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一章

3.許可もぎ取りにきましたが

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「陛下、マシマです。姫様のことで相談が…」

ドアをノックした後にマシマがそう言うと、「入れ」と中から声がした。

うをぉ!初★王様の執務室!

そして入った執務室で王様は、最奥の椅子に座っていた。

「どうしたのだ?」と言うその姿は、まるで天界の一番偉い神様の様だった。

凛としていて、なんとなく、シュッとした雰囲気と外見。

圧倒的美貌とどの神の心さえも掌握するカリスマ性。

何故偉いのか、その姿を見ればすぐに分かる。

(ただ、その分うちの神様は思い付きが突拍子もなく、かなり天然的だが。)

「陛下、姫がこの城に入り込んだ猫を飼いたいとおっしゃっているのですが…」
「いいよ~」

え?ダメじゃないの?

「シャーレンちゃんが良いって言ったらいいよ~」
「はぁ、そうおっしゃると思いました…。王妃様に確認をとって参ります」
「よろしくね~!」

ガチャッ…と部屋を出る。

どうやら、こっちの王様もうちの神様と同じくらい天然のきゃら?って奴らしい。

てゆうかあんな王様でよく今までこの国が支えられたな!

「はぁ…なんであれで国が持つのかしら…」
「ニャーオ(おつかれ)」
「あら、慰めてくれるの?猫ちゃん…可愛いわね。貴方がお利口さんなら、姫様が飼うのも良いかも知れないわね…」

ん?わりとマシマさん猫好き系?

「さぁ、王妃様の処に行きましょう!」
「ニー!(おー!)」

そしてついたは王妃様の部屋…のはずなんだけど…?

なんでメカニックルーム?

僕が突然のメカニックルームショックになっている中、マシマはずんずん進んでいく。

「王妃様、マシマです。入ります」

マシマは何故か王様のときの様に許可はとらないで入った。

開けたさきに有ったのは、見たこともない文明の機械や工具の山。

「おーい、シャーレン?マシマだぞ~!居るのか?」

ん?んんん?マシマが王妃様を呼び捨てにした上に言葉遣いすごく雑になってる!?

「んぁ、マシマ~?奥に居るから入ってきて~!」
「あいよ~!って…あいつまたあぶねぇもん増やしたな…?くっそ、増やすなっつったろ…」

ちょっと!?今小さい声で王妃様に悪態ついたよ!?

この人本当にマシマ!?別の人じゃない!?

ざくざくと工具等をかき分けて奥へ奥へと進む(マシマが)。

「おーいシャーレン!何処だ~?」
「マシマ~、ここだよ~!」

声は一メートル程先のほのかな明かりの方から聞こえてきた。

マシマはガラクタの山をかき分けてずんずんと進んでいくと、その場所はすぐについた。

「ここに居たのかいシャーレン」
「よっ、マシマ!」

そう言って現れたのは綺麗…だがなにかがおかしい女の人だった。

美しい淡い金髪は無造作に首元真後ろで纏められ、服はまさかの工業用作業着。豪快な腕まくりに、薄汚いゴム手袋をしている。

「ニャー(勿体ない人だな…)」
「んをぉ?こいつは猫かい?」

僕が鳴いたので、どうやら王妃様の目に留まったようだ。

「そうだよ。あんたの娘が飼いたいってよ」
「娘って、ミーシャが?」

王妃様は目を真ん丸にして僕を見つめた。

なんでそんなに驚かれるんだ?猫を飼いたいっていうのは、人の子なら一度は言うと思うけど…。

「あんたの娘はミーシャ姫以外いねぇだろうがよ」
「そりゃそうだけど…あいつは九年前に飼ってた猫が死んだあと、もう飼わねぇって言ってたろ?」

え…?

「んー、飼う…か。他の動物ならまだいくらでも許可したんだがな…」
「やっぱ…だめか?」

あれ、マシマは賛成なのか?

「私は…前のようにソイツが死んだときにミーシャが悲しむのを見るのがイヤなんだ。前みたいに馬車にはねられて死んだ猫を抱いて泣いてるミーシャは見たくないんだよ…」

先代、馬車にはねられて死んだのかよ、おい。

どんだけどんくさいんだよホント…。

「シャーレン、それはコイツが馬車ではねられない位に、まっとうな寿命で死ねるくらい頭がよけりゃいいのかい?」

頭がよければ…?

今までの会話のソイツやコイツはたぶん僕のことだ。

ちょっ、マシマ、僕に何させる気なの!?
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