上 下
23 / 86
五章

24.お説教

しおりを挟む
「んで~?何か言い訳はありますか、ミーシャさん?」

ここは王様の執務室。

絶賛お説教ナウ★って感じだ。

「ありません……」

あのスタイリッシュな王様がなっがい足を組んで、ニコニコしている。

この怒ったままでも笑顔な感じ、マシマタイプの人間だな。

「まぁ?あの状況での判断はよかった。確かにスミュル国の民とはいえ、人は人。救うという選択に間違いはない。ただね……ちゃんと周りの大人の力を借りなさい!ミーシャはまだ子供なんだから!」
「はい……」

しょぼくれモードのミーシャ。

そしてその隣にはマシマ。

「マシマさん!」
「はい」
「貴女は四つ問題行動があります。その一、三人と一匹だけで行くという判断が間違ってます。その二、エレン・ガーウェンが襲われた時点で帰って来なさい。その三、それに王城に突っ込むなんてもってのほか!その四、勝手にスミュル国貰ってこないで下さい!」
「まず一つ目ですが、決めたのはシャーレンです。二つ目、退路はありませんでした。三つ目、もはやその選択以外に選べる道がありません。四つ目、スミュル国との冷戦状態に納得していなかったの貴方も同じはずです」

マシマはすっと、まるで何事もなかったかのように言う。

「っ~!わかりました。一つ目はシャーレンに言い聞かせておきます。二つ目も仕方ないでしょう。四つ目はなんかもう普通にありがとうございます!ただ三つ目です!貴女ほどの人がわざわざ王城に乗り込むなんて普通はしない!どうせ愛弟子と共闘してみたいとか思ってたんでしょう!」

王様は「ハー……ハー……」としゃべり疲れてしまっている。

「……まぁわくわくはししていましたね。そこに関しては反省しています」

いっそ清々しい程に悪びれもなく頭を下げるマシマ。

が、その頭はすぐ上がる。

「ですが陛下、まだ問題は山積みです。まずスミュルの復旧が必要です。次に、シャーレンがまだ動物です。そして……」

言い淀む。

ミーシャも、察したようにうつむいた。

「エレンの消息が不明です……」

マシマが絞り出すようにそう言った。

よどんだ空気に、沈黙が流れる。

「ま、まぁとりあえず!まずは復興!よし、みんな帰っていいよ!」

ぐいぐいと、ミーシャとマシマの背中を押して王様が僕らを部屋から追い出そうとしてくる。

「あ」

と、マシマが声を上げた。

「今からシャーレンのところに行きますが、何か伝えておくことはありますか?」

王様は少し悩んだ後、

「シャーレンちゃん愛してるって伝えておいて」
「嫌です。言い聞かせておくってさっきご自分で仰ってらしたじゃないですか」

マシマは冷たくドアを閉めると、ミーシャに向かって

「さぁ、行きましょうか」

と、にっこり微笑んだ。

「うん、そうだね!」

と、ミーシャも笑う。

ねぇ、二人ともわりと僕の事無視してない?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】誰にも相手にされない壁の華、イケメン騎士にお持ち帰りされる。

三園 七詩
恋愛
独身の貴族が集められる、今で言う婚活パーティーそこに地味で地位も下のソフィアも参加することに…しかし誰にも話しかけらない壁の華とかしたソフィア。 それなのに気がつけば裸でベッドに寝ていた…隣にはイケメン騎士でパーティーの花形の男性が隣にいる。 頭を抱えるソフィアはその前の出来事を思い出した。 短編恋愛になってます。

婚約者が、私より従妹のことを信用しきっていたので、婚約破棄して譲ることにしました。どうですか?ハズレだったでしょう?

珠宮さくら
恋愛
婚約者が、従妹の言葉を信用しきっていて、婚約破棄することになった。 だが、彼は身をもって知ることとになる。自分が選んだ女の方が、とんでもないハズレだったことを。 全2話。

ガーデン・オブ・ガーディアン 〜Forbidden flower garden〜

サムソン・ライトブリッジ
ファンタジー
この世界では昔から原因不明である人々が突然に行方不明になる事件が多発していた。 四つに分かれた大陸の一つ、東大陸にある田舎街ではそんな事はいざ知らず、地元ではその頭の悪さから粗大ゴミと馬鹿にされている赤髪の男『バッジョ』は、昔からの親友であり相棒とも呼べる男『ディーノ』にそそのかされ、遥か昔から伝わる伝説の地『禁断の花園』へと目指すことなる。 そこに行けばありとあらゆる願いが叶うと言われるが、その道中には数々の困難、『逸脱』と呼ばれる異能の力を持った敵が壁となって二人の前に立ちふさがる。 時を同じくして、東西南北に別れた大陸では様々な冒険者が禁断の花園を目指していた。野望のまま己が願いを叶えるため挑む者、突然に生き別れた肉親の再会を望む者、かつての故郷を再現するために人の世の理を覆そうとする者、そして自身の失われた記憶を取り戻そうとする者。 ──しかし、そこに待っていたのは『禁断の花園』を守る四人の『禁断の守護者』であった……。

幸せなお飾りの妻になります!

風見ゆうみ
恋愛
私、アイリス・ノマド男爵令嬢は、幼い頃から家族のイタズラ癖に悩まされ、少しでも早く自立しようと考えていた。 婚約者のロバート・デヴァイスと、家族と共に出席した夜会で、ロバートから突然、婚約破棄を宣言された上に、私の妹と一緒になりたいと言われてしまう。 ショックで会場を出ようとすると引き止められ、さっきの発言はいつものイタズラだと言われる。 イタズラにも程があると会場を飛び出した私の前に現れたのは、パーティーの主催者であるリアム・マオニール公爵だった。 一部始終を見ていた彼は、お飾りの妻を探しているといい、家族から逃げ出したかった私は彼の元へと嫁ぐ事になった。 屋敷の人もとても優しくて、こんなに幸せでいいの? 幸せを感じていたのも束の間、両親や妹、そして元婚約者が私に戻ってこいと言い出しはじめて――。 今更、後悔されても知らないわ! ※作者独自の異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。 ※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。

妹しか愛していない母親への仕返しに「わたくしはお母様が男に無理矢理に犯されてできた子」だと言ってやった。

ラララキヲ
ファンタジー
「貴女は次期当主なのだから」  そう言われて長女のアリーチェは育った。どれだけ寂しくてもどれだけツラくても、自分がこのエルカダ侯爵家を継がなければいけないのだからと我慢して頑張った。  長女と違って次女のルナリアは自由に育てられた。両親に愛され、勉強だって無理してしなくてもいいと甘やかされていた。  アリーチェはそれを羨ましいと思ったが、自分が長女で次期当主だから仕方がないと納得していて我慢した。  しかしアリーチェが18歳の時。  アリーチェの婚約者と恋仲になったルナリアを、両親は許し、二人を祝福しながら『次期当主をルナリアにする』と言い出したのだ。  それにはもうアリーチェは我慢ができなかった。  父は元々自分たち(子供)には無関心で、アリーチェに厳し過ぎる教育をしてきたのは母親だった。『次期当主だから』とあんなに言ってきた癖に、それを簡単に覆した母親をアリーチェは許せなかった。  そして両親はアリーチェを次期当主から下ろしておいて、アリーチェをルナリアの補佐に付けようとした。  そのどこまてもアリーチェの人格を否定する考え方にアリーチェの心は死んだ。  ──自分を愛してくれないならこちらもあなたたちを愛さない──  アリーチェは行動を起こした。  もうあなたたちに情はない。   ───── ◇これは『ざまぁ』の話です。 ◇テンプレ [妹贔屓母] ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾もあるかも。 ◇なろうにも上げてます。 ※HOTランキング〔2位〕(4/19)☆ファンタジーランキング〔1位〕☆入り、ありがとうございます!!

【完結】双子の伯爵令嬢とその許婚たちの物語

ひかり芽衣
恋愛
伯爵令嬢のリリカとキャサリンは二卵性双生児。生まれつき病弱でどんどん母似の美女へ成長するキャサリンを母は溺愛し、そんな母に父は何も言えない……。そんな家庭で育った父似のリリカは、とにかく自分に自信がない。幼い頃からの許婚である伯爵家長男ウィリアムが心の支えだ。しかしある日、ウィリアムに許婚の話をなかったことにして欲しいと言われ…… リリカとキャサリン、ウィリアム、キャサリンの許婚である公爵家次男のスターリン……彼らの物語を一緒に見守って下さると嬉しいです。 ⭐︎2023.4.24完結⭐︎ ※2024.2.8~追加・修正作業のため、2話以降を一旦非公開にしていました。  →2024.3.4再投稿。大幅に追加&修正をしたので、もしよければ読んでみて下さい(^^)

神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜

シュガーコクーン
ファンタジー
 女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。  その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!  「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。  素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯ 旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」  現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。

異世界転生令嬢、出奔する

猫野美羽
ファンタジー
※書籍化しました(2巻発売中です) アリア・エランダル辺境伯令嬢(十才)は家族に疎まれ、使用人以下の暮らしに追いやられていた。 高熱を出して粗末な部屋で寝込んでいた時、唐突に思い出す。 自分が異世界に転生した、元日本人OLであったことを。 魂の管理人から授かったスキルを使い、思い入れも全くない、むしろ憎しみしか覚えない実家を出奔することを固く心に誓った。 この最強の『無限収納EX』スキルを使って、元々は私のものだった財産を根こそぎ奪ってやる! 外見だけは可憐な少女は逞しく異世界をサバイバルする。

処理中です...