初めまして、幼馴染殿

三月 深

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3.異名

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そんな波瀾万丈のホームルームが終わり、授業も終えて昼休み。

昼飯片手にたーこのところへ行くと、たーこが興奮ぎみに聞いてきた。

「奈良木ヒロさんとの婚約発表はいつ頃ですか!?」
「いやしないけど…」

鼻先を掠めるほど近くにある、マイクを持ったポーズのたーこの右手を押し退けて座る。

「学園の王子の突然の電撃婚にファンが騒いでいますが!?」

右手がまた鼻先を掠める。

「だからそのヘンな異名やめろって」

つかファンとか居ないし。

「で?その奈良木は何処に居るの?」

捕まえて誤解を解かねば。

私は婚約者じゃない。ここポイント。

「あー、王子様の旦那様?あの肉団子の中だけど?」

肉団子…?あー、うん。肉団子だわ。

クラスの中心辺りの机に、何十人という女子が群がっている。

「奈良木く~ん!」とか
「ヒロくんって言うんだぁ?」とか
「市原さんとは知り合いなのぉ~?」とか
聞こえるので、あの中心にいるのは99.9%奈良木だろう。つかまえるのは諦めよう。

というかここに居ると私まで肉団子にされかねないので取り敢えず教室を出たい。

「お、外行く感じ?」

さすがたーこ。察しが良い。

「あぁ、たーこも来るか?」

「いや、私はもうちょっと肉団子でも見てるよ。ついでにタコ次郎の布教も」

あれ、タコ太郎じゃなかったっけ?

まぁそれはおいといて、私は教室を出た。

「号外でーす!号外でーす!」

廊下で新聞部らしき生徒が新聞を配っていた。

「あっお兄さ…お姉さんも一枚!」

目の前に差し出された新聞を受け取って、部員の横を抜ける。

目指すは屋上。それも私達のクラスのある本館よりも古く、野球部などが一階を物置に使っている旧部室棟だ。

そこの三階、一番奥の部屋のベランダに取り付けられた梯子を登ると、屋上に行きつける。

そこはどうやら代々受け継がれる秘密のサボり場所らしく、今代は私とたーこが受け継いだ訳だ。

そしてそんなところに人は来ないだろう、ということで屋上へ。

梯子をひょいっと登ると、ついた、屋上だ。

「ふぃーっ」

あ、そういえば新聞、なんの号外だったんだろう?

ぺらりと丸められた紙を開く。するとどーんと大きな見出しが現れた。

「っ!?」
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