27 / 86
五章
28.再会編②<正体>
しおりを挟む
取り敢えずただの猫のフリして、このミス・クロウさんに森に放してもらおう!
まぁ、まずは地面に降ろしてもらいたいんだけど…?
…ミス・クロウ、腕の力強すぎだろ!
精一杯身体伸ばして逃げようとしても全然抜けないし!
しかも、どんどんと歩いて行ってしまう。
少しすると、小さな緑色のこじんまりとした屋敷が見えてきた。
ミス・クロウが片手で僕を持ち、もう片方の手の指を振ると、家のドアが勝手に開いた。
ミス・クロウは当たり前のことながら家に入っていった。
どうにか逃げなければと考えているうちにドアは閉まり、家中のライトがつく。
ミス・クロウが僕を床に降ろしてくれた。
「よいしょっと……」
「ニャッ(おっ……と)」
取り敢えず猫のフリ……猫のフリ……。
「ニャァ~ン(にゃぁ~ん)」
「ぷっ……」
突然ミス・クロウが吹き出して笑った。
「ふふっ……まだわかんねぇの?」
美人なのに、男みたいに笑う。
うん、何かがおかしい。
フンフンと匂いを嗅いでみる。
「ニャァッ……!?(あっ、お前はもしかして……!?)」
ミス・クロウがニヤリと笑う。
やっぱりこの笑い方……!
「ニャー!(クローデン・クラウス!)」
「ピーンポーン!」
ニヤニヤニヤニヤとミス・クロウ……いや、クローデンが笑う。
生きてたんじゃないか。心配して損した。
途端に肩の力がふっと抜ける。
「ははっ、死んだと思ってたろ?残念でした~」
「ニャー(ウルサイ。取り敢えず女の格好で男みたいに笑うにやめろ)」
せっかく綺麗なのに中身がクローデンだと残念すぎる。
「お、すまんすまん」
クローデンがまた指を一振りする。
すると、クローデンの身体が光に包まれて、次の瞬間には女から男に変わっていた。
神界でよく見た、無駄にイケメンな姿だ。
黒髪サラッサラ。
「ニャー?(ていうかお前、なんでニンゲン界で人型とれるんだ?)」
たしか、ニンゲン界は神通力がかなり減少するはず……。
人型なんてとればあっという間にエネルギー切れになる。
「あぁそれはな、ツクヨミ様からこの家に直接神通力が送られているからだ」
は、ツクヨミ様から神通力を?なんで?
「なんで?って顔してるな。何故かは俺も知らない。ただ私は、ミーシャを守るためのこの世界に来て、一度ミスって死んで、天界に戻った。それでその後任となるテトラの手助けをするためにここに来たんだ」
ふむ……?
「ニャー(とすると、僕の仕事もミーシャを守る事なんだね。ミスって死んだっていう時が『クロ』が死んだ時か……。あれ、つか僕、仕事じゃなくて勝負で馬に負けてここに来たんだけど?)」
「じゃあそれも含めて仕込みだったんじゃないか?確かにお前がこの世界に来た時、仲間の猫神達もいっぱい来たしな。だが詳しいことは何も、誰も知らされてないようだぞ」
へぇ……他にも猫神が居るのか……。
なら、連絡がとれるようにした方がいいかもな……。
「ただ、敵は魔族だけじゃない」
「ニャ?(え?)」
魔族だけじゃない……?
「寧ろ、魔族がミーシャを狙う理由が関係しているんだ」
「ニャー?(と、いうと?)」
「いいか、敵は……」
部屋の奥でピーッ!と高い音がした。
すごく大切なところで言葉を切るな!
「すまん、湯が沸いたようだ。私は珈琲を飲むが、テトラは……」
「ニャー!(飲まない!でもクッキーは頂戴!)」
「ふっ、甘いもの好きのままなんだな」
クローデンがまた指を一振りすると、キッチンらしき方向からフヨフヨと珈琲とクッキーが空中を浮遊してきた。
「はい、お望み通りクッキーをどうぞ?」
無視してもくもくとクッキーを貪る。
お礼は絶対言わない。
今になって死んだと思って僕に心配をかけた事にムカついてきた。
クッキーは最高においしいが、クローデンは僕がこの世界に来た時点で現れなかったし、なんだか騙され気分だからお礼は言わない!
「ニャー!?(で!敵は誰なの!?)」
「何を怒っているんだ」と笑いながらクローデンは小粋に珈琲を嗜む。
結局敵は誰なんだよ!
「ええと、敵の話だったか?敵は、アマテラスだぞ」
まぁ、まずは地面に降ろしてもらいたいんだけど…?
…ミス・クロウ、腕の力強すぎだろ!
精一杯身体伸ばして逃げようとしても全然抜けないし!
しかも、どんどんと歩いて行ってしまう。
少しすると、小さな緑色のこじんまりとした屋敷が見えてきた。
ミス・クロウが片手で僕を持ち、もう片方の手の指を振ると、家のドアが勝手に開いた。
ミス・クロウは当たり前のことながら家に入っていった。
どうにか逃げなければと考えているうちにドアは閉まり、家中のライトがつく。
ミス・クロウが僕を床に降ろしてくれた。
「よいしょっと……」
「ニャッ(おっ……と)」
取り敢えず猫のフリ……猫のフリ……。
「ニャァ~ン(にゃぁ~ん)」
「ぷっ……」
突然ミス・クロウが吹き出して笑った。
「ふふっ……まだわかんねぇの?」
美人なのに、男みたいに笑う。
うん、何かがおかしい。
フンフンと匂いを嗅いでみる。
「ニャァッ……!?(あっ、お前はもしかして……!?)」
ミス・クロウがニヤリと笑う。
やっぱりこの笑い方……!
「ニャー!(クローデン・クラウス!)」
「ピーンポーン!」
ニヤニヤニヤニヤとミス・クロウ……いや、クローデンが笑う。
生きてたんじゃないか。心配して損した。
途端に肩の力がふっと抜ける。
「ははっ、死んだと思ってたろ?残念でした~」
「ニャー(ウルサイ。取り敢えず女の格好で男みたいに笑うにやめろ)」
せっかく綺麗なのに中身がクローデンだと残念すぎる。
「お、すまんすまん」
クローデンがまた指を一振りする。
すると、クローデンの身体が光に包まれて、次の瞬間には女から男に変わっていた。
神界でよく見た、無駄にイケメンな姿だ。
黒髪サラッサラ。
「ニャー?(ていうかお前、なんでニンゲン界で人型とれるんだ?)」
たしか、ニンゲン界は神通力がかなり減少するはず……。
人型なんてとればあっという間にエネルギー切れになる。
「あぁそれはな、ツクヨミ様からこの家に直接神通力が送られているからだ」
は、ツクヨミ様から神通力を?なんで?
「なんで?って顔してるな。何故かは俺も知らない。ただ私は、ミーシャを守るためのこの世界に来て、一度ミスって死んで、天界に戻った。それでその後任となるテトラの手助けをするためにここに来たんだ」
ふむ……?
「ニャー(とすると、僕の仕事もミーシャを守る事なんだね。ミスって死んだっていう時が『クロ』が死んだ時か……。あれ、つか僕、仕事じゃなくて勝負で馬に負けてここに来たんだけど?)」
「じゃあそれも含めて仕込みだったんじゃないか?確かにお前がこの世界に来た時、仲間の猫神達もいっぱい来たしな。だが詳しいことは何も、誰も知らされてないようだぞ」
へぇ……他にも猫神が居るのか……。
なら、連絡がとれるようにした方がいいかもな……。
「ただ、敵は魔族だけじゃない」
「ニャ?(え?)」
魔族だけじゃない……?
「寧ろ、魔族がミーシャを狙う理由が関係しているんだ」
「ニャー?(と、いうと?)」
「いいか、敵は……」
部屋の奥でピーッ!と高い音がした。
すごく大切なところで言葉を切るな!
「すまん、湯が沸いたようだ。私は珈琲を飲むが、テトラは……」
「ニャー!(飲まない!でもクッキーは頂戴!)」
「ふっ、甘いもの好きのままなんだな」
クローデンがまた指を一振りすると、キッチンらしき方向からフヨフヨと珈琲とクッキーが空中を浮遊してきた。
「はい、お望み通りクッキーをどうぞ?」
無視してもくもくとクッキーを貪る。
お礼は絶対言わない。
今になって死んだと思って僕に心配をかけた事にムカついてきた。
クッキーは最高においしいが、クローデンは僕がこの世界に来た時点で現れなかったし、なんだか騙され気分だからお礼は言わない!
「ニャー!?(で!敵は誰なの!?)」
「何を怒っているんだ」と笑いながらクローデンは小粋に珈琲を嗜む。
結局敵は誰なんだよ!
「ええと、敵の話だったか?敵は、アマテラスだぞ」
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした
葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。
でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。
本編完結済みです。時々番外編を追加します。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。
桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」
この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。
※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。
※1回の投稿文字数は少な目です。
※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。
表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
1ページの文字数は少な目です。
約4500文字程度の番外編です。
バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`)
ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑)
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる