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第六話
しおりを挟むそれからしばらくはりゅうとと仲良く生活をしていた。
りゅうとの家から学校に通ったり、料理を勉強して作ったり、主婦の真似事をしていた。
ある時、たまたま男友達が近くのコンビニにいると言うので、久しぶりに顔を出す事にした。
私は考えが甘かった。
その時何気なくりゅうとに聞いてしまった。今どこ?と。
りゅうとは家から車で30分ほどかかる場所にいると言い、なんで?と聞いてきた為、思わず、別に、と言ってしまった。
私と男友達は恋愛関係などなく、本当にただの友達だった。
私は何故か胸騒ぎがし、その予感は的中した。
りゅうとがコンビニに来たのだ、それも物凄い勢いで駐車場に入ると、私たちの前に車をつけ、勢いよく降りてきたかと思えば、私の事を突き飛ばした。
私は何が起きたのか一瞬分からなかった。
りゅうとはすごい剣幕で男友達に帰れと言い、ビビって帰ってしまった。
りゅうとは次に倒れている私の方に来て、今度は思いっきり顔面を蹴った。
一瞬光が見えた私はその時悟った。
この人はヤバい人だと。
しかし、時すでに遅し。
私は立ち上がれないほど蹴られた後、捨て台詞を吐かれた。
「俺を舐めてるとこうなるからな」
そう言って車で走り去ったりゅうとは、今までとはまるで別人のようだった。
私は泣きながら自分の家に帰った。
鏡を見ると顔はパンパンに腫れ、ジンジンしているし、身体中が痛む。
もう無理だ、あんな人と付き合ってられない。そう思った私は別れると決めた。
翌日私はりゅうとにLINEをした。
「別れよ」
すると、りゅうとは謝ってきた。
「本当ごめん、俺にはれいが必要なんだ。もう二度としないから、お願いだから帰ってきて」
昨日私を睨みながら蹴ってきた人とは思えないような変わりようだった。
「ごめん、無理っぽい」
「本当にごめん、一生のお願いだから帰ってきて、別れるとか言わないで」
あまりの必死さに私は、そこまで反省してるならとノコノコ帰ってしまった。
これが間違えだとは気付かずに。
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