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六章
37.エルフ編⑤<混乱>
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どうしよう……私のせいだ……。
さっきからずっとそれが頭の中を駆け回っている。
ミス・クロウからマシマの事を任されたけれど、マシマは苦しんでいる上に意識がない。
今マシマにしてやれるのは汗を拭いて、寝苦しそうな侍女服を脱がしてやることだ。
ということで早速、マシマのおカタいエプロンを取り、首元を締めるシャツの第一ボタンを外してみる。
すると、ほんの少しだけだが楽になったようで、相変わらず息は荒いものの、目元のしわが一本減ったような気がした。
さあ次は汗をぬぐってやるための水入りのボウルとタオルを取りに行こう。
一階にならあるだろう。
「マシマ、ちょっと一階に行ってくるね。すぐ帰ってくるから」
聞いちゃいないだろうけど、念のためマシマに声をかけて部屋を出る。
侍女根性で追いかけられたらたまらない。
部屋を出るとすぐそこに階段があり、私はギシギシと鳴く階段で音を出さないように気を付けながら階段を降りた。
下はミス・クロウの言う通り、テトの体で念視で見たのと同じ部屋。
確か、キッチンはこっちのはず。
あ、あったキッチン。えーっとボウルは……あった。
タオルは……どこにあるかわからないし、魔法で創り出す。
さあ、二階に戻ろう……と思ったその時、ドンドン!と、玄関のドアを壊さんばかりに叩く音がする。
誰だろう……ミス・クロウに開けるなって言われてるしな……。
でも、もしも道に迷った人とか、私たちみたいにエルフに捕まりそうになって逃げて来た人たちだったら?
のぞき窓だけ確認しよう。
そーっと足音を立てないように玄関のドアに近づく。
のぞき窓に、目の焦点を合わせた。
粟色の髪……何か見覚えがある。くぐもっているけど、ドア越しに聞こえる
「助けてください!助けてください!」
というこの声は……。
エレンだ。
ミス・クロウの言いつけなんて忘れて、すぐにドアのカギを開ける。
だって、エレンが助けを求めている!
ここで助けなくって、何が一国の姫だ。
外開きのドアを、エレンに当たらないように注意して開ける。
「エレン!どうしたの、大丈夫!?」
エレンと目が合う。エレンの口から
「ミー……シャ……様……?」
と言葉が滑り落ちる。
「ええ、そうよ。大丈夫?怪我はない?」
心配すぎて、両肩をつかんで揺さぶる。
頭のてっぺんから足の先まで舐めるように見回す。
あれ……?ガーウェン家から逃げて来たんじゃないの……?
真っ黒の暗殺者みたいな服着て、同じ黒いグローブをした手で、持っているのはナイフ……?どういうこと……?
すると我に返ったエレンが突然ナイフを持っていない方の手で、私をドン!と突き飛ばした。
後ろに倒れる体に抗えず、ただ茫然とエレンを見つめるしかない中、聞こえたのは……。
「ごめんなさいっ……!」
という、悲痛そうなエレンの声だった。
さっきからずっとそれが頭の中を駆け回っている。
ミス・クロウからマシマの事を任されたけれど、マシマは苦しんでいる上に意識がない。
今マシマにしてやれるのは汗を拭いて、寝苦しそうな侍女服を脱がしてやることだ。
ということで早速、マシマのおカタいエプロンを取り、首元を締めるシャツの第一ボタンを外してみる。
すると、ほんの少しだけだが楽になったようで、相変わらず息は荒いものの、目元のしわが一本減ったような気がした。
さあ次は汗をぬぐってやるための水入りのボウルとタオルを取りに行こう。
一階にならあるだろう。
「マシマ、ちょっと一階に行ってくるね。すぐ帰ってくるから」
聞いちゃいないだろうけど、念のためマシマに声をかけて部屋を出る。
侍女根性で追いかけられたらたまらない。
部屋を出るとすぐそこに階段があり、私はギシギシと鳴く階段で音を出さないように気を付けながら階段を降りた。
下はミス・クロウの言う通り、テトの体で念視で見たのと同じ部屋。
確か、キッチンはこっちのはず。
あ、あったキッチン。えーっとボウルは……あった。
タオルは……どこにあるかわからないし、魔法で創り出す。
さあ、二階に戻ろう……と思ったその時、ドンドン!と、玄関のドアを壊さんばかりに叩く音がする。
誰だろう……ミス・クロウに開けるなって言われてるしな……。
でも、もしも道に迷った人とか、私たちみたいにエルフに捕まりそうになって逃げて来た人たちだったら?
のぞき窓だけ確認しよう。
そーっと足音を立てないように玄関のドアに近づく。
のぞき窓に、目の焦点を合わせた。
粟色の髪……何か見覚えがある。くぐもっているけど、ドア越しに聞こえる
「助けてください!助けてください!」
というこの声は……。
エレンだ。
ミス・クロウの言いつけなんて忘れて、すぐにドアのカギを開ける。
だって、エレンが助けを求めている!
ここで助けなくって、何が一国の姫だ。
外開きのドアを、エレンに当たらないように注意して開ける。
「エレン!どうしたの、大丈夫!?」
エレンと目が合う。エレンの口から
「ミー……シャ……様……?」
と言葉が滑り落ちる。
「ええ、そうよ。大丈夫?怪我はない?」
心配すぎて、両肩をつかんで揺さぶる。
頭のてっぺんから足の先まで舐めるように見回す。
あれ……?ガーウェン家から逃げて来たんじゃないの……?
真っ黒の暗殺者みたいな服着て、同じ黒いグローブをした手で、持っているのはナイフ……?どういうこと……?
すると我に返ったエレンが突然ナイフを持っていない方の手で、私をドン!と突き飛ばした。
後ろに倒れる体に抗えず、ただ茫然とエレンを見つめるしかない中、聞こえたのは……。
「ごめんなさいっ……!」
という、悲痛そうなエレンの声だった。
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