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27.月光に反射してキラキラと輝くそれは、
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「いやぁ思っちゃったんだよねー和サマが大事にしてるキミを、和サマの目の前で俺らのモノにしたら和サマはどう思うかなぁって」
言いながら口裂け男は俺の輪郭から首筋にかけてを撫でる。
気色悪い。
目尻に涙が溜まる。と、口裂け男はそれを楽しそうに見ると両手首を縛られた俺をムリヤリ立たせて、和の方へ投げた。
崩れ落ちるように和の前に転がる。
立ち上がって和に駆け寄ろうとしたが…足首をひねったらしい。激痛が奔る。
すると今度は和の傍に立っていた一つ目の大男が和を起こしにかかった。
それも、「おい、起きろ」とか可愛いもんじゃなくて、拳で。
動けない俺の前で、和が何度も殴られ、蹴られた。
「カッ…ハッ……!」
「やめろっ」
俺はとっさに言った。
「和は…俺のせいで具合が悪くなったんだ…悪いのは全部俺なんだよ!だからやめてくれ!」
それを聞いて、一つ目の大男の動きが止まる。
一つ目の大男と口裂け男は目を合わせてにやつく。
「…そんなに言うなら止めてやるよ。その代わり和サマが受けるはずだった俺らのストレス、全部お前に受けてもらおうかな~?ボロボロになったキミを見て、和サマどう思うかなぁ?ボロボロの君が俺らのモノになってるとこ見たらどう思うかな?」
どかどかと近づいてきた一つ目の大男が俺の髪を引っ張って俺を持ち上げた。足が床を離れる。
苦痛でゆがんだ顔を口裂け男の手がなぞる。
和のそれと違って、ぞわぞわして気持ち悪い。
身をよじって手から逃げて口裂け男を睨むと、口裂け男は鋭い爪で俺の頬を引っ掻いた。
チリッ…と燃えるような痛みがして、頬から赤い血が流れる。
「やっぱニンゲンは脆いなァ?」
と、その血に舌を這わす口裂け男。
生ぬるい感触に、身の毛がよだつ。
目尻の涙を振り払うように、口裂け男の腹を蹴る。
と、口裂け男が後ろにこけた。
大男も俺を落として、口裂け男に駆け寄る。
その隙に、痛む身体を酷使して和のもとへ走った。
苦しそうに呻く和を椅子ごと助け起こす。
「な、和っ大丈夫か!?」
和は「うぅ…」と呻くが、はっきりとした返事はしてくれなかった。大丈夫ではなさそうだ。
どうしてこんな事になったんだ、何が悪いんだ、俺がこっちの世界に来たから?俺が和と友達になったから?…いいや違う、俺だ、俺の頭がメルヘンバカだから和を見ること、鳥を見ることが出来たから、和と出会って、和が俺を好きになってしまって……それで…!
ゆらりと口裂け男と一つ目が立ち上がる。
「和、俺のせいでごめんな。痛い思いもさせて」
じりじりと口裂け男と一つ目の大男が迫ってきた。
足も挫けてるし、体もボロボロだ。
でもこんな時に和を守れるものを俺は二人に貰った。
懐に手を入れる。
指先に触れる、和紙の感覚。
俺は懐から扇子を取り出し、広げて掲げた。
「お願い、守って…!」
言いながら口裂け男は俺の輪郭から首筋にかけてを撫でる。
気色悪い。
目尻に涙が溜まる。と、口裂け男はそれを楽しそうに見ると両手首を縛られた俺をムリヤリ立たせて、和の方へ投げた。
崩れ落ちるように和の前に転がる。
立ち上がって和に駆け寄ろうとしたが…足首をひねったらしい。激痛が奔る。
すると今度は和の傍に立っていた一つ目の大男が和を起こしにかかった。
それも、「おい、起きろ」とか可愛いもんじゃなくて、拳で。
動けない俺の前で、和が何度も殴られ、蹴られた。
「カッ…ハッ……!」
「やめろっ」
俺はとっさに言った。
「和は…俺のせいで具合が悪くなったんだ…悪いのは全部俺なんだよ!だからやめてくれ!」
それを聞いて、一つ目の大男の動きが止まる。
一つ目の大男と口裂け男は目を合わせてにやつく。
「…そんなに言うなら止めてやるよ。その代わり和サマが受けるはずだった俺らのストレス、全部お前に受けてもらおうかな~?ボロボロになったキミを見て、和サマどう思うかなぁ?ボロボロの君が俺らのモノになってるとこ見たらどう思うかな?」
どかどかと近づいてきた一つ目の大男が俺の髪を引っ張って俺を持ち上げた。足が床を離れる。
苦痛でゆがんだ顔を口裂け男の手がなぞる。
和のそれと違って、ぞわぞわして気持ち悪い。
身をよじって手から逃げて口裂け男を睨むと、口裂け男は鋭い爪で俺の頬を引っ掻いた。
チリッ…と燃えるような痛みがして、頬から赤い血が流れる。
「やっぱニンゲンは脆いなァ?」
と、その血に舌を這わす口裂け男。
生ぬるい感触に、身の毛がよだつ。
目尻の涙を振り払うように、口裂け男の腹を蹴る。
と、口裂け男が後ろにこけた。
大男も俺を落として、口裂け男に駆け寄る。
その隙に、痛む身体を酷使して和のもとへ走った。
苦しそうに呻く和を椅子ごと助け起こす。
「な、和っ大丈夫か!?」
和は「うぅ…」と呻くが、はっきりとした返事はしてくれなかった。大丈夫ではなさそうだ。
どうしてこんな事になったんだ、何が悪いんだ、俺がこっちの世界に来たから?俺が和と友達になったから?…いいや違う、俺だ、俺の頭がメルヘンバカだから和を見ること、鳥を見ることが出来たから、和と出会って、和が俺を好きになってしまって……それで…!
ゆらりと口裂け男と一つ目が立ち上がる。
「和、俺のせいでごめんな。痛い思いもさせて」
じりじりと口裂け男と一つ目の大男が迫ってきた。
足も挫けてるし、体もボロボロだ。
でもこんな時に和を守れるものを俺は二人に貰った。
懐に手を入れる。
指先に触れる、和紙の感覚。
俺は懐から扇子を取り出し、広げて掲げた。
「お願い、守って…!」
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