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30.オハナシ

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「さて、学園長室でお話ししましょうか、シエラちゃん」

プツプツ髭笑顔のグレゴリオが微笑んでドアを開けてくれた。

学園長の事が嫌いな訳じゃないんです!

でもその髭で鳥肌が立つ…!

「し、失礼します…」

なんだか、戦々恐々といった感じだ。

「そんなに堅くならないで大丈夫よォ!手続きとかはローザちゃんがやってくれたのね!」
「あの、お父様は…?」

学園長と難しい話をしてるんじゃないの…?

「あ、お話終わったから帰しちゃった。話したかった?」

帰しちゃったのか…

「いえ、特に大丈夫です」
「そっか、ならいいわね!じゃあ来月の大会について話しておくわね?」
「は、はい!」

大会…?

運動会とかはご遠慮願いたいのだが…。

「通称ミスコン!正式名称は、ミス・ミスター避難王コンテスト、よ!」

ミスコン…。

避難するのはなんか違くね…?

「昔、面白くない避難訓練をもっと面白くして参加率を上げよう!ということで、避難訓練をコンテスト化したのが始まりよ。グループ戦で、仕掛けられた障害物を的確に処理し、最も安全だと思われる場所に避難したグループの勝ちなの!」

なんか壮大な障害物競争みたいだな。

皐月時代はあまり運動得意じゃなかった記憶があるのだが…。

「何故その話を私に?」

私の言葉に、グレゴリオ学園長がニヤリと笑う。

「…優勝賞金があるのよ」

なんだか突然にやる気が沸いてきた。

「金額は?」

わくわくを押さえながら冷静を装ってグレゴリオ学園長に聞く。

「シエラちゃん家の借金の四分の一よ」

ヨンブンノイチ?

信じがたすぎて、グレゴリオ学園長の髭だらけのにっこり笑顔を凝視する。

いやいやいや、数学は出来る方だから、言ってることはわかるんだよ?

ただね、避難訓練の賞金でウチの借金の四分の一って、いくらなんでも高すぎる!

「どうする?参加する?」
「します」

私はその場で真顔のままそう答えたのだった。

「参加する」という私の答えを聞いて、グレゴリオ学園長はにっこり笑った。

「うれしいわ。ありがとう」
「いえ、我が家のためですから」
「んもう、ツレないわねぇ。じゃあ早速ルールの事なんだけど…」

グレゴリオ学園長の話によると、このミスコンは四人で1チームのチーム戦らしい。

チームメンバーは自由だが、基本ルームメイトと組むのが定番。

あとは適当に四人になるようにするそうだ。

「てことは、私はミフカとですね」
「そうね、あと二人はミフカちゃんと話し合って決めてちょうだいね~!」

「話しは以上よ!かえっていいわよ~ん!」と、グレゴリオ学園長は私を学園長室の外まで送ると、何処かへ行ってしまったので、私は部屋へと帰った。
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