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清水達と遊園地に遊びに行くことが決まってからの数日間、僕にとっては憂鬱な日々が続いた。

 放課後を自分の自由にできないストレスを感じていた上に週末まで一緒に過ごす事に嫌気が差していたので、意地を見せるため生徒会活動からの脱走を何度も試みた。だけどそれは全て失敗の繰り返しで時間だけが過ぎて行った。

 そして週末の土曜、待ち合わせの駅前に行くと清水が既に待っていた。
「やあ松君有り難う来てくれて、今日は敵前逃亡はしなかったんだね」

 ああああ!殴りたい!この爽やか過ぎる笑顔!まっまあそんな度胸1ミクロンもないんだけどね......
「清水君が特に仕事も無いのに帰してくれなかっただけでしょ?それに今日は僕の性格を読んで絶対直前バックレはないと思ったから駅前集合にしたんだよね?」

 どうだまいったか!お前の読みなんか全てお見通しだ!

「いゃーまあいいじゃないかあ、細かいこたあどうでもいいんだよ!」

 プライベートの尊重は細かくないと思うんだけども。っていうか僕のつっこみスルーするなよ!

 その数分後田中さんと梶本さんが一緒にはしゃぎながらこちらに向かってきた。
「清水、まつ君!お待たせ~さあ行こうか」
「清水君今日本当に楽しみにしてきたんだよ!でさ......今日の為に今朝4時から起きてずっと何着るか考えてきたんだよね」

 あっこの梶本の表情は......一瞬少しだけ下唇をかんだ、目が横に少しだけ泳いでいる、これは......不安?でも唇が少しだけ上がってる、この感情は期待......している。

 そうか、清水に褒めて欲しいけど、褒められるか自身がない。気持ち的に不安でしょうがないってとこか。

 僕は清水君をそれとなく肘で軽くつついて、合図を送る。
 しかし、清水君はそんな僕の気遣いを無視して涼しい顔をして何も言わない。

 まあ清水君は頑固だからなあ、褒めて変な期待持たせると面倒だとか思って敢えて何も言わないのか。

「そうなんだ、それじゃあ今日は眠気ざましに急降下ジェットコースター5回連続ってのはどうかな?」

「あはは、そんなの行き成りは嫌だよ、もう~冗談ばっかり」

 あっ上手くかわしたな、さすがというか人の気持ちをコントロールするのは絶妙だな。
 その後も清水に対してはハイテンションで梶本ははしゃぎまくっていた、まあ僕の事はどうでもいいようで眼中にないって感じ、そんなにあからさまに無視しなくてもいいと思うけどね。

 4人で駅の改札を通りタイミング良く来た電車に乗り込む。

 だけど梶本さんの表情は清水と話す時この前のファミレスの時と変わらず表面的なまま、口元の端が微妙に強張っているような感じだな。

 まあ、僕にとって今日集中すべきところはどのタイミングでこの前話し合ったアドバイスを切り出すかだな、しかしこんなガン無視状態で俺の言うことを聞いてくれるかな?などと一人で真剣に考えるといつの間にか田中さんがちょっと距離を開けて小声で話しかけてきた。

「今日は遊園地で遊んでからホテルのレストランの個室で食べる事にしたから、そこで話せるようにしたけれど良いかな?」
「成る程考えたね、そこなら周りをきにせず話せるしね、有り難う」
「こっちこそ、今日は私の友達のために有り難う」

 そう言って少し微笑んだ、顔を見たとき少しだけ気持ちの緊張が解れたような気がした。

 そんな感じで、1時間後電車は、遊園地にのある駅に到着した。
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