事業として骨董品を仕入れています」

「押さえられるか」

「買い取りならば可能ですが
取り押さえとなれば問題です」

「名義大分が必要か。わかった」

何を企んでいるんだ!サーバだと?
シャルパドに戦を仕掛けるつもりなのか

くそっ!

その頃はアリーを守るよりも
国を護る事が何よりも大事だった
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