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12.縁側に出たんだ。
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翌朝。心地よく起きた俺に対し、和は何故かとても深いクマがあった。
寝不足だろうか。
自分で寝ろって言ったのにバカだな、あいつ。
「おはよう涙流。よく眠れたか?」
目をこすりながら和が言う。
「おかげさまでぐっすり眠れたよ。…初めは全然寝れなかったケド」
俺はふわぁっ、と欠伸をした。
「和は何でクマなんてあるんだ?お前、俺よりも先に寝てたろ?」
あんなにぐっすり寝てたのに、なんでこんなに眠そうなんだよ…。
「あー…いやぁ…ちょっとな」
布団の中からさっと出て行く和が、こっちに手を伸ばす。
「ほら、顔洗いに行くぞ」
何故かほんのり顔の赤い和の手を借りつつ、俺も布団から起き上がる。
離れないように和の後を追いかけていくと、風呂場の横の洗面所についた。
ザバァッと顔を洗う和に倣って、俺も水を顔にかける。
和の差し出すタオルで水気を拭うと次は服を着替え、出掛ける準備を終えた。
「よし、出掛けるぞ」
と和と手を繋いで玄関の扉を開けると、そこには龍の状態の美来がいた。
「お迎えに上がりましたよ、和、涙流」
「美来ー!会いたかったぞー!!!」
俺は和の手をぱっと離し、美来に飛び付いた。
モフみはないが、龍って事だけで好感度は凄い上がる!!
「私もですよ涙流ー!あぁきっと涙流も兄様を見たら私なんてクソほどどーでもいい龍になってしまうのでしょう…寂しいですねェ……」
シュンとする美来。
「ううん。そんなことないよ!美来が一番だよ!美呼様を見たとしても!!!!」
涙流…!!と目をうるうるさせる。
それを和はブスッとして俺を見ている。
俺は未来を撫でながら小首を傾げた。
「どうした和?」
「いや、別に…」
別に…と言いつつも、未だブスッとしている和を不思議がっていると美来が俺の耳元で囁く。
「私が涙流と仲良くしていることにヤキモチ妬いてるんですよ」
へー…ヤキモチか…。ちょっと気分いいかも。
「おい美来、てめぇ涙流に何吹き込んだ?」
ガシッと和が美来のツノを掴んだ。
「あ、こら和!龍のツノは繊細なの!雑に触るな!!」
和の手を美来のツノから剥がす。
「涙流は優しいですねぇ、あぁもう涙流だけ乗せて行きたいくらいです」
「え!乗せてくれるの?」
本当に!?
そう聞くと、美来は楽しそうに目を細めて
「えぇ、今日の仕事は二人の送り迎えですから」
と言った。
「乗る!乗る乗るーっ!!わぁー!え、本当にいいの!?」
フサッと美来のたてがみを撫でる。
「勿論ですよ」と微笑まれた。
やった!すごい嬉しい!
「じゃ、じゃあお邪魔します…っ!」
そっと美来に跨る。
「わ…わー!!やばい!やっばーい!!ほらっ、和も早く乗って!すごいよっ!!」
俺は和に手を差し伸べて言った。
和は俺の手を掴んで美来にどかっと跨った。
「小さい時によく乗ったし。別に凄くなんてねェよ」
うわっ、何それズル!と思っていると、美来がニヤッと笑った(気がする)。
「言いましたね和。ハイスピードで行きますよ!」
言った瞬間、景色が変わる。
ものすごい風圧で後ろに倒れると、和に支えられた。
耳元で「しっかり美来を掴め」と囁かれる。
言われた通りに美来を掴んで顔を上げると、そこは綿菓子のような雲の上だった。
昼だというのに、夜空の星々よろしく飴玉のような色とりどりの輝きが空を彩っている。
が、感動している暇もなく、美来が
「最高速度出しますよぉ!」
と動き出した。
ぐるんぐるんと回転して、右に、左に、また右に、と移動した。
上下左右がもう分からなくなった頃…。
「ほら、涙流、和、着きましたよ」
俺達はそこについた。
寝不足だろうか。
自分で寝ろって言ったのにバカだな、あいつ。
「おはよう涙流。よく眠れたか?」
目をこすりながら和が言う。
「おかげさまでぐっすり眠れたよ。…初めは全然寝れなかったケド」
俺はふわぁっ、と欠伸をした。
「和は何でクマなんてあるんだ?お前、俺よりも先に寝てたろ?」
あんなにぐっすり寝てたのに、なんでこんなに眠そうなんだよ…。
「あー…いやぁ…ちょっとな」
布団の中からさっと出て行く和が、こっちに手を伸ばす。
「ほら、顔洗いに行くぞ」
何故かほんのり顔の赤い和の手を借りつつ、俺も布団から起き上がる。
離れないように和の後を追いかけていくと、風呂場の横の洗面所についた。
ザバァッと顔を洗う和に倣って、俺も水を顔にかける。
和の差し出すタオルで水気を拭うと次は服を着替え、出掛ける準備を終えた。
「よし、出掛けるぞ」
と和と手を繋いで玄関の扉を開けると、そこには龍の状態の美来がいた。
「お迎えに上がりましたよ、和、涙流」
「美来ー!会いたかったぞー!!!」
俺は和の手をぱっと離し、美来に飛び付いた。
モフみはないが、龍って事だけで好感度は凄い上がる!!
「私もですよ涙流ー!あぁきっと涙流も兄様を見たら私なんてクソほどどーでもいい龍になってしまうのでしょう…寂しいですねェ……」
シュンとする美来。
「ううん。そんなことないよ!美来が一番だよ!美呼様を見たとしても!!!!」
涙流…!!と目をうるうるさせる。
それを和はブスッとして俺を見ている。
俺は未来を撫でながら小首を傾げた。
「どうした和?」
「いや、別に…」
別に…と言いつつも、未だブスッとしている和を不思議がっていると美来が俺の耳元で囁く。
「私が涙流と仲良くしていることにヤキモチ妬いてるんですよ」
へー…ヤキモチか…。ちょっと気分いいかも。
「おい美来、てめぇ涙流に何吹き込んだ?」
ガシッと和が美来のツノを掴んだ。
「あ、こら和!龍のツノは繊細なの!雑に触るな!!」
和の手を美来のツノから剥がす。
「涙流は優しいですねぇ、あぁもう涙流だけ乗せて行きたいくらいです」
「え!乗せてくれるの?」
本当に!?
そう聞くと、美来は楽しそうに目を細めて
「えぇ、今日の仕事は二人の送り迎えですから」
と言った。
「乗る!乗る乗るーっ!!わぁー!え、本当にいいの!?」
フサッと美来のたてがみを撫でる。
「勿論ですよ」と微笑まれた。
やった!すごい嬉しい!
「じゃ、じゃあお邪魔します…っ!」
そっと美来に跨る。
「わ…わー!!やばい!やっばーい!!ほらっ、和も早く乗って!すごいよっ!!」
俺は和に手を差し伸べて言った。
和は俺の手を掴んで美来にどかっと跨った。
「小さい時によく乗ったし。別に凄くなんてねェよ」
うわっ、何それズル!と思っていると、美来がニヤッと笑った(気がする)。
「言いましたね和。ハイスピードで行きますよ!」
言った瞬間、景色が変わる。
ものすごい風圧で後ろに倒れると、和に支えられた。
耳元で「しっかり美来を掴め」と囁かれる。
言われた通りに美来を掴んで顔を上げると、そこは綿菓子のような雲の上だった。
昼だというのに、夜空の星々よろしく飴玉のような色とりどりの輝きが空を彩っている。
が、感動している暇もなく、美来が
「最高速度出しますよぉ!」
と動き出した。
ぐるんぐるんと回転して、右に、左に、また右に、と移動した。
上下左右がもう分からなくなった頃…。
「ほら、涙流、和、着きましたよ」
俺達はそこについた。
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