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第十三話
しおりを挟む「会いたかったよ、れい」
私は結局こうきが好きだった。
しかし、最初はホテルでやっていたのも段々と車の中に変わり、私は一体何やってるんだろうと思うようになっていた。
その頃、バイト先で仲良くなった先輩がいた。名前は竜也くん、20歳でバイトリーダーだ。今までの人たちとは違って、普通の真面目な人だ。私はどんどん竜也くんに惹かれていった。
ある時バイト先の飲み会で私がベロベロになるまで飲んでしまい、竜也くんに送ってほしいと頼むと快くオッケーしてくれた。竜也くんはお酒が苦手らしくいつも誰かを送っていると言っていた。私はチャンスだと思い、送ってもらう時に少しドライブしたいと言ってみた。するといいよと言ってくれて、ブラブラしてくれた。少し開けた所に車を寄せて停車した。
私は酔っていたのもあり、竜也くんが好きだとぐいぐい迫ってしまった。
最初は少し引いていたが、私がキスを迫ると案外普通にしてくれた。しかも竜也くんも私の事を気になっていたと。その日のうちに付き合う事になった。
それからバイトが終わると竜也くんとデートをしたり、充実した日々を過ごしていた。
こうきの事は好きだったが、どうせ実らないし、竜也くんと付き合いながらこうきと会ってやる日々。
そんな日々もそろそろ終わりにしたくて、こうきにもう会えないと言ったが、分かったとあっさり言われた。
なんだったんだよと少し引き止めて欲しかった自分もいた。
竜也くんと付き合ってしばらくすると、竜也くんはバイトリーダーから社員になった。
給料もバイトの頃に比べて増えたようで、時々ご馳走してくれる事もあった。
そんなある日、いつものように竜也くんの家でくつろいでいると、急に私の方を向いて言ってきた。
「あのさ、ずっと考えてたんだけど」
「なに?」
「俺と結婚してほしい」
「えっ、結婚ってあの結婚?」
「他にあるのかよ」
私は結婚とは無縁だと勝手に思っていた事もあり、なんて返事をすればいいのか戸惑っていた。それに気になる事もあった。りゅうとの事だ。もし仮に私が結婚したとして、りゅうとが出所したらと考えるとゾッとした。
「少し考えたい」
「もちろんだよ、急がないから」
私的には結婚して落ち着きたかった。
一生分くらい遊んできたし、私は温かい家庭を作って幸せになりたかった。
りゅうとがいなければ、そんな事を考えていた。
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