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三章
12.パーティ開始②<カルラ編・後>
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「ねっ、姉ちゃん!」
えっ、「姉ちゃん」!?
「姉ちゃん、どうしてここに……?」
「どうしてって姫様の誕生パーティーなんだから居るだろうよ。カルラこそどうしてここに……?庭師の仕事は今日は休みだろ?」
どうやらこの男の人はカルラって名前で、マシマの弟らしい。
「その猫は姫様の猫なんだよ。そいつは人並みに頭がいいんだ。」
「人並みって、そんなわけ……」
いや僕をさっき疑っていたのあんたでしょ。
するとマシマはカルラに首をつかまれてる僕を抱っこして降ろして、僕に言った。
「テト、彼は私の弟のカルラよ。名前を書いてあげて」
いつも思うけどマシマいつもどこに書けって言ってるんだろう……。
仕方なく、地面に肉球で「カルラ、オトウトサン」と書いた。
書きおわると、あいかわらずお決まりの
「すごい!」
「ウソだ!」
「やっぱ人なんじゃ……」
みたいな反応がかえってきたので割愛。
そうして僕はカルラに猫だと認められた。
「カルラ、もういいかい?私はテトに用があって来てんだ」
え、そうなの?
「あぁ、いいよ。ただ僕はまだ人だと疑っているからな!」
「しょうもないこと言ってないで警備するなら警備しな!敵意のあるやつ一人でも入れるんじゃないよ!」
「わぁってるよ、姉ちゃんに叩き込まれたことは忘れたくても忘れねぇ」
するとカルラは
「じゃあな、テト」
と言って、真上にヒュッとジャンプした……と思ったんだけど、目で追ってたのに一瞬で消えた。
「あいつ……腕落ちたな。今度シメよ……」
マシマのそんな声が聞こえた時はまじでゾッとした。
あれで腕落ちたって……マシマ何者?
「さぁテト、姫様のこと知りません?逃げられました」
僕は無言で首を横に振った。
「そうですか……仕方ないですね、テト、匂いで追ってください」
匂いで追えって……犬じゃないんだから……まぁ出来るけど。
ていうかそれ、わざわざ匂いで追いかけなくてもマシマなら一発で見つけられるでしょ。
「っていうのは冗談で、姫様の居場所はわかってます。ただ、私が迎えに行くとあまりよろしくなさそうなので」
ん?どういうことだろう?
「ほら、行きますよ」
前をスタスタ歩いてくマシマを僕は慌てて追いかけた。
◆
私がヒマそうにしているとお父様が休んできていいよと言ってくれた。
本当は久しぶりにお母様と話したかったのだけれど、それはお父様も同じだと思うから、テトだけおいて来た。
部屋に戻るのも面倒だし、これといってやりたいこともないし、何しよっかな?
ふと思いついたのは調理場。
ずっと座っていたからお腹がすいていることを思い出した。
調理場に行くと、調理人の人達が大忙しで料理を作っている。
フルーツパイ、カヌレ、マドレーヌ、ショートケーキ……色々ある!
こっそりバレないように、持てるだけのお菓子を持った。
(お父様とお母様に持っていこう!)
私はそう思って広い廊下を歩いていくと中で小さな男の子が人混みの中歩いているのが見えた。
もしかして迷子になったんじゃ……?
私は慌ててお菓子を持ったまま追いかけた。
「ちょっと君!待って!!」
だけど追いかけるごとにどんどん男の子の足は速くなる。
何度もカドをまがって、ついに追いつけるかも……!
男の子がまがったカドをまがるとっ!
……何かとぶつかった。
お菓子を全て床にぶちまける。
「イタタ……」
「あの……大丈夫ですか?」
はっとして顔を上げる。
目の前には、十六、十七歳程の若い男の人が立っていた。
私とぶつかったであろう人だ。
「わぁぁ!すいません!あぁお菓子が……」
慌ててお菓子を拾い集めると、男の人も手伝ってくれた。
「はい、どうぞ」
「すいません……ありがとうございます、えっと……」
半数以上の貴族の名前を覚えたが、この人は見覚えがない。
「メイチェルです。メイチェル・スワイト」
えっ、「姉ちゃん」!?
「姉ちゃん、どうしてここに……?」
「どうしてって姫様の誕生パーティーなんだから居るだろうよ。カルラこそどうしてここに……?庭師の仕事は今日は休みだろ?」
どうやらこの男の人はカルラって名前で、マシマの弟らしい。
「その猫は姫様の猫なんだよ。そいつは人並みに頭がいいんだ。」
「人並みって、そんなわけ……」
いや僕をさっき疑っていたのあんたでしょ。
するとマシマはカルラに首をつかまれてる僕を抱っこして降ろして、僕に言った。
「テト、彼は私の弟のカルラよ。名前を書いてあげて」
いつも思うけどマシマいつもどこに書けって言ってるんだろう……。
仕方なく、地面に肉球で「カルラ、オトウトサン」と書いた。
書きおわると、あいかわらずお決まりの
「すごい!」
「ウソだ!」
「やっぱ人なんじゃ……」
みたいな反応がかえってきたので割愛。
そうして僕はカルラに猫だと認められた。
「カルラ、もういいかい?私はテトに用があって来てんだ」
え、そうなの?
「あぁ、いいよ。ただ僕はまだ人だと疑っているからな!」
「しょうもないこと言ってないで警備するなら警備しな!敵意のあるやつ一人でも入れるんじゃないよ!」
「わぁってるよ、姉ちゃんに叩き込まれたことは忘れたくても忘れねぇ」
するとカルラは
「じゃあな、テト」
と言って、真上にヒュッとジャンプした……と思ったんだけど、目で追ってたのに一瞬で消えた。
「あいつ……腕落ちたな。今度シメよ……」
マシマのそんな声が聞こえた時はまじでゾッとした。
あれで腕落ちたって……マシマ何者?
「さぁテト、姫様のこと知りません?逃げられました」
僕は無言で首を横に振った。
「そうですか……仕方ないですね、テト、匂いで追ってください」
匂いで追えって……犬じゃないんだから……まぁ出来るけど。
ていうかそれ、わざわざ匂いで追いかけなくてもマシマなら一発で見つけられるでしょ。
「っていうのは冗談で、姫様の居場所はわかってます。ただ、私が迎えに行くとあまりよろしくなさそうなので」
ん?どういうことだろう?
「ほら、行きますよ」
前をスタスタ歩いてくマシマを僕は慌てて追いかけた。
◆
私がヒマそうにしているとお父様が休んできていいよと言ってくれた。
本当は久しぶりにお母様と話したかったのだけれど、それはお父様も同じだと思うから、テトだけおいて来た。
部屋に戻るのも面倒だし、これといってやりたいこともないし、何しよっかな?
ふと思いついたのは調理場。
ずっと座っていたからお腹がすいていることを思い出した。
調理場に行くと、調理人の人達が大忙しで料理を作っている。
フルーツパイ、カヌレ、マドレーヌ、ショートケーキ……色々ある!
こっそりバレないように、持てるだけのお菓子を持った。
(お父様とお母様に持っていこう!)
私はそう思って広い廊下を歩いていくと中で小さな男の子が人混みの中歩いているのが見えた。
もしかして迷子になったんじゃ……?
私は慌ててお菓子を持ったまま追いかけた。
「ちょっと君!待って!!」
だけど追いかけるごとにどんどん男の子の足は速くなる。
何度もカドをまがって、ついに追いつけるかも……!
男の子がまがったカドをまがるとっ!
……何かとぶつかった。
お菓子を全て床にぶちまける。
「イタタ……」
「あの……大丈夫ですか?」
はっとして顔を上げる。
目の前には、十六、十七歳程の若い男の人が立っていた。
私とぶつかったであろう人だ。
「わぁぁ!すいません!あぁお菓子が……」
慌ててお菓子を拾い集めると、男の人も手伝ってくれた。
「はい、どうぞ」
「すいません……ありがとうございます、えっと……」
半数以上の貴族の名前を覚えたが、この人は見覚えがない。
「メイチェルです。メイチェル・スワイト」
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