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試しの祠6

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「そうですか?ヒビキさんは顔の形も整っておられますし、サラサラとして艶やかな黒髪も、冒険者とは思えない程キメの整った色白の肌も、切れ長な紫の瞳もとても綺麗ですよ?何よりも内面からあふれ出る力がお日様の光の様に綺麗で眩いほどです。」


 キルシィの言葉に響は面白くないと感情を顔に出した。

 色白ぎみなのは響としては少し気にしている事だったので正直嬉しくない。

 何故か日に焼ける事もなく、細マッチョなので辛うじて生っ白くは見えないが、余り強そうに見えなくてどうしても優男な印象に見られてしまう。

 この世界に転移する以前も、外見の様子から絡まれてしまうことは度々有ったが、全て返り討ちにしてきた。

 それなりに強いと自負しているから余計に嬉しくない。

 何で急にそんな言葉が出てきたのか分からなくて、キルシィを見返す。


「フフッ···。」


 視線が重なり、キルシィが突然笑った。


「何なんですか?いったい····。」


 憮然としてしまい呟く。


「いえ···。精霊達が貴方に惹かれて集まって来るのが面白くて···。精霊は綺麗な物が好きなんです···。容姿や心や力や魂···綺麗にも色々と有りますが、ヒビキさんはバランス良くその条件を満たされている様ですよ。」


 少しからかうような口調で、面白いものを見付けたいたずらっ子の様な瞳がヒビキを見詰めてくる。

 ヒビキはそんなキルシィに、矢張アイシャとは姉妹なんだなと思わずには要られない。


「よくわかりませんが···。一応、誉め言葉として受け取っておきます。休憩はこの位にして、先に進みましょう。」


 複雑な表情を浮かべつつ、響は立ち上がる。

 これ以上、玩具にされるのは御免被る。

 キルシィは笑みを深めると静かに立ち上がり、精霊魔法を行使する。


「楽しい道中になりそうですね。『風の警戒』」


 緑色の光がキラキラと風に舞って、周囲に拡散していく。

 危険な場所であるにも関わらず、楽しそうなキルシィに響はげんなりする。

 しかし、おくびにも出さず地図を確認しながらキルシィに声を掛ける。


「このまま暫く直進して、そのまま路なりに進んでから右に曲がって、3つの分かれ道のある広場迄進んで、そこの真ん中の路に入ります。」


 淀みの無い響の案内にキルシィは目を見張る。


「もしかして、路が分かるのですか?」


 響はさも、当然のように返答する。


「はい。地図がありますから···。」
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