【最弱勇者】100回目の転生

黒崎

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【前編】僕たちの新婚旅行

魔王の真相

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魔界へ行く前に僕達は町で買い出しすることにしたが僕は終始無言だった。MP回復薬を念のため何本か購入し、ドレッドを残して先に宿に戻った。僕は創造魔法で作った指輪がある。それとそっくりな指輪を作り、ドレッドの薬指にはめさせた。

「これは?」
「結婚指輪。もっと良質な物を渡す予定だったけど、背に腹は代えられない。」
「……ありがとよ!」
「それを付けてスキルを見て。それとなくさないでよ?疲れたから先に寝るね。」

ドレッドがそれを身に付けると〖物理攻撃無効〗〖全属性無効〗〖状態異常無効〗のスキルが付与された。これならどんな奴でも傷一つ付けられないはずだ。

「……んぅ……もう朝かぁ…….」
昨日は早く寝過ぎたせいか、かえって少しだけ眠い。
目を擦りながら起き上がると、隣には誰もいなかった。

ベッドから起き上がるとドレッドが机の上に大量の食べ物を並べてくれていた。何も食べずに寝てしまった僕を気遣ってくれたらしい。匂いを嗅ぐと急激にお腹が空く。

「おはよう!よく眠れたか?これを食って英気を養えよ!」
ドレッドの笑顔に釣られて僕も力なく微笑む。

「ありがとう…いただきます!」
朝食を食べ終わる頃には僕もすっかり元気になっていた。

食事を終えるとドレッドがこの町でもう一泊したいと申し出た。何やら戦いに備えて特訓がしたいらしい。僕も図書館で調べ物がしたかったのでそれを了承した。

その町の図書館に着くと魔界の魔族、魔界の王の弱点、神々に関する情報を調べた。

まず魔族の情報を探った。魔界とは地底にある魔族と魔獣達の大陸である。魔王城は地底にしか存在しなかったけれど、先代勇者が魔王を封印したことで魔界の魔王城は消滅して代わりにアースガルドに魔王城が現れたという。そして近年、新魔王が復活したことで魔界にも再び魔王城が現れたのだ。

つまり、アースガルドの魔王は先代魔王の子孫、魔界の魔王は無から生誕した先代と無関係の存在ということになる。それで地底と地上で2つの勢力が生まれたようだ。魔界に入るには地上界のどこかに現れる魔界への扉から入る必要があるがドレッドはその場所を知っているようだ。

次に弱点だが魔界の王は不死身だそうだ。しかし倒せないわけではなく、倒す手段は2通りあるらしい。1つは魔法陣による封印だ。魔王が生誕する際に魔王城の最上階に現れるという魔法陣を使った封印方法だ。封印方法について記載はなかったが恐らくベリアルなら魔王の封印方法を知っているだろう。彼が命綱になるかもしれない。

もう一方は魔王自身が自分を倒すという方法。他者からの攻撃は効かないが自分自身の攻撃は食らうようだ。また、アースガルドより魔界の方が過酷な地域であるため、魔界の魔族の方が強いとも記述がある。

僕はこの記述を読み終えた後に頭を抱えた。要するに特殊な方法で封印するか魔王を自害させるように仕組まなければ彼には勝てないということだ。ベリアルと同じく、魔法は彼にも軒並み効かないだろう。こんな相手に本当に勝てるのだろうか…。
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