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生徒会室は3階の西側にあり、"生徒会室"と筆書きで古めかしく書かれたクラスプレートはくたびれたサラリーマンのように垂れ下がっていた。
佐藤先生はノックも無しに生徒会室に入っていった。僕は入り口から中をそれとなく覗くと何人かの役員らしき生徒がパソコンの前で書類を作成していた。
「よお、清水、悪いな忙しいところ」
「佐藤先生、待ってましたよ」
佐藤先生が役員と思われる、身長がやけに高い清水という男子生徒に声をかける。
書類を何枚か渡すと、会話をし始めた。
今だ!2人で会話をしている隙に僕はそーっとその場から
右足だけそろりと後ずさりさせた。
その時佐藤先生のおでこに無数の皺が走るのが見えた。まずい!
「松川ァ!」
「ひっ、はいぃ」
「今バックレたら……!!どうなるか…分かるな!?」
「ひぃいい!!」
どうして僕が逃げようとしたのが分ったんだ?もしかして僕より察しが良いのか?
そんなに背後から負のオーラ出さないで、お願い!
そして……まだ入り口にいる僕を部屋になかば強引に招きいれた。ぐぬうぅぅ御主には負けた! と一人負け侍の心境。
「こいつがさっき話した松川だ」
「へぇー、この子が、わかりました。じゃあウチで引き受けますんで」
「ああ、宜しく頼むわ、じゃあな松川、しっかりな!」
そういうと佐藤先生はドアをやや強く締め出ていった。ドアが閉められると僕はいきなりの展開に何を話していいやら全く訳がわからず、挨拶だけでも形だけしようとしどろもどろ自己紹介をしてみた。
「あ、あの、松川です」
「君の事は知ってるよ、何人かから聞いてるから、あと同級生だからため口でいいよな?」
えっ、何人かって誰? 先生以外に僕の事知ってるやついるの?
僕は動揺して思わず口がうまく回らず変な感じで
「えっ?同級生?1年なんでしゅか?」
うわ、ダセ~!なんですかとタメ口で言おうとしてへんな赤ちゃん言葉になっちまった。
「へ?しゅか?」
そう言うと清水君はあっけに取られた後少しだけ笑うのを我慢するような苦笑をしていた。口元を左右にそんなに歪めて笑うの堪えなくてもいいよ、馬鹿にされるのは慣れてるから。
そして清水君の苦笑につられるように、生徒会室の奥のほうで書類を作成していた別の女子と思われる役員の笑い声が大きく聞こえてきた。
「ぷっ!あっははは!なにそれ~!1年なんでしゅか、だって~!めちゃ面白い~!……あぁっ!」
奥に座っている爆笑の女子役員を、すかさず清水君がたしなめる。
「おい、そこ笑いすぎ! しかも笑いすぎて他校に出す書類しくじってるし、それ、お前が全部書き直しな。この際だからこっちに来なよ。新しい人、佐藤センセから紹介してもらったから」
「は~い」
そう言うと奥のほうから清水君程ではないけど、僕より少しだけ背が高くて色白でロングの女子が近づいてきた。なんか目が青いんだけど?ハーフ?
「田中、紹介するよ、こちら松川君だ。ここにいる笑い声にちょっと品が無いのが田中。下の名前は怒るから後で自分で聞いてね」
「ゲス海、そんな事言って…、後で覚えてろよな!」
さっきまでの調子をコロっと変え、田中さんという女の子がこちらに向き直った。
「さて!あなたが松川くんね、よろしゅくお願いしま~す。あとさっきの書類判子ずれっちゃたから作り直し手伝ってちょーだい!」
「はい、あの…、よろしくお願いします」
顔が紅潮してくるのをごまかそうと、少し体を横向きにして隠しながら早くこの瞬間が終わることを、切に願う。女子は苦手なので表情はまともに見れない。
「あれ、なんか顔が赤いよ、どうしたの?ねえ?」
「いや、なんでもないです」
頼む、これ以上話しかけないで! あと近い!距離が近すぎ! ストⅤでも接近戦は苦手なのに。否が応でも僕の視界には田中さんの顔が入り込んでくる。なんの嫌がらせ?でも、僕が女嫌いということはここの人たちは知らない。
佐藤先生はノックも無しに生徒会室に入っていった。僕は入り口から中をそれとなく覗くと何人かの役員らしき生徒がパソコンの前で書類を作成していた。
「よお、清水、悪いな忙しいところ」
「佐藤先生、待ってましたよ」
佐藤先生が役員と思われる、身長がやけに高い清水という男子生徒に声をかける。
書類を何枚か渡すと、会話をし始めた。
今だ!2人で会話をしている隙に僕はそーっとその場から
右足だけそろりと後ずさりさせた。
その時佐藤先生のおでこに無数の皺が走るのが見えた。まずい!
「松川ァ!」
「ひっ、はいぃ」
「今バックレたら……!!どうなるか…分かるな!?」
「ひぃいい!!」
どうして僕が逃げようとしたのが分ったんだ?もしかして僕より察しが良いのか?
そんなに背後から負のオーラ出さないで、お願い!
そして……まだ入り口にいる僕を部屋になかば強引に招きいれた。ぐぬうぅぅ御主には負けた! と一人負け侍の心境。
「こいつがさっき話した松川だ」
「へぇー、この子が、わかりました。じゃあウチで引き受けますんで」
「ああ、宜しく頼むわ、じゃあな松川、しっかりな!」
そういうと佐藤先生はドアをやや強く締め出ていった。ドアが閉められると僕はいきなりの展開に何を話していいやら全く訳がわからず、挨拶だけでも形だけしようとしどろもどろ自己紹介をしてみた。
「あ、あの、松川です」
「君の事は知ってるよ、何人かから聞いてるから、あと同級生だからため口でいいよな?」
えっ、何人かって誰? 先生以外に僕の事知ってるやついるの?
僕は動揺して思わず口がうまく回らず変な感じで
「えっ?同級生?1年なんでしゅか?」
うわ、ダセ~!なんですかとタメ口で言おうとしてへんな赤ちゃん言葉になっちまった。
「へ?しゅか?」
そう言うと清水君はあっけに取られた後少しだけ笑うのを我慢するような苦笑をしていた。口元を左右にそんなに歪めて笑うの堪えなくてもいいよ、馬鹿にされるのは慣れてるから。
そして清水君の苦笑につられるように、生徒会室の奥のほうで書類を作成していた別の女子と思われる役員の笑い声が大きく聞こえてきた。
「ぷっ!あっははは!なにそれ~!1年なんでしゅか、だって~!めちゃ面白い~!……あぁっ!」
奥に座っている爆笑の女子役員を、すかさず清水君がたしなめる。
「おい、そこ笑いすぎ! しかも笑いすぎて他校に出す書類しくじってるし、それ、お前が全部書き直しな。この際だからこっちに来なよ。新しい人、佐藤センセから紹介してもらったから」
「は~い」
そう言うと奥のほうから清水君程ではないけど、僕より少しだけ背が高くて色白でロングの女子が近づいてきた。なんか目が青いんだけど?ハーフ?
「田中、紹介するよ、こちら松川君だ。ここにいる笑い声にちょっと品が無いのが田中。下の名前は怒るから後で自分で聞いてね」
「ゲス海、そんな事言って…、後で覚えてろよな!」
さっきまでの調子をコロっと変え、田中さんという女の子がこちらに向き直った。
「さて!あなたが松川くんね、よろしゅくお願いしま~す。あとさっきの書類判子ずれっちゃたから作り直し手伝ってちょーだい!」
「はい、あの…、よろしくお願いします」
顔が紅潮してくるのをごまかそうと、少し体を横向きにして隠しながら早くこの瞬間が終わることを、切に願う。女子は苦手なので表情はまともに見れない。
「あれ、なんか顔が赤いよ、どうしたの?ねえ?」
「いや、なんでもないです」
頼む、これ以上話しかけないで! あと近い!距離が近すぎ! ストⅤでも接近戦は苦手なのに。否が応でも僕の視界には田中さんの顔が入り込んでくる。なんの嫌がらせ?でも、僕が女嫌いということはここの人たちは知らない。
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