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5.演劇
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時は流れて放課後。私は大急ぎで教室を出た。
それはもう全力疾走で。
向かうはステージ上。ではなく、三年六組の赤羽先輩のところ。
あっ、居た。
「先輩!」
「あら、はるちゃんこんにちわ。どうしたの?」
「先輩、お願いです!私をもう一度ジャック船長にしてください!」
先輩の表情が驚きからニヤリに変わる。
「おっけーはるちゃん!さぁ行くわよ!」
そして先輩と向かうは今度こそステージ上。
走り出した私と先輩をステージで待っていたのは…。
ばっちりお姫様になったたーこだった。
「ごきげんよう、ジャック船長?」
いかにもたおやかに微笑むたーこ。
「たーこ…何故ここに…」
「にゃははっ!たーこだからね!」
この短時間に『それ』をどうやって知るというんだ…。
「ほら船長?上演時間ですわ?」
私がたーこと話している間に、赤羽先輩の手によって私は完璧にジャック船長に変身している。
たーこが居るのは予想外だが、ここまで来たら引き下がれない。
観客はヒロ一人。私は演劇部員。相方はたーこ。
これはお姫様とジャック船長の禁じられた恋のお話。
ジーッという音と共に、幕が上がる…。
…………………
姫「あぁどうかお願いです、私をここから連れ出して!」
ジャック「ですが姫、貴女が居るのは高い高い塔の上…私はどうにも、そこに飛んでは行けません」
姫「あぁ、私に長い髪があれば…」
ジャック「姫、待っていてください!必ず私が貴女をそこから助け出して見せましょう!」
ここでジャック立ち去る。シーンは変わってジャックが一人船に乗っている。
ジャック「なんとかして姫を助け出さねば…はっ!そうだ!妖精の粉を使えば!」
ここからジャックはネビーランドに向かい、ウェンダィから妖精の粉を奪おうとし、ピーターペンと戦い、右腕をチクタクワーニに食いちぎられるシーンが続く。
だがなんとか姫一人が飛べる量の妖精の粉を得て、姫の住む高い塔に行くと…。
姫「ジャック…ごめんなさい。私、隣の国の王子との結婚が決まってしまったの…」
ジャック「まだ間に合う!妖精の粉で逃げましょう!」
姫「だめよ、お父様にご迷惑がかかるわ…貴方とは一緒に行けない…」
姫のその言葉と、ジャックが地面に妖精の粉の入った袋を置いて悲しげに帰っていくシーンで幕が降りる…。
……………………
それはもう全力疾走で。
向かうはステージ上。ではなく、三年六組の赤羽先輩のところ。
あっ、居た。
「先輩!」
「あら、はるちゃんこんにちわ。どうしたの?」
「先輩、お願いです!私をもう一度ジャック船長にしてください!」
先輩の表情が驚きからニヤリに変わる。
「おっけーはるちゃん!さぁ行くわよ!」
そして先輩と向かうは今度こそステージ上。
走り出した私と先輩をステージで待っていたのは…。
ばっちりお姫様になったたーこだった。
「ごきげんよう、ジャック船長?」
いかにもたおやかに微笑むたーこ。
「たーこ…何故ここに…」
「にゃははっ!たーこだからね!」
この短時間に『それ』をどうやって知るというんだ…。
「ほら船長?上演時間ですわ?」
私がたーこと話している間に、赤羽先輩の手によって私は完璧にジャック船長に変身している。
たーこが居るのは予想外だが、ここまで来たら引き下がれない。
観客はヒロ一人。私は演劇部員。相方はたーこ。
これはお姫様とジャック船長の禁じられた恋のお話。
ジーッという音と共に、幕が上がる…。
…………………
姫「あぁどうかお願いです、私をここから連れ出して!」
ジャック「ですが姫、貴女が居るのは高い高い塔の上…私はどうにも、そこに飛んでは行けません」
姫「あぁ、私に長い髪があれば…」
ジャック「姫、待っていてください!必ず私が貴女をそこから助け出して見せましょう!」
ここでジャック立ち去る。シーンは変わってジャックが一人船に乗っている。
ジャック「なんとかして姫を助け出さねば…はっ!そうだ!妖精の粉を使えば!」
ここからジャックはネビーランドに向かい、ウェンダィから妖精の粉を奪おうとし、ピーターペンと戦い、右腕をチクタクワーニに食いちぎられるシーンが続く。
だがなんとか姫一人が飛べる量の妖精の粉を得て、姫の住む高い塔に行くと…。
姫「ジャック…ごめんなさい。私、隣の国の王子との結婚が決まってしまったの…」
ジャック「まだ間に合う!妖精の粉で逃げましょう!」
姫「だめよ、お父様にご迷惑がかかるわ…貴方とは一緒に行けない…」
姫のその言葉と、ジャックが地面に妖精の粉の入った袋を置いて悲しげに帰っていくシーンで幕が降りる…。
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