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四章
18.スミュル編④<ガーウェン家>
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荷馬車が止まる前にエレンが荷馬車を駆け下りる。
「ダディ!マミィ!みんな!ただいま!」
その言葉に洋館の庭に出ていた使用人やエレンの父や母らしき人が反応する。
「エレン!お帰り!」
「お帰りなさいエレン!」
「お嬢様!お帰りなさいませ!」
そのエレンの後を、止まった荷馬車から降りてきた僕たちが続く。
僕らに気付いたエレンの父母が
「「ようこそ我が家へ!ミーシャ様御一行!」」
と、歓迎してくれた。
侍女や執事たちがずらりと並んで出迎える。
「スティラフィル国とスミュル国は敵対関係ですが、エレンが選んだ主なら話は別。我が家ではごゆるりとお過ごし下さい。」
あまりの歓迎にあわあわとしているミーシャの横でマシマが
「歓迎ありがとうございます。返礼と言っては難ですが、我が国の名産品です。どうぞお納めください」
とワインやらなんやらを差し出していた。
そんな一連のやり取りが終わり、僕とミーシャに一部屋、マシマに一部屋を貸りて、早速休憩に入った。
「ふう……長旅だったね、テト」
「ニャー(そうだね)」
すると、コンコン、とドアがノックされた。
「エレンです。少し良いですか?」
「どうぞ」
「失礼します」
珍しい事に、エレンが真面目な顔して入ってくる。
「ミーシャ様、念のためにですが、もしもスミュル国の者が我が家に入って来た時のために……」
神妙な顔をしたエレンがおしえてくれたのは
ベッドの下の脱出口だった。
「この脱出口からはウチの裏庭に出ます。ウチの裏庭は森で、まっすぐ行けばスティラフィル国に着きます」
マシマにも同じ説明をしたそうだ。
まぁそんなことだと思っていたが、その脱出口を使うことになったのはエレンの家にお世話になってから三日程立った日の事だった。
その日、僕とミーシャとマシマとエレンは一つの部屋で遂に海水を取りに行く準備をしていた。その時、部屋の窓から玄関ドアを壊さんばかりに激しくノックする音が聞こえた。
威嚇するような声で「こちらは王国騎士団だ!この家の娘に反逆者の疑いが掛かっている!エレン・ガーウェンを出せ!」と言っているのが分かる。
目に見えて全員が焦る中エレンが無言でスッと立ち上がった。
「私が食い止めます。皆さんは逃げてください!」
エレンの言葉にこくりとマシマが頷く。
「待って!エレンだけ残していくなんて出来ないよ!」
ミーシャが噛みつくようにマシマを睨みつける。
「ニャー(逃げなきゃいけないのわかるだろ!?)」
「でもエレンを置いてくなんてダメ!」
解決口の見えない口喧嘩に、まさかの、マシマが……キレた。
「解れ!お前は姫なんだよ!逃げなきゃいけねぇんだよ!」
おぉ出た、下町バージョン・マシマ。
今まで見たことの無いマシマにミーシャが怯えている。
「ごっ、ごめんなさい……」
ミーシャの言葉に、マシマも『あぁ、やってしまった』という顔をしている。
「……言いすぎました。申し訳ありません」
決まり悪そうに言うマシマにぱぁっとミーシャの顔が輝いた。
「じゃあエレンを連れて……!」
そう言うミーシャにマシマは必殺・忍者でミーシャの正面に一瞬で入ると腹パンをかました。
「えっ……」
くたりと倒れていくミーシャをマシマが抱きかかえると、エレンの方を見る。
「エレンはここに残って私達はそもそもここに来ていないことにして下さい」
「わかりました」
頷くエレンにマシマは強く頷き返すと、僕を抱き上げて脱出口に飛び込んだ。
それはもう、勢いよく。
後ろ手にエレンが、入り口を閉めたのが分かる。
バタバタした音から、きっと部屋に騎士団が入ってきたのだろう。
暗い脱出口はうねうねと捻じ曲がる滑り台の様だ。
僕抱き締めるマシマの腕が痛い。
何度も曲がった先にうっすらと光が見えた。
その光は次第に大きくなり、目の前が光で覆われた。屋敷の外だ。
マシマの見事すぎる着地で、一瞬で立ち上がった。さすがマシマ。
その時、ガラッと屋敷の二階の窓が開いた。
「あっ、あそこだ!行くぞ!」
騎士が窓から身を乗り出して僕たちを指す。
そのまま飛び出そうとする騎士が後ろにバタリと倒れた。
「マシマ先輩!逃げて!」
エレンだ。だがすぐに「キャーッ!」という声と共に屋敷に消えた。
見上げると、悔しそうに唇をかむマシマが見えた。
「……ニャー(……行こう)」
マシマには僕の言っていることは伝わっていないはずだけど、ニュアンス的には伝わっているらしく、マシマは僕を見てしっかり頷いた。
「ダディ!マミィ!みんな!ただいま!」
その言葉に洋館の庭に出ていた使用人やエレンの父や母らしき人が反応する。
「エレン!お帰り!」
「お帰りなさいエレン!」
「お嬢様!お帰りなさいませ!」
そのエレンの後を、止まった荷馬車から降りてきた僕たちが続く。
僕らに気付いたエレンの父母が
「「ようこそ我が家へ!ミーシャ様御一行!」」
と、歓迎してくれた。
侍女や執事たちがずらりと並んで出迎える。
「スティラフィル国とスミュル国は敵対関係ですが、エレンが選んだ主なら話は別。我が家ではごゆるりとお過ごし下さい。」
あまりの歓迎にあわあわとしているミーシャの横でマシマが
「歓迎ありがとうございます。返礼と言っては難ですが、我が国の名産品です。どうぞお納めください」
とワインやらなんやらを差し出していた。
そんな一連のやり取りが終わり、僕とミーシャに一部屋、マシマに一部屋を貸りて、早速休憩に入った。
「ふう……長旅だったね、テト」
「ニャー(そうだね)」
すると、コンコン、とドアがノックされた。
「エレンです。少し良いですか?」
「どうぞ」
「失礼します」
珍しい事に、エレンが真面目な顔して入ってくる。
「ミーシャ様、念のためにですが、もしもスミュル国の者が我が家に入って来た時のために……」
神妙な顔をしたエレンがおしえてくれたのは
ベッドの下の脱出口だった。
「この脱出口からはウチの裏庭に出ます。ウチの裏庭は森で、まっすぐ行けばスティラフィル国に着きます」
マシマにも同じ説明をしたそうだ。
まぁそんなことだと思っていたが、その脱出口を使うことになったのはエレンの家にお世話になってから三日程立った日の事だった。
その日、僕とミーシャとマシマとエレンは一つの部屋で遂に海水を取りに行く準備をしていた。その時、部屋の窓から玄関ドアを壊さんばかりに激しくノックする音が聞こえた。
威嚇するような声で「こちらは王国騎士団だ!この家の娘に反逆者の疑いが掛かっている!エレン・ガーウェンを出せ!」と言っているのが分かる。
目に見えて全員が焦る中エレンが無言でスッと立ち上がった。
「私が食い止めます。皆さんは逃げてください!」
エレンの言葉にこくりとマシマが頷く。
「待って!エレンだけ残していくなんて出来ないよ!」
ミーシャが噛みつくようにマシマを睨みつける。
「ニャー(逃げなきゃいけないのわかるだろ!?)」
「でもエレンを置いてくなんてダメ!」
解決口の見えない口喧嘩に、まさかの、マシマが……キレた。
「解れ!お前は姫なんだよ!逃げなきゃいけねぇんだよ!」
おぉ出た、下町バージョン・マシマ。
今まで見たことの無いマシマにミーシャが怯えている。
「ごっ、ごめんなさい……」
ミーシャの言葉に、マシマも『あぁ、やってしまった』という顔をしている。
「……言いすぎました。申し訳ありません」
決まり悪そうに言うマシマにぱぁっとミーシャの顔が輝いた。
「じゃあエレンを連れて……!」
そう言うミーシャにマシマは必殺・忍者でミーシャの正面に一瞬で入ると腹パンをかました。
「えっ……」
くたりと倒れていくミーシャをマシマが抱きかかえると、エレンの方を見る。
「エレンはここに残って私達はそもそもここに来ていないことにして下さい」
「わかりました」
頷くエレンにマシマは強く頷き返すと、僕を抱き上げて脱出口に飛び込んだ。
それはもう、勢いよく。
後ろ手にエレンが、入り口を閉めたのが分かる。
バタバタした音から、きっと部屋に騎士団が入ってきたのだろう。
暗い脱出口はうねうねと捻じ曲がる滑り台の様だ。
僕抱き締めるマシマの腕が痛い。
何度も曲がった先にうっすらと光が見えた。
その光は次第に大きくなり、目の前が光で覆われた。屋敷の外だ。
マシマの見事すぎる着地で、一瞬で立ち上がった。さすがマシマ。
その時、ガラッと屋敷の二階の窓が開いた。
「あっ、あそこだ!行くぞ!」
騎士が窓から身を乗り出して僕たちを指す。
そのまま飛び出そうとする騎士が後ろにバタリと倒れた。
「マシマ先輩!逃げて!」
エレンだ。だがすぐに「キャーッ!」という声と共に屋敷に消えた。
見上げると、悔しそうに唇をかむマシマが見えた。
「……ニャー(……行こう)」
マシマには僕の言っていることは伝わっていないはずだけど、ニュアンス的には伝わっているらしく、マシマは僕を見てしっかり頷いた。
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