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五章
30.再会編④<開拓その二>
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◆
テトとクローデンの再会から、遡ること二十分前
◆
「姫様、ここ、何処なんでしょう?」
「さぁ……」
私とマシマはあの後エルフ隊に連れられてエルフの里に入った。
エルフの里でも人は珍しいらしくて、すごくじろじろ見られた。
エルフの里の中心には、どうやら『世界樹』と呼ばれているらしい大きな樹があった。
そして今、私達二人はその『世界樹』の中に居る。
樹の様に見えるのは外側だけらしく、内側はまるで、全面ガラス張りの様に里が一望できた。
「すごい……まるで全部宝石みたい……」
建物すべてがクリスタルで出来ているみたいな内側は、あるもの全てがクリスタルで出来ている様で、自分が映るほどだった。
そして、自分の目の前にある大きな扉。
ウチの城よりずっと煌びやかなドアだ。
「さぁこの扉の先が王の御前だ。普通はたかが侵入者が王の御前にまみえるなどありえんことだぞ。ありがたく思え!」
「はい」
マシマは縄で縛られたままエルフの人たちにつれられているけど、図分不満そうだ。
「それと、この黒髪の方は王の前で暴れたらいかん黒髪の方はここで待て」
「はぁ!?」
「はい、わかりました。マシマ、ここで待っててね」
マシマが居ないのはかなり不安だけど、私もいずれ国の要となる人間……。
外交の練習だと思って頑張ろう。
「姫様、お待ちください!中で何があるかわかりません!」
「おい貴様!それは王に対する侮辱に値するぞ!」
エルフの方とマシマが何か言い争いしてるけど……。
私は大きな扉に、手を掛けた。
◆
見えた景色は壮大だった。
全て氷で出来ているような、透明な壁や玉座が光の屈折でキラキラと輝く。
その輝く玉座に、透けるように美しい黄金の髪を流し、クリスタルのような色白の肌の女性が座っていた。
その女性の頭には、各色の宝石で彩られた王冠がのっている。
「どうしたのミーシャ?」
しゃべった!?
もしかしてミーシャ、何も説明せず念視したんじゃ……?
「大丈夫?」
なにか……何か話さなければ……!
「は……初めまして?」
話せた!
念視っててっきり目だけだと思ってたけど、喋れるんだ!
「もしかして、貴方が『テト』さん!?」
突然女性が僕(ミーシャの体)を前のめりに見つめてきた。
「えと……はい?」
久しぶりにニンゲンの姿で話すの楽しい!
「貴方がテトなのね!本当な猫さんなのでしょう!?早く会いたいわ!」
「んーっと……どなた?」
なんかこの人、ミーシャに似たものを感じるな……。
「あら……ごめんなさい、えっと、私はリーディア。エルフの里の女王よ」
女王!通りで王冠……。
「あの、ミーシャとマシマは……」
「大丈夫。ちゃんと二人は正式な客人として扱われているわ。テトさんは……今どこにいるの?」
あ、そうだ僕、体はクローデンのところにあるんだ……。
ってことは今ミーシャが見てるのはニンゲン版クローデン!?
「テトさん、あなたは今どこにいるの?……あら、どうしたの大丈夫?」
「あ、ごめんなさい、今はクロ…じゃなくてミス・クロウのところに……」
『ちょっとテト~?そろそろ念視が切れるけど!』
(えっうそ!?)
「ごめんリーディア様!また後で!」
言った途端に視界がぐるんと回転して……。
次の瞬間見えたのはミス・クロウの姿をしたクローデンだった。
「おかえり~」
頼むからやめてくれ、その声と姿で僕に話しかけるな。
「ニャ?(もしかして、その格好でミーシャと話したの?)」
「当たり前だ。男の格好で話したら、ミス・クロウの姿で会ったとき面倒だろ?」
「ニャー……(そりゃそうだけど……)」
あっという間に女の姿に慣れた友人は見たくないぞ……。
『テト~、リーディアと話せた?』
(うん、話せたよ)
『テトは今、ミス・クロウに保護されているんだよね?じゃあ二人?でエルフの里まで来てくれる?』
(え、なんで?)
『ここに来た目的を忘れたの?食料が欲しいんだもん、森に棲んでいるエルフの方々に許可を取らなきゃ』
と、いうわけで。
「どうしたテト?」
「ニャーオ(ミーシャが来いってさ)」
僕らはエルフの里に出向くことになった。
テトとクローデンの再会から、遡ること二十分前
◆
「姫様、ここ、何処なんでしょう?」
「さぁ……」
私とマシマはあの後エルフ隊に連れられてエルフの里に入った。
エルフの里でも人は珍しいらしくて、すごくじろじろ見られた。
エルフの里の中心には、どうやら『世界樹』と呼ばれているらしい大きな樹があった。
そして今、私達二人はその『世界樹』の中に居る。
樹の様に見えるのは外側だけらしく、内側はまるで、全面ガラス張りの様に里が一望できた。
「すごい……まるで全部宝石みたい……」
建物すべてがクリスタルで出来ているみたいな内側は、あるもの全てがクリスタルで出来ている様で、自分が映るほどだった。
そして、自分の目の前にある大きな扉。
ウチの城よりずっと煌びやかなドアだ。
「さぁこの扉の先が王の御前だ。普通はたかが侵入者が王の御前にまみえるなどありえんことだぞ。ありがたく思え!」
「はい」
マシマは縄で縛られたままエルフの人たちにつれられているけど、図分不満そうだ。
「それと、この黒髪の方は王の前で暴れたらいかん黒髪の方はここで待て」
「はぁ!?」
「はい、わかりました。マシマ、ここで待っててね」
マシマが居ないのはかなり不安だけど、私もいずれ国の要となる人間……。
外交の練習だと思って頑張ろう。
「姫様、お待ちください!中で何があるかわかりません!」
「おい貴様!それは王に対する侮辱に値するぞ!」
エルフの方とマシマが何か言い争いしてるけど……。
私は大きな扉に、手を掛けた。
◆
見えた景色は壮大だった。
全て氷で出来ているような、透明な壁や玉座が光の屈折でキラキラと輝く。
その輝く玉座に、透けるように美しい黄金の髪を流し、クリスタルのような色白の肌の女性が座っていた。
その女性の頭には、各色の宝石で彩られた王冠がのっている。
「どうしたのミーシャ?」
しゃべった!?
もしかしてミーシャ、何も説明せず念視したんじゃ……?
「大丈夫?」
なにか……何か話さなければ……!
「は……初めまして?」
話せた!
念視っててっきり目だけだと思ってたけど、喋れるんだ!
「もしかして、貴方が『テト』さん!?」
突然女性が僕(ミーシャの体)を前のめりに見つめてきた。
「えと……はい?」
久しぶりにニンゲンの姿で話すの楽しい!
「貴方がテトなのね!本当な猫さんなのでしょう!?早く会いたいわ!」
「んーっと……どなた?」
なんかこの人、ミーシャに似たものを感じるな……。
「あら……ごめんなさい、えっと、私はリーディア。エルフの里の女王よ」
女王!通りで王冠……。
「あの、ミーシャとマシマは……」
「大丈夫。ちゃんと二人は正式な客人として扱われているわ。テトさんは……今どこにいるの?」
あ、そうだ僕、体はクローデンのところにあるんだ……。
ってことは今ミーシャが見てるのはニンゲン版クローデン!?
「テトさん、あなたは今どこにいるの?……あら、どうしたの大丈夫?」
「あ、ごめんなさい、今はクロ…じゃなくてミス・クロウのところに……」
『ちょっとテト~?そろそろ念視が切れるけど!』
(えっうそ!?)
「ごめんリーディア様!また後で!」
言った途端に視界がぐるんと回転して……。
次の瞬間見えたのはミス・クロウの姿をしたクローデンだった。
「おかえり~」
頼むからやめてくれ、その声と姿で僕に話しかけるな。
「ニャ?(もしかして、その格好でミーシャと話したの?)」
「当たり前だ。男の格好で話したら、ミス・クロウの姿で会ったとき面倒だろ?」
「ニャー……(そりゃそうだけど……)」
あっという間に女の姿に慣れた友人は見たくないぞ……。
『テト~、リーディアと話せた?』
(うん、話せたよ)
『テトは今、ミス・クロウに保護されているんだよね?じゃあ二人?でエルフの里まで来てくれる?』
(え、なんで?)
『ここに来た目的を忘れたの?食料が欲しいんだもん、森に棲んでいるエルフの方々に許可を取らなきゃ』
と、いうわけで。
「どうしたテト?」
「ニャーオ(ミーシャが来いってさ)」
僕らはエルフの里に出向くことになった。
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