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50,残されたもの

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 朝になり、カインズはナインを起こそうと部屋を覗いて、人気無い部屋に首をかしげる。

「ナイン?」

 家中声を掛けたが、勿論返事が返ることはなかった。

 改めてナインの部屋に戻ると、ベットに何か置かれているのに気付く。

「お金と手紙?」  

 手紙には記憶が戻り親の所に帰る事にした事と、カインズへの今までの感謝の言葉と、これ以上は迷惑を掛ける事になるので別れを告げずに去る事への謝罪が書かれていた。

「馬鹿野郎···。礼や謝罪は面と向かってするもんだぞ!子供一人で出ていくなんて!」

 直ぐに町の入口の衛兵の所に出向き、ナインの所在を探したがようとして知れなかった。

 諦めず町中探し歩いたが、何の情報も得られずナインの姿は忽然と消えてしまったのであった。

 がっくりと項垂れ、自宅に戻ろうと足を運んでいた道中のカインズに、声が掛けられた。

 見るとそこには、病弱で病床に伏していた筈の幼なじみのマリアが立っていた。

 マリアは自分の元気な姿を見せて、奇跡のお陰なのと微笑む。

 気落ちしているカインズにナインが居なくなった事を聞き、マリアはカインズの目を見詰める。

「ナインの事を我が子の様に愛していたカインズは素敵だった。ナインの事は残念だけれども、子供に愛情を注ぐ事はこれからも出来ると思うの。だからカインズ、私をお嫁さんにして!一緒に子供を授かりましょう!」

 ほのかに恋心を抱いていた幼なじみに突然告白され、カインズは柄になく赤面する。

 しかし、直ぐ真顔になりマリアの手を掴むと優しく握りこむ。

「マリア、ありがとう!俺からも言わせてくれ!結婚しよう。俺と共に歩んでくれ!」

 奇しくもナインの存在がキューピッドの役割を果たしたのであった。
                 
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