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【前編】僕たちの新婚旅行
全知全能
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「うわぁー! すっげぇ!」
最後の旅行先、獣人の国へと向かう道中、馬車から見える景色は一面大草原だった。転生前の世界では見たことのないような雄大な自然が広がっている。
「この辺りはまだ人間が手をつけていない場所が多いんだ」
御者台に座っているドレッドが教えてくれた。
「へぇ、そうなんだ。」
しばらく進むと森が見えてきた。
「あの森を越えるともうすぐ獣人族の住む地域に入るぞ」
「楽しみだなぁ……」
ワクワクしながら森の中へと入っていった。森の中に入って少しすると、ドレッドが突然馬車を止めるように指示した。
「どうしたの?」
「静かにしろ……何かいるぞ」
よく耳を澄ますと確かに聞こえた。誰かが争っている声が……。
「助けに行くよ!」
「待て!お前が行ったら足手まといになるだけだ!!」
「もし例の魔族の仕業なら狙いは僕かもしれない。お願い、僕も行かせて!」
僕が懇願するとドレッドは溜息を吐いた後、僕に視線を送って頷いた。
「分かった。だが絶対に俺から離れるなよ」
「うんっ!」
僕らは急いで現場に駆け付けた。そこには魔族ではなく二人の亜人族の少女がいた。彼女達は人族と獣人族のハーフのようだ。片方はボロボロの服を着ていて傷だらけ、もう片方の少女は剣を持っていて、相手は2メートルを超える人族の大男2人組だ。
「このクソガキが! よくも俺のかわいい部下を殺してくれたな!」
「うるさい! お前らが先に仕掛けてきたんだろうが!!」
男の怒号に少女も負けじと言い返す。
「おい! もう殺してしまえ!! こんな生意気な小娘はさっさと始末しろ」
「へいっ! 親分!!」
男はそう言うと、手に持っていた斧を振り上げながら少女に近づく。
「やれやれ…。」
僕は創造魔法で大男達の全ステータスを1に変えた。すると2人は面白いくらいに弱くなっていたのだ。その場にいる全員に治癒魔法をかけて事情を聞いた。
「おい、貴様ら。何があったか説明しろ。出ないとここに居る者全員殺すぞ?」
僕が脅すと男達が震え上がり、観念した様子で白状した。
「あいつらが私達の村を襲ったんだ!」
「仲間も大勢殺されたわ!」
「確かに俺達は3日前に村を襲ったんだ。食い物が欲しかっただけなんだ。」
「だが、こいつらが最初に俺らの仲間を殺して、殺し合いに発展しちまったんだ。」
男達は盗賊で食料に有りつくために少女達の住む村を襲ったそうだ。その村へ僕達を案内するように伝えた。村に着くとそこは悲惨な有様だった。建物は壊され、村民と盗賊の死体が腐敗していた。
「おい、盗賊。」
「へい」
「お前達の仲間は生き返らせてやる。但し、全員絶対服従だ。いいな?」
「へい!ありがとうございやす!」
僕は全治全能のスキルで3日前に殺害された村民と盗賊を全員蘇生させた。そして、盗賊団一味に破壊した建物を復興するように伝えた。盗賊達は僕の力に怯え、懸命に復興作業に取り掛かった。
「娘を助けていただき、ありがとうございます」
「こちらこそ、同胞の不始末でご迷惑をお掛けして恐縮です。」
村長からお礼の言葉をかけられると僕は魔法で豪華な食事を創造して村の中央に設置し、村人と盗賊達に食べるように促す。彼らは涙を流しながら食した。村を去ると、ドレッドは終始ご機嫌斜めな様子だった。
「お前さ、お人よしの域を超えているぞ?力の使い方を考えた方がいいだろ。」
ドレッドに正論をかまされ、ぐうの音も出ない。
「あぁ、すまない。同胞のやらかしを見過ごせなかったんだ。ごめんね?」
「いや、俺も言い過ぎたわ。しかし、どうやってあの人数を蘇生させたんだ?」
確かに腐敗したあの人数の死体を蘇生魔法で蘇らせるのはまず不可能だ。ドレッドが疑問に思うのも無理はない。
「スキルを使っただけだよ。」
「どんなスキルを使ったらあんなことができるんだよ!」
「それは秘密かな?」
「ちぇっ!ケチくせぇぜ!」
そんなことを話しながら、最後の目的地を目指した。
最後の旅行先、獣人の国へと向かう道中、馬車から見える景色は一面大草原だった。転生前の世界では見たことのないような雄大な自然が広がっている。
「この辺りはまだ人間が手をつけていない場所が多いんだ」
御者台に座っているドレッドが教えてくれた。
「へぇ、そうなんだ。」
しばらく進むと森が見えてきた。
「あの森を越えるともうすぐ獣人族の住む地域に入るぞ」
「楽しみだなぁ……」
ワクワクしながら森の中へと入っていった。森の中に入って少しすると、ドレッドが突然馬車を止めるように指示した。
「どうしたの?」
「静かにしろ……何かいるぞ」
よく耳を澄ますと確かに聞こえた。誰かが争っている声が……。
「助けに行くよ!」
「待て!お前が行ったら足手まといになるだけだ!!」
「もし例の魔族の仕業なら狙いは僕かもしれない。お願い、僕も行かせて!」
僕が懇願するとドレッドは溜息を吐いた後、僕に視線を送って頷いた。
「分かった。だが絶対に俺から離れるなよ」
「うんっ!」
僕らは急いで現場に駆け付けた。そこには魔族ではなく二人の亜人族の少女がいた。彼女達は人族と獣人族のハーフのようだ。片方はボロボロの服を着ていて傷だらけ、もう片方の少女は剣を持っていて、相手は2メートルを超える人族の大男2人組だ。
「このクソガキが! よくも俺のかわいい部下を殺してくれたな!」
「うるさい! お前らが先に仕掛けてきたんだろうが!!」
男の怒号に少女も負けじと言い返す。
「おい! もう殺してしまえ!! こんな生意気な小娘はさっさと始末しろ」
「へいっ! 親分!!」
男はそう言うと、手に持っていた斧を振り上げながら少女に近づく。
「やれやれ…。」
僕は創造魔法で大男達の全ステータスを1に変えた。すると2人は面白いくらいに弱くなっていたのだ。その場にいる全員に治癒魔法をかけて事情を聞いた。
「おい、貴様ら。何があったか説明しろ。出ないとここに居る者全員殺すぞ?」
僕が脅すと男達が震え上がり、観念した様子で白状した。
「あいつらが私達の村を襲ったんだ!」
「仲間も大勢殺されたわ!」
「確かに俺達は3日前に村を襲ったんだ。食い物が欲しかっただけなんだ。」
「だが、こいつらが最初に俺らの仲間を殺して、殺し合いに発展しちまったんだ。」
男達は盗賊で食料に有りつくために少女達の住む村を襲ったそうだ。その村へ僕達を案内するように伝えた。村に着くとそこは悲惨な有様だった。建物は壊され、村民と盗賊の死体が腐敗していた。
「おい、盗賊。」
「へい」
「お前達の仲間は生き返らせてやる。但し、全員絶対服従だ。いいな?」
「へい!ありがとうございやす!」
僕は全治全能のスキルで3日前に殺害された村民と盗賊を全員蘇生させた。そして、盗賊団一味に破壊した建物を復興するように伝えた。盗賊達は僕の力に怯え、懸命に復興作業に取り掛かった。
「娘を助けていただき、ありがとうございます」
「こちらこそ、同胞の不始末でご迷惑をお掛けして恐縮です。」
村長からお礼の言葉をかけられると僕は魔法で豪華な食事を創造して村の中央に設置し、村人と盗賊達に食べるように促す。彼らは涙を流しながら食した。村を去ると、ドレッドは終始ご機嫌斜めな様子だった。
「お前さ、お人よしの域を超えているぞ?力の使い方を考えた方がいいだろ。」
ドレッドに正論をかまされ、ぐうの音も出ない。
「あぁ、すまない。同胞のやらかしを見過ごせなかったんだ。ごめんね?」
「いや、俺も言い過ぎたわ。しかし、どうやってあの人数を蘇生させたんだ?」
確かに腐敗したあの人数の死体を蘇生魔法で蘇らせるのはまず不可能だ。ドレッドが疑問に思うのも無理はない。
「スキルを使っただけだよ。」
「どんなスキルを使ったらあんなことができるんだよ!」
「それは秘密かな?」
「ちぇっ!ケチくせぇぜ!」
そんなことを話しながら、最後の目的地を目指した。
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