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No.012
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「ここに並んでいるガン・ショップは、ブランド銃をカスタマイズした、改造銃がほとんどだ。店舗数がすごいから、自分に合った銃を選び出すのも一苦労でさ。先ずは、ブランド銃から入ったほうが順序的にはセオリーだとは思うけど」
各店ならではの店構えをしているので、見ていて飽きない。軒を連ねるガン・ショップを眺めながら、レインツリーに質問した。
「その、ブランド銃ってのは、何だ」
「現実世界でクリエーターが銃をプログラミングで作るだろ。作った銃を未来都市で売って、ファンを増やす。ユグドが提示しているファンの数をクリアできたら、ブランドとして申請できる、と思ったけど」
レインツリーが珍しく曖昧な口調だったが、充分だと思った。
「逆に改造銃は、カスタマイズスキルさえあれば、誰にでも作れる。この未来都市で、実際に工具を使って、カスタマイズできるんだ。それが改造銃」
人通りが激しいので、余所見をして歩いていると、人とぶつかりそうになった。
「そんなことができるのか。改造スキルか、いいなぁ俺も絶対それ欲しい」
プログラミングが当たり前なのかと思っていたが、誰にでもカスタマイズできるシステムは、遊び心がくすぐ擽られる。初めて工具を買った時、早く使いたくてたまらない感覚に似た、興奮がふつふつ湧いてきた。
「そういえば、武器の中にはスキルが内蔵されているんだろ? ブランド銃をカスタマイズすると、中のスキルはどうなる?」
「カスタマイズが完了すると、新たなスキルが勝手に再構築される。どんなスキルが出現するかは、再構築されないと分からないから、ハマる奴は、すげぇーハマるし、もちろん失敗作もできる」
「それすっげぇおもしろそう。ハマる奴の気持ち分かるぜ、じゃあ俺は、ブランド銃にしようかな。使い慣れたらカスタマイズして、タイプは動き回れる銃がいいからなぁ」
興奮が興奮を呼ぶような感覚に、空でも飛べるような気がした。なんならレインツリーみたいに、アバターに翼を付けちゃおうかな。――いやいや、ちょっと待て。興奮しすぎだぞと、自分を制した。
「相当、気に入ったようだね。じゃあ、エリアを変えるか」
さらと言ったレインツリーは、陸橋沿いに走っていたモノレールの簡単な乗降口で足を止めた。
モノレールは直ぐに来た。街の中をうねうねと蛇のように曲がるレール上を走り、巨大な建物沿いの陸橋に停車した。
個性的な店構えが連なっていたガン・ショップ街とは違い、落ち着きのあるブランドのガン・ショップが立ち並んでいた。現実世界で例えるなら、トップ・ブランド街のような雰囲気だ。
ガン・ショップと言えば陰気なイメージだが、えらく上品で敷居が高く見えた。
しかも、さっきまでいたエリアは、マイナーを避けながら歩いたが、ここでは避けるほどマイナーもいなかった。
「改造ショップのほうが混んでいたけど、どうしてこんなに差があるんだ」
「自分でカスタムして再構築されたスキルより、改造銃のほうが、高機能スキルが揃ってる場合が多いんだ。カスタマイズは誰にでもできるけど、コツが分かってて、尚且つセンスがないと初期スキルより、低レベルのスキルしか生まれないからな」
確かに、カスタマイズが誰にでもできるにも関わらず、改造ショップがあれほど盛況している理由も頷ける。
仮想世界もそれほど甘くはないようだ。それでも、何故だがヴェインには根拠のない自信が沸々と湧水みたいに溢れていた。自分なら巧くカスタムできる、とか。
「にしても、どこもこっちはキレイでオシャレな店ばかりだな」
思わず苦笑いが漏れた。
「誰かが始めてから受けが良いと、皆やりたがるもんだよ。それと、どこもセルフ形式が多いよ、こっちから話し掛けない限り、向こうからは話し掛けてこないし、そんなに気張らなくていいぞ」
ポンとヴェインの肩を叩くと、レインツリーは一軒のショップの前で立ち止まった。
「ここなら、ルーキーからもベテランからも評価が高い店だ。俺もここで買ったことあるし」
見上げたガン・ショップは、入口以外は黒の外装だった。
壁に備え付けられたささやかなライトに照らされ、店名なのか『P90』と字が浮いていた。
P90か、俺が好きだった銃だ!
店内に入ると、さまざまなライフルやマシンガンが円盤と円盤の真ん中で宙に浮いて、展示されていた。壁の棚にも、宙に浮いたライフルが展示されていた。
他にも、壁に埋め込まれたディスプレイ棚に、この店の銃がラインナップされていた。
「特にこだわりはないけどなぁ、ライフルの値段は――安くても0.5ユードからって、なに!」
オイ! 高すぎだろ、値段設定間違えてるんじゃないのか!
日本円のレートだと、ざっと50万ぐらいだぞ、マジかよーーどーするよ
各店ならではの店構えをしているので、見ていて飽きない。軒を連ねるガン・ショップを眺めながら、レインツリーに質問した。
「その、ブランド銃ってのは、何だ」
「現実世界でクリエーターが銃をプログラミングで作るだろ。作った銃を未来都市で売って、ファンを増やす。ユグドが提示しているファンの数をクリアできたら、ブランドとして申請できる、と思ったけど」
レインツリーが珍しく曖昧な口調だったが、充分だと思った。
「逆に改造銃は、カスタマイズスキルさえあれば、誰にでも作れる。この未来都市で、実際に工具を使って、カスタマイズできるんだ。それが改造銃」
人通りが激しいので、余所見をして歩いていると、人とぶつかりそうになった。
「そんなことができるのか。改造スキルか、いいなぁ俺も絶対それ欲しい」
プログラミングが当たり前なのかと思っていたが、誰にでもカスタマイズできるシステムは、遊び心がくすぐ擽られる。初めて工具を買った時、早く使いたくてたまらない感覚に似た、興奮がふつふつ湧いてきた。
「そういえば、武器の中にはスキルが内蔵されているんだろ? ブランド銃をカスタマイズすると、中のスキルはどうなる?」
「カスタマイズが完了すると、新たなスキルが勝手に再構築される。どんなスキルが出現するかは、再構築されないと分からないから、ハマる奴は、すげぇーハマるし、もちろん失敗作もできる」
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しかも、さっきまでいたエリアは、マイナーを避けながら歩いたが、ここでは避けるほどマイナーもいなかった。
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